前庭に小さなカフェ・スペース 樹下美術館産天然のタラの芽。
アプローチ左の植え込みに席を作るべく、先月末から大潟区の名工田中左官さんにお願いしていました。
コンクリートがすっかり渇き、このたび椅子・テーブルを置いたところ良い雰囲気になりました。
コブシの花が残っていて良い感じでした。
昨年春、裏手の一角に置いた椅子テーブルをこちらに移しました。
テーブルが小さいため食事は出来ませんが、
飲み物とケーキなら三人様まで大丈夫だと思います。
ご好評の向こうのベンチ席ともども、どうかご利用ください。
さて晴れた昼、裏手にあるタラノキで良い具合に芽が膨らんでいました。
太い芽でしたので半分に切り分けたそうです。
いくらお金を積んでもこんなに美味しいタラの芽はありません。
樹下美術館の庭では春一番のフキノトウに次いでタラの芽が、この先には美味しいフキが採れます。
昼と夕方のクリスマスローズ。
日が長くなり夕方6時といえども明るさが残り頼もしい。
ふた月も遡ればまさかの豪雪が始まるころで、当時は今日の春光など想像だに出来なかった。
鮮やかな季節の移ろいは魔法としか言いようがなく、いえ魔法よりずっと凄い。
美術館の庭も一つの例外無くしっかりと魔法に掛かっている。
開館から3週間が経ち、つぼみから花へ当館自慢のクリスマスローズが早真っ盛りを迎えている。
もしかしたら今年のクリスマスローズは、14年前の開館以来最も勢いよく咲いているかもしれない。
本日昼休みと午後6時を過ぎた夕刻の双方の花を以下に並べてみました。
ここから夕方6時半すぎです。
こうしてみると昼は花の色それぞれに鮮やかです。夕刻は白が冴えるように感じられ、全体はくすみを帯びてしんみりした情緒が漂うようです。
それもいっときで、間もなくみな眠りにつくのでしょう、とても健康的です。
本日のお客様が、散り始めたソメイヨシノを見て「花は待つ間が一番いいかもしれませんね」と仰った。
ああその通りだと思いました。
思い出そうとしていたのは、松尾芭蕉の「おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな」でしたね。
しかし、寂しさの一つ一つは何時とはなしに明日を待つ心に変わるのではないでしょうか。
世界の魔法に振り回されながら驚き悲しみ、そして楽めればと思いました。
どうか皆様も最盛期をを迎えているクリスマスローズを見てやってください。
長寝の後ヒメオドリコソウとハマダイコンの道を歩いた。
午後から小雨が降った。セーターに滲みない程度だったため帽子を被り近くの道を歩いた。
シジュウカラとホオジロが鳴く雑木林に添った農道。花は隊列を組み声なき声でつかの間の我が世を歌っていた。
もなく田打ちが始まり辺りは賑やかになる。
昨日小島正芳先生の講演会が無事終わり、ほっとして昼までゆっくり寝た。
小島先生、良いお話を有り難うございました。ぜひまたお聴きしたいと思いました。
小島正芳先生の講演会が終わり、心の花(文化の花)が開いた午後。
本日午後、「齋藤三郎の絵と書」の題で小島正芳先生の講演会が催され無事終了しました。
開始前の駐車場。
小島さんは昨年から全国良寛会会長をされ、名実ともに良寛研究の第一人者です。先生の新潟大学書道科の学生時代、髙田の芸能科(今で言えば芸術科)で講師を務めていた齋藤三郎の授業に強く感銘を受け、今日に続く敬愛の念を持ち続けられています。
良寛研究の傍ら齋藤作品を蒐集、加えて陶芸はじめ日本美術に精通される先生。本日は齋藤三郎の陶芸に至る道程、優れたロクロ技術、師・富本憲吉と学んだ九谷焼きの影響、棟方志功との交流、作品に現れる雪国の自然風土と生活、時代ごとの作品の特徴、他に類を見ない書の味わいなど、明解なお話に参加者みなで引き込まれました。
若き日、小島先生ご自身が親しんだ髙田、直江津の街並みと文化、常に目にした妙高山の素晴らしさなどが織り込まれ、齋藤三郎の授業は寺町の工房が教室だった事を初めて聞きました。そこでの講義は心に響き、今も一言一句を鮮明に覚えているということでした。
齋藤三郎の要約として、若き日に災害で失った母への思慕と仏心、雪国の風土の表出、九谷焼のオリジナル化、そして特異な書の才能などが心に残りました。
最後に先生は今年4月24日から7月4日(日)まで、東京都の永青文庫美術館(理事長・細川護煕氏)で開催される「心のふるさと良寛Ⅱ」展を監修されます。良寛を敬愛した陶芸家のセクションに齋藤三郎の絵皿が北大路魯山人の作品とともに展示されることが知らされ、一同大いに意気上がった次第です。
休憩を入れて80分。濃い内容とほど良い分量のお話は聴きやすく、あっという間の楽しい時間でした。
夕刻、知り合いと見に寄った美術館近くの新堀川の桜です。
ひろやかで、伸びやかで、あでやかな花。
髙田の方が、あっと声をだされたほどの美しさでした。
日中何組もの家族さんなどが食べ物持参で来られていました。
外には自然の花(桜)が、樹下美術館に心の花(文化)が開いた良い午後だったと思います。
頸城区大池のビオトープ。
昼休みのひとときうららかな陽気に誘われて頸城区の大池いこいの森のビジターセンターの施設の一つ日本自然学習センター(いわゆるビオトープ)へ行った。
この場所を指すのにいつも何と書いたら良いのか戸迷う。
良い場所なので「大池いこいの森のビオトープ」、あるいは「大池のビオトープ」などと簡略させてもらえれば助かるし、四季折々広く親しまれるのではないかと思う。
手前の一角に白い群花。近づくと水芭蕉だった。
大潟水と森公園のより小振りだが形が揃ってしゃんとしている。
至る所のショウジョウバカマは濃淡やスジ?の有無など楽しむことが出来る。
ヒラヒラ舞ってきたチョウがコナラに止まった。
ヒオドシチョウだった。
この蝶は前年の夏に成長(蝶)となりそのままの形で越冬するらしい。当地で考えれば雪中どうして過ごすのだろうか、まして今年は豪雪だった。雪が少ない長野や群馬県で越冬し雪解けを機にやってくるのでしょうか。越冬の割りに傷みが少なく、整った姿をしていました。
それにしても雪解け早々、何を栄養にしているのやら。
2016年4月16日、大潟区の雑木林で見たヒオドシチョウ。
これもヒラヒラと現れ、こともあろうに私のズボンに止まった。
越冬の影響でしょう、この蝶の翅(はね)はかなりボロボロでした。
それでもまた飛んでいったのです。
かって赤とんぼが十数羽も白ズボンに止まったことがありました。
大潟水と森公園、大池いこいの森公園、近隣二つの公園は十分に四季を楽しませてくれる。ただ本日午後のひとときは野鳥の声はなく、わずかな花と蝶それに人間が一人の散策になりました。
暖かい日射しと静けさがご馳走でした。近いうちにまた寄ってみようと思います。
いよいよ明日は小島正芳先生の講演会です、楽しいお話になることでしょう。
近くの新堀川の桜 美術館のベンチに座り春の田と桜を眺めながらホットサンドを食べた。
気持ち良く晴れた昼、近くの新堀川の桜を観た。歩いて10分、車で1分の所の桜は明るくて清々しい。少しずつを訪れる人が増えている隠れた名所だと思う。
木肌が銀色に輝き姿は伸びやかで、ソメイヨシノとやや異なる印象を受ける。
さて去る3月15日の開館以来昨日まで午後のみの営業時間でしたが、今日から通常(10:00~17:00)になりました。
飲み物だけだったカフェのサービスも、ホットサンドとベーグルサンドの軽食が加わりました。
本日裏のベンチで、春の田と桜を眺めながらホットサンドを食べました。
果物、サラダ、ピクルスとポット珈琲または紅茶付きで1100円のセットです。
私には十分過ぎるボリュームなので夕食を軽くしました。
上掲の写真で、サラダは持参した自分用になっています。
本日「今きれいな鳥を見ました」とカフェのお客さんが仰った。間もなくジョウビタキが現れ、それだったようです。残念ですが上手く撮れませんでした。
明後日15:00から行われる全国良寛会会長・小島正芳先生の講演会「齋藤三郎の絵と書」が予定の35人に達しています。お天気が持ちそうなのでほっとしているところです。
美術館の一本桜 本のインタビュー。
待っていたその春が早くも4月を迎える。全く容赦ないスピードである。
今年は時間だけではなく草花の進行も早い。わけてもソメイヨシノの開花スピードはどう考えたら良いのだろう。蕾がほころび、満開までの風情を楽しみにしていた所、一夜明けたらもう満開?という異様な早さでパッと咲いた。
一月突然の豪雪ですっかり厳冬気分に浸っていたところ、実は暖冬だったと伝えられ途端に桜が咲く。
あまりのことにからかわれている感じがする。
樹下美術館に一本だけあるソメイヨシノ。
一本しかないが、一本だから良いかもしれない。
急いで散らないでと願っている。
裏手のベンチは桜のそば。
15年前の開館時に植えた時は僅か2メートルほどの苗木でした。
玄関に向かって左手の植え込みの中にテーブル席を予定しています。
本日コンクリート工事が終了し、4,5日後に椅子テーブルを置くつもりです。
足元に若いツツジを三株植えました。
これからの季節、ここでもお茶などお楽しみいただけます。
本日新潟日報の記者さんとカメラマンさんが来られ、インタビューを受けました。同紙第2,第4日曜の朝刊コラム「にいがた人の本棚」の取材でした。
恥ずかしながら愛読書に「銀の匙」を挙げ、自分なりの読書のことを述べました。過去のそうそうたる本読みの方たちに混じり、惨めなことにならなければよいのですが、心配です。わたしのは4月11日とお聞きしました。
倉石隆の~風という影響。
昨日ゴルフができたのもつかの間、本日は書類、調べ物、必要読書などで、美術館に行くことも出来ず寸暇を惜しまなければなりませんでした。
そんな日の来館者さんで、美大出の常連さんA氏が見え、次のような感想を仰ったということです。
倉石隆作品はいずれも興味深かい。
「見つめる」にエゴン・シーレの、「人生」はジャン・ドュビュッフェの影響が見られて面白いということでした。当館所蔵で「みつめる」ほか「熱情」などの作品に一種荒々しいタッチと線、そしてホワイトの風合いがともにシーレ風だと思っていましたところ、あらためて仰って頂きとても喜んでいます。
さらに、なにより「人生」は不思議な絵だと思っていましたが、アンフォルメルの画家ジャン・ドュビュッフェの影響を聴き、調べましたところ、非常に良く似た幾つかの作品に出合いびっくりしました。
エゴンシーレ「自画像」
Wikipediaのエゴン・シーレから。
ジャン・ドュビュッフェの画像検索をされると、《ご婦人のからだ「(ぼさぼさの髪)」など、「人生」が影響を受けたと思われる作品に出合います。どうか試みてみてください。
さて倉石婦人から、主人はいろいろな人から影響を受けました、と聞きました。独創性を求めながら時代と先人を研究することは芸術家の必要な過程に思われます。
一番の師はレンブラントだったという倉石氏は、エゴンシーレのほかクリムトにも影響されたと聞きました。
ただ当館収蔵品にクリムトの影響らしいものが見当たらずにいました所、過日偶々「異国の人」に関係した個展のDMを見つけた折、印刷された「お気に入りの帽子」の輝くような色にクリムトを覚えた次第です。
フォルムやバックはともかく、色彩は如何でしょう、クリムト風でしょうか。
最後は○○風の余談です。
私が持っているセーターで、色具合なとが「みつめる」で倉石氏が着ている服にとても似ているものがあります。
冒頭の「みつめる」の着衣に似たセーター。
20年以上も経っていますが、ある方のイタリア旅行のお土産です。
肘が薄くなり、手芸の方から皮をあてがってもらいました。
今年の倉石隆は「自画像 自己投影像」ですが、確かに「影響を受けた画家」の観点でも面白いですね。
最後ですが、A氏は齋藤三郎の書の驚くほどの素晴らしさを述べられたそうです。
どんな筆を使っていたのだろうと感嘆させられる端然たる色紙、そして流麗自在な手紙を絶賛されたと聞きました。
心強いばかりです、“有り難うございました”
“春なのに”というヴォーカル曲と演奏 東日本のコロナ拡大傾向。
日中空はしっかり曇り、本日いつものA氏とともに初めてのBさんC氏とゴルフをご一緒しました。
初めての方とも楽しく回れるのがゴルフ。極地を思わせる気象のもとでもやろうと思えば出来る?のもゴルフ。私は後半崩れたが納得がいくラウンドでした。
あいにくのお天気で、レンズ雲を交えいろいろな雲が出ては消え、雨もぱらつき風も吹き、何とも活発な曇り空でした。
今ごろはまだお天気が安定せず、善し悪しを繰り返します。
本日動画サイトから以下、「It Might As Well Be Spring」を三つお借りしました。
“まるで春のよう”とか“春なのに”などの邦題が付いているこのジャズ・スタンダード曲は不安定な春の気分を歌っています。
ブロッサム・ディアリーのピアノ弾き語りです。
フランスを行ったり来たりしたディアリーはフランス語で歌っています。
風の柳のように騒がしい心、一方誰かが待っていそうな気分、などと
英語の本歌では歌われます。
上掲のみずみずしい録音は1957年。動画メモによれば、サイド・メンのベースはオスカー・ピーターソンを支えたレイ・ブラウン、ドラムスはカウント・ベイシーを支えたジョー・ジョーンズという輝かしさでした。バック・コーラスもいにしえのディズニー映画のようで私は好きです。
こちらは初めて観たビッグ・バンドの演奏です。
素晴らしいテクニックとアンサンブルは大人のバンドそのものですね。
曲はリリカルなケニー・ドゥリューにぴったりです。
切れ味良いN.H.Ø.ペデルセンのベースも歌い、
エンディングの余韻といい、何とも言えません。
春なのに春のよう、と時期はずれ風に色々連ねて申し分けありませんでした。
ところで宮城、山形、福島、長野、群馬。新潟県など、今までになく中東部のコロナが盛りはじめ雰囲気が悪い。
反対に西南では下火に見えなくもない。すでにウイルスは夏へのシフトを始めたのだろうか。
山形の飲食関連の店主が、感染を出す前に自分で閉める、とインタビューで答えていた。
東北の実直さが効いてブレーキが掛かれば良いが、この方達こそ国に守ってもらいたい。
多くの人の苦悩をよそに、ニュースが伝える聖火リレーはひとごとのようにどこか空しい。
本日樹下美術館のホウキザクラと向こうはハクモクレンです。
双方はともに大きい木ではないのですが、写真はかなり立派に見えます。
ツクシ、ミズバショウ、スミレ、ウソ、クリスマスローズ みな有り難い。
午後のひととき大潟水と森公園を歩いた。
毎回ここへ出かける目的はおよそ決まっていて、この度は愛らしい鳥エナガともう一つはミズバショウを観ることだった。
園内を歩くと唐突にエナガが現れた。非常に慌てたためお尻だけ、当然ですがピンぼけでした。
エナガのお尻。この鳥は小さい上、とてもすばしこい。
エナガさん、皆さん、お尻の写真で失礼いたしました。
足元にツクシがいっぱい。
好きなだけ撮ってと言ってじっとしていてくれる。
エナガは駄目でしたが、初めてウソを撮りました、きれいですね。
ウソは「嘘」ではなく、古語で「口笛」のことらしい。
鳴き声がその由来ということでした。
帰路の道すがら出合ったスミレ。
高い石垣からそろってこちらを見ている。
意図せずにこんなに可愛いとは、天使か何かのようです。
カメラ片手に公園を歩いていると、たまに声を掛けられる。
ミズバショウが咲いていますよ、と見ず知らずの男性に言われた。
あるいは、先生ナニ撮ったのという二人組の女性に足を止めた。モニターのウソを見せると、あっそれ私も撮った、とスマホを見せてもらった。画面はヒヨドリだったので、うーん、ちょっと違うかな、と言った。
このようにほど良く声を掛けて頂くのはとても嬉しい。
この先の花は押し寄せるというくらい次々忙しなくやってくる。どこかに花津波という言葉があるかもしれない。
できれば心落ち着けて一つ一つしっかり観たい所ですが、とにかく沢山で忙しい。ただ有り難いと思って眺められればと思っています。
無事に手術を終えられた方、間もなく退院ですね、心からお見舞い申し上げます。
朝な夕なに去りがたい春の庭。
冬鳥たちの姿が消えるや春の鳥が四方で賑やかに鳴き交わす。大小のリスマスローズが満開を迎え、随所で椿がささやき合っている。
玄関向かって左脇の木立の中にこじんまりした椅子席を作るべく間もなくコンクリート工事が始まる。
駐車場からよく見えるので予定場所の足元にツツジを三株植えた。
近くのホームセンターで求めたこちらのツツジの札に淀川と書いてあった。
まだ小さな株だが、ひと月もすれば咲くのでは。
果たして皆様はこの場所に座ってくださるだろうか。
昨日ギイギイ、と鳴いていたコゲラ。
鋭いくちばしで思いっきり突っつかれる木は痛いだろうな、と思う。
本日の夕雲。
仕事終わりに芝生でゴルフボールを打った。
新緑を待つケヤキにいっとき優しい雲が掛かる。
花に代わって月がのぼった庭は名残惜しく、しばし去りがたい。
今年度の倉石隆作品から2点「めし」と「異国の人」。
過日は倉石隆の絵画から「馬上の人」を取り上げ、馬上の人物を大きくして解釈を試みました。
本日は展示8点の中から「めし」と「異国の人」を観てみました。
最初は「めし」です。
1934年太平洋美術学校を卒業し、東京で活躍を始めた倉石隆は1943年戦渦を避けて上越市旧髙田の実家に疎開、間もなく出兵しました。舞鶴の海兵団に所属し1945年終戦を迎え、1947年から髙田北城高等学校の美術教師を経て1950年に再び上京しました。
上京後の生活は苦しく、夫人によれば一時は全く絵も描けない時期があったようです。
以下作品「めし」は左上にサインと1953年の制作年が記された33,0×24,4㎝の小さな油彩です。
長靴を履いていますが何処なのでしょうか、雑然とした雰囲気が伝わります。
以下に皿と上半身を大きくしてみました。
身体の大きな37才の画家の食事のおかずは魚一匹。
次ぎに上半身を拡大しました。
空の茶碗を突き出し、ハシをもつ指はそれを指しています。
「飯くれ!」、あるいは「おかわり!」という空腹と怒りの叫びが聞こえるようです。
碗と皿の白さが空腹を際立たせています。
優しい顔の倉石氏がひもじさで鬼と化しています。
同じ1953年の作品「画室」が新潟市美術館に収蔵されています。架けたキャンバスの前に紙のように薄っぺらい大男が仰向けになり、キャンバスには何も描かれていません。上京後4年目、まだ苦闘が続いていたことが窺われます。
次ぎは「異国の人」です。
2007年樹下美術館の開館直前、練馬区のアトリエでこの一見メキシコ風な形(なり)をした男性像を観た時、変わった絵だなと思いました。持っていきますか、と奥さん。私は、喜んでと言いました。
例によって誰ですか、と尋ねますと、本人です、ふざけているのでしょう、というようなお返事だったと思います。
ちなみにタイトル「異国の人」はその場で夫人が仰ったのをそのまま使っている次第です。
左三分の一をオレンジに塗り込め、そこに手と花が薄く描かれています。
右は黒をバックに氏と思われる人物が女性の衣装をまとい、
ハンサムな氏とは別人のような表情で描かれています。
左のオレンジ部分と三分の二の人物の分割の意味は分かりません。何かが描かれていて、不都合によってオレンジを塗ったのでしょうか。
この絵は、1995年9月14日から10月22日まで新潟市美術館で開催された「倉石隆 展」150点の作品リストには無く、サイン、制作年とも見当たりませんでした。
ただし夫人から頂いた資料の中に以下倉石隆の個展案内のDMがあり、作品「お気に入りの帽子」が載っていました。
その派手で大きな帽子は「異国の人」で倉石氏が被っているのと同じでした。開催日は1990年5月7日-16日、会場は銀座の湯山画廊です。
黒をバックに華やかなオレンジの像が明解なコントラストで描かれた「お気に入りの帽子」は非常に魅力的です。
個展開催の1990年は氏の脳梗塞発症から3年が経っています。個展には旧作20点が出品されたようですが、当作品は恐らく売れたのでしょう。しかし借り上げが間に合わなかったのか、1995年の新潟市美術館の倉石隆展へは出品されていませんでした。ちなみに私はまだこの作品を目にしたことがありません。
それにしても先の「異国の人」の倉石氏はなぜモデルの大きな帽子や女性ものの腰巻き、さらに長いグローブなどをして、メキシコ人のようにヒゲを描いたりしたのでしょう。
想像するに、制作中の夜中、あまりに「お気に入りの帽子」が上手く描けたので上機嫌となり、自らそこにあるモデルの衣装を身に着け、描きかけのキャンバスなどを用いてはしゃいで描いた、と誇大な妄想を試みた第です。もしかしたらメキシコの酒、テキーラを飲んだのかもしれません。
空腹の「めし」の苦闘時代からはじまった東京の画業。いつしか魅力的な帽子の絵と、それにまつわる戯画とも思われる個人的な絵を描く余裕に至ったことに、安心と一種祝意を覚えるのです。
初めてのリモート参加 近くの雑木林にユキツバキと思われる花。
今夕仕事上の説明会があり過日購入したタブレットでリモート参加した。
かねて機種を世話して頂いた信越情報さんとのシミュレーションによって無事参加でき、ほっとした。
社会では多くの方がこのような方法で勉強や仕事をされているご苦労が分かる。
コロナ禍に於いて様々な連絡や事務がIT化されていく。検査とワクチンなどどこまで付いて行けるか自信はない。しかし地域事情と責任を考えれば軽々に「止めます」と言えないのが正直悩ましい。溜まる一方のストレスを庭やゴルフで和らげながらもう少し粘ってみたい。
先日樹下美術館の近くの雑木林でよく繁ったツバキを見た。屋敷跡とは考えにくい場所であり自生のユキツバキではないか、と思った。
すぼまない花姿、大きさが異なる五弁の花びらからユキツバキを考えた。
枝にしなやかさも感じられた。
大潟区は比較的雪が少ないため、大きく成長したのかもしれない。
ノイバラのヤブの中で可哀想な気もするが、ここに居たので育ったとも考えられる。
雪にしっかり押してもらったクリスマスローズ。
昨年とちがい重い雪に被われた今年の庭。
木々はかなりの枝折れがあったものの、草花は思ったよりしゃんと芽を出し咲き始めた。例年一番目の花として開館に色を添えてくれるのがクリスマスローズ。それに小粒な蕾を沢山付けみるみる膨らませるや、あっというクリスマスローズに追いつくトサミズキも開花している。
以下本日曇り空のクリスマスローズと最後にトサミズキです。
しっかり雪に押してもらったクリスマスローズは例年より勢いが感じられています。
以前記しましたが、雪でしっかり押して貰うと良い花が咲く、と仰った亡きある園芸店主の話は確かなように思われます。
午後遅く見えた芸術系大学のお嬢さん達。喜んで沢山写真を撮って頂き有り難うございました。
大潟工会でコロナの話をしました アジの夕食。
今夕18:00から大潟商工会創立60周年の行事として拙講演をしました。
50周年の時にも何かお話しし、この度は「コロナ禍の健康管理」という事でした。私は既に後期高齢期にとっぷりつかっていますので、本当は話を聞く側ですが、以下拙い話をさせてもらいました。
健康管理ということでしたが、概観も必要と考えて始めました。
●初めに
・当初の国のもたつきは突然のコロナ初体験、それに続く研究所や保健所などの公的機関に超過重の印象があった。
・当初賑やかだった風邪並み論、PCR嫌悪、ウイルス自然消滅などの評論?には明確な根拠は無かった。
・医療ならびに医師会のみ科学と経験に基づいて真剣に心配しながら提言を続けているので、今後も耳を傾けて。
など流れの印象を述べました。
●次いで新型コロナウイルスの特徴、その強さと巧妙さとして
・他の主だったウイルス感染症が激減した中、ひとり新型コロナウイルスのみ活発に生存流行を続けている強さ。
・巧妙さとして、活動的な若年層にウイルスの集配を分担させ、高齢者と高リスク者には増殖の役割を担当させるなど世代特性を巧みに利用している。
・夏に弱るのではなく、休んで(自ら温存している)いるだけかもしれない。
など、ウイルスが洗練されている印象を挙げました。
●それをどう捉え戦うか、敵を知る
・手ごわい相手との共存(ウイズ・コロナ)は到底無理、やはり敵と捉え収束への努力を傾注するほかない。
・相手は人間の肺を借りなけば生きることも増えることも出来ないのは、ひるがえって弱点でもあろう。
・相手はどこにでもいる。感染の可否は私達の行動次第で決まる。
・感染していないのは、上手く予防しているからではなく、運が良かっただけと考えてさらに予防を心がける。
・予想される長い忍耐への動機づけと褒美は必ず必要。それは国にしかできない。みな命がけでやっている。国も命がけで経済支援を徹底せせ、実態に報いるべきだ。
・緊急事態宣言と解除の繰り返しの中、唯一ワクチンが重症化予防ひいては収束への助けになる。ワクチン有害論もあるが、インフルエンザワクチンが可能な人なら、前向きに接種を受け、自らと他者を守ることは十分意義あろう。
などをお話しし、
●生活の要点として
・あらためて過労の回避。
・ハイテンション、長時間接触、三密、の回避の重要さ。特に飲みで生じやすいハイテンションによる密接、大声、大笑い、唄、長い時間共有は高リスク。
※大勢の会食はノンアルコールをトライしてみる。ノンアルでも美味しい料理を工夫、研究することは、時代の先端であり売りにつながるかもしれない。
・精神面、特に長いストレスにどう向き合うかは重要な課題。
などを挙げ、
●健康管理とその効果として
・適量の運動、戸外時間、過食回避、現在の疾病管理、清潔などにいっそう丁寧に取り組む。それらは身体のみならず精神と免疫の維持活性が期待出来る。
・ストレスや鬱への対応として、際限なくウイルス関連情報を探さず、一定の時間を決めて日々の数字、主だったニュースの確認に収めてみては。
・外出は巣ごもりによるメディア、PC、スマホの接触過剰がもたらす超近視、眼精疲労のリスクをを軽減、回復を促す。
・なにより心身に余計な負担を掛けず、日々自らの「新鮮さ」を保つイメージを持って想定される長期化に対応しよう。
など一応まとめとしました。
●最後にワクチンの接種見通しと変異株への有効性の質問がありました。
・正直、関係者の末席にいる私ですが、具体的スケジュールがどのように下りてくるのか分まだかっていない。
・現段階で現ワクチンは変異株もカバー出来ると言われている。
とお答えしました。
何時の頃からか、私の話は予定より短く終わるのが常となり、このたび予定の45分は司会の紹介や質問も入れ40数分で終わりました。
短いのが良いのか否か、正直分かりません。
ただ話したいだけ話すのではなく、一応聴く人の側で話すことのみ心がけるているつもりです。
夕食は知り合いが釣ったアジの南蛮漬けと、モヤシと春雨の中華風サラダでした。
緊張して話しをしましたのでお腹が空いていました。
近くで大きなアジが釣れているようです。
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