エラ・フィッツジェラルドとカテリーナ・バレンテ。

2023年8月31日(木曜日)

過日のこと“帰りのラジオがエラ・フィッツジェラルドをやっていたけど凄いね”と妻が言った。ジャズのことなどめったに口にしないのに珍しい事だった。
確かにエラが凄いのは○○賞をいくつも取っていると言うこともあろうが、とにかく歌が凄かった。

往時ジャズ歌手は沢山いてそれぞれ極めて個性的だった。若いころは色々聴くき比べては、この人は奇抜で面白いとか、新しいとかはたまた暗さが良いと言って悦に入っていた
それが年とともに次第にオーソドックスが良くなり、歌唱の深さ、あるいは輝かしさなどに耳を傾けるようになった。その結果かって個性的ともてはやされた人の歌は耳障りとなり遠ざけられるようになってしまった。こんなことは私だけのことか、一般論なのか全く分からない。

だがかような事でエラ・フィッツジェラルドの終始一貫した王道の歩み、多彩で広い音域、さらに絶対的な音感とリズムなどから、とにかく安心して気楽に聴くようになった。

以下彼女の人気曲の一つ「How High the Moon」です。


1959年の録音。

アドリブといえども周到にリハーサルされたジャストな音程のスキャットが素晴らしい。終わりの方に「煙が目にしみる」を挿入し、エンターテナーとして全力でサービスをしている。

一方でポピュラーといってもカンツォーネ、シャンソン、ボサノバ・ラテンまで歌ったカテリーナ・バレンテはイタリア出身でアメリカのエラよりも若いが、やはり凄まじい。


カテリーナ・バレンテの
「MOTO PERPETUO」(1971年録画)

すでに何曲か歌った後でパガニーニの常動曲「(MOTO PERPETUO」)をスキャットで歌っている。MOTO PERPETUOはイタリア語の表記。

 


協奏曲の「MOTO PERPETUO」
こちらの方がテンポが少し緩やか。

エラもカテリーナもそれぞれの分野の歌姫として世界を駆け巡り圧倒的な人気を博した。エラは亡くなったがカテリーナは90才を越えて健在だという。

楽しい「6月の花嫁」の細部。

2023年8月28日(月曜日)

今日は去る8月25日に続き、開催中の篠崎正喜展から作品の細部を見てみたいと思います。取り上げるのは「6月の花嫁」です。
特注した木製の皿にキャンバスを貼り樹脂絵の具でコーティングしてから描かているようです。

「6月の花嫁」
当館で撮影、黒バックでトリミング。時刻は篠崎氏得意の月が上る時間の設定です。オレンジ色の花嫁衣装の美しい女性は電車が往き来する郊外の森の駅近くで描かれている。

花嫁の右側奥で、飲み物が置かれたピアノにうっとり顔のライオンが座り、ピアノの上で猫がバイオリンを弾いています。

続けて皿の縁をぐるりと眺めてみました。花にまじって動物と野菜、果物が描かれています。

今日は描かれた四種類の動物を眺めてみました。

ウサギが作者お得意のガラス玉を持っています。青がとてもきれいです。

 

愛らしいりすです。手にしているのはドングリでしょうか、ガラス玉でしょうか。

一番下は熊。

9時の位置に小鳥。

さてそのほかに動物と動物の間には様々な花と共にリンゴ、トウモロコシ、カボチャそして柿が描かれています。

六月の花嫁を動物や野菜、果物などが豊かな森と共に祝福している作品です。

不肖私も6月が一番好きな月です。安定した空、溌剌とした緑、作物が育ち花々は喜ぶ、、、。樹下美術館の開館を6月にしたのもそのようなことからでした。

2007年6月10日、開館式の様子。
当時の木浦正幸上越市長の顔が見えます。

2007年6月10日はとても良いお天気でした。

10月12日15時から篠崎正喜さんの「生成AIと美術」のギャラリートークを致します。35席ほどの予定で、入場は無料です。

庭の水盤と鳥。

2023年8月27日(日曜日)

異常な高温の今夏、昨日午後こんにゃく座を観た夕刻近くの南の空が俄にかき曇った。

近隣の田んぼから見た雲。

向かって中央から右の部分(南西方向)で稲妻が光り降水雲も見えた。まるで前線通過の様相であり、この後一帯に一時間ほどの夕立がやってきた。しかしそれもつかの間、上がるとたちどころにむっとする暑さに戻った。

樹下美術館の庭に水盤がある。暑さを凌ぐように鳥たちが水浴びをしに来る。以下最近目にした水盤の様子です。

メジロ。

二羽の雀

三羽。

六羽。

水を浴びたメジロ。

水浴びするシジュウカラ。

スズメは沢山来たが水浴びをしなかった。もう少ししたら浴びると思う。
野鳥の水浴びはとても慌ただしく行われ、浴びた後はあどけない表情になるのが面白い。水浴びは無防備な時間なので警戒しながら行っているように思われる。

昨日の雨を忘れたように本日再び暑くなった。次回篠崎作品「6月の花嫁」で作品の細部を観てみたい。

こんにゃく座のお二人による舞台。

2023年8月26日(土曜日)

本日午後、オペラシアターこんにゃく座に所属する北野雄一郎さんと泉篤史さんお二人の舞台を観に行った。演目前半は「うたのステージ」、後半は二人オペラ「楽屋殺人事件」だった。ちなみに40人近い団員がいる同座は1971年に創立されている。
役者さん泉篤史さんは上越市出身で公演は凱旋公演と称されていた。暑い日だったが吹き抜けのある荘重な旧第四銀行の髙田まちかど交流館はしっかり冷房されていた。


公演用にしつらわれたステージのすぐ前に座った。ピアノ一台と若いプロの歌役者さんの公演。上演前の挨拶で良く響く声と自然で魅力的な振る舞いから、今日は来て良かったとすぐ思った

プログラム前半は「空気のうた」から始まり「Fragmentsー特攻隊戦死者の手記による」まで8曲。それぞれ詩が良く、すべて大変生き生きと歌われた。当然ながらマイク無し、そのうえ一座では言葉の明瞭さが特に強調されているという。

普段良いお声に感心していた泉さんのお父さんとのふとしたご縁。お目当ての篤史さんの安定した音程と自在な声量は素晴らしかった。最初の「空気のうた」があたかも空気と同化するよう歌われ、最後のFragmentsが迫力の起伏をもって歌われると妻は涙ぐんでいた。

後半の「楽屋殺人事件」は劇中劇のまた劇という多次元構成。エスプリとオチが効いた面白い舞台だった。イスなどわずかな道具を動かしながら演じられる小さな舞台だけに、お二人の動きと表情は文字通り劇的でさずがだと思った。

伴奏は榊原紀保子さんのピアノ一台。演奏は終始流麗かつ迫真のもので、歌と演劇付きの演奏会と言っても過言でなく堪能させてもらった。

皆さまの根気よい真剣なトレーニングの積み重ねを思わずにはいられませんでした。
良い時間を本当に有り難うございました。

篠崎正喜さんの「海辺の街」。

2023年8月25日(金曜日)

10月17日まで好評開催中の篠崎正喜展。氏の作品には独特な鮮やかさ、こまやかさ、そしてある種旅情と平和な時間が描かれる。
本日は作品「海辺の街」からそれらについて私なりに観てみたいと思う。

「海辺の街」33,5×47㎝

南欧あるいはイスラムまた中近東?など、とりとめ無い雰囲気の街が一塊(ひとかたまり)になって描かれている。二つの島があり一艘の船が浮かぶ濃い色の海の水平線を、真っ白な雲が囲み大気は澄んでいる。そこは形を変えた作者のふる里かもしれない。

手前の大通りを見ると色々な人が様々に描かれ、ゆっくりした時間が流れている。以下作品の細部にカメラを向け拡大し、一瞥しただけでは見逃しそうな作者のこだわりと描かれた生活の一端に目を遣ってみた。

最も左でトラックの荷の積み降ろし。

建物の通用口と思われる場所のトラック。明るい緑色のトラックと黄色の幌が軽やか。手前のカップルの長い影が人の息づかいを浮かび上がらせている。

トラックの荷はこのバザールのためのものらしい。しっかり付けられた影が人物たちに存在と生命を与えている。

中央~左部分。

手前にレトロで良い色の車が二台走っている。建物の入り口の右に犬が、左に女性が果物?を売っている。さらにその左にヤギのような犬を連れた男性が角をまがろうとしている。

中央から右部分

お洒落な半円の前壁の建物の左にウィンドウがあり、張り出されたポスターを男が立って見ている。建物は映画館であろう、小さな窓は切符を売る窓口か。建物入り口にもぎりの女性がいる。路上の自転車は子供のようだ。小さな町の心意気ある映画館に作者の思い出があふれている。

作品右下の屋上で猫が
こちらを見ている。

一種広場のような通りは車椅子を押す人影が見え、思い思いに人々が行き交う。影の長さから午後の遅い時間であろう。

 

混雑した建物の屋上のあちらこちらにガラスの半球があしらわれている。美しいガラス球(玉)は作者お得意のモチーフで、様々な場所で不意に登場する。街並にはお城のような建物も見える。

中央の和風(中国風?)の建物は
お寺か。

描かれるガラスは並々ならぬ研究の賜物ではないだろうか。色彩や厚みの違いも美しく描き分けられる。

以上ざっと見てきたがまだ何かが隠されているような気もする。そう思わせるのが街というもの、あるいはその営みではないだろうか。
小さな映画館やお寺のあるゆっくり時間が過ぎる澄んだ大気の街。行ってみたくなるような平和な「海辺の街」を紹介してみました。

この先他の作品の細部もまた観てみたいと思います。細部は篠崎作品の特徴で観る楽しみの一つです。

写真2枚目と3枚目は前日の積み残しで翌日追加致しました。

10月12日15時から篠崎正喜さんの「生成AIと美術」のギャラリートークを致します。35席ほどの予定です。

8月26日髙田まちかど交流館のオペラ「楽屋殺人事件」公演。

2023年8月22日(火曜日)

間近になってしまったが8月26日今週土曜日14時から、上越市髙田まちかど交流館でこんにゃく座から二人が来られ「楽屋殺人事件」の公演がある。


その一人泉篤史さんはきれいな声で表情豊か、ルックスも良い。ピアノの演奏とともに眼前で演じられる歌と劇がどんなものか興味があるので楽しみにしたい。


上越市出身の泉さん
北城高校、新潟大学卒業

日頃おばあちゃんの事で泉さんのお父さんとお会いする。そのたびにお父さんの声がとても良いのに感心していた。
先日ひょんなことから、悴です、と仰り、少しもじもじしながら篤史さんの公演チラシを見せて頂いた。良いお声のお父さん、その悴さんが歌の道に進まれている。やはりと、いささか驚きを交えつつとても頼もしく思った。

音楽や演劇がお好きな皆さま、宜しければ26日(土)の髙田まちかど交流館へ足をお運びになっては如何でしょうか。

チケット2500円(全館自由席)
お申し込み
・オペラシアターこんにゃく座 電話044ー930ー1720
・プレイガイド:: 上越文化会館

集まれば最年長。

2023年8月20日(日曜日)

台風7号は当地に数時間雨を降らせて北へと去った。去って三日目の本日赤倉で同業者のゴルフがあった。高齢なので一番前のティーから打つのだが52、49で7位賞をもらった。今年はこの辺が普通で毎年下手になっていくのがよく分かる。

本日は4組のコンペ参加者中、私が最年長だった。ゴルフに限らず人が集まると最年長という機会が増える。5,6年前までは上から二番三番程度で何一つ気にすることも無かったが、今日最年長であることはおよそ集まる前から気がつき、あまりいい気持がしない。

そんな自分もかつて仕事やゴルフで「若手」と呼ばれていた時代があった。そう遠い話ではなく、たかだか3,40年前の事だ。それが文字通り「いつしか」最年長の立場になっている。早いか遅いか聞かれればやはり「早い」である。

若手と呼ばれていた頃同業のゴルフ会の幹事を二年間やった。今ほぼ4組の参加者だが当時は6~8組、多いときには10組集まった。40人である。
その時年配の先生方には気を使った。特に最高齢の数人の方々の参加の可否は気になり、一人でも多く参加されると安心し喜んだ。

いまコンペはなるべく休まず参加しているが、皆さんは私をどう思っているのだろう。プレイ中や表彰式などで特に気を使われている風もなく、何と言うべきか、それが有り難いと感じている次第です。

8時過ぎの駐車場と妙高山。

赤倉の日陰と風は涼しく、午後のいっとき雷が鳴りパラパラと雨が降った。

帰宅後の夕刻芝生に撒水した、終わって関田山脈に大きな積乱雲が湧くのを見た。

遠いかなとこ雲と
右に発達中の積乱雲。

その積乱雲の雄大な全容。

台風一過後も変わり無く暑さが続く模様。

二つのポスター 熱心な親子さん コーナーの工夫 大洞原の野菜 夕食。

2023年8月19日(土曜日)

本日は篠崎正喜展に展示中のポスター2点のご紹介からです。

篠崎氏が手がけた劇団美術の中から劇団四季公演「ガンバの大冒険」から1点、劇団七曜日(コント赤信号渡辺正行主宰)ポスター原画の2点の掲載です。

「ガンバの大冒険」ポスター原画。

 

劇団七曜日公演ポスター

いずれも着目意図を熟慮したうえそれに沿ったデザインと色彩配分が行われ美しく仕上げられています。

さて次は過日触れました展示場内三カ所のコーナーの工夫の実際です。

左から二番目の作品が
斜めになっています。

真ん中の台を斜めに。
立体的になった5枚の鉛筆デッサン。

真ん中の台を斜めに。

一般に四角い会場の展示ではその隅(コーナー)は狭く、両脇の壁に挟まれやや暗く空疎な場所の印象があり、常に使いずらさがありました。この度はそこへ斜めに展示台を設置しました所、作品は中央を向き、1点に立ったままで両脇を入れて3作品を同時に観ることが出来るような効果も生まれました。
奥まった場所柄、一種特別な場所のイメージもあり、良い試みではなかったかと自画自賛している次第です。

昼に寄ると3人のグループと4人のグループの親子さんがお見えでした。

一点一点良く観て写真を撮ったり、とても熱心な三人姉妹さんでした。宿題だったのかもしれません。

もと大洞原に関係された方から頂いたトウモロコシとトマト。スタッフも頂戴しました。高原の夏野菜は素晴らしいです。

 

野菜たっぷりのラーメンと
一緒に食べ、飲み物はいつもノンアルでした。

篠崎正喜展ポスター 篠崎氏のギャラリートーク「生成AIと美術」。久し振りの雨。

2023年8月17日(木曜日)

本日から「篠崎正喜展」が始まりました。楽しく美しく、不思議な世界を旅するような作品は絵画への関心の有無に関係なく一人でも多くの人に観て頂きたいと思っています。

以下は当展のポスターです。

 

篠崎氏はAIの現実や展望に造詣深く、10月12日(木曜日)午後3時から美術館陶芸ホールで「生成AIと美術」と題したギャラリートークを行います。入場無料、35席ほどのご参加を予定しています。お申し込みは美術館窓口か美術館へのお電話でどうぞ

本日の作品紹介は東芝EMIのCDカバーになった原画作品と学研の書物「えいごクリスマスのうた サンタにあえるクリスマスえほん)CDつきえほん)の際絵です。

「パッヘルベルのカノン」CDカバー
(枠内画面26×35㎝)
氏はこのほか多くのCDカバーを描きました。

学習研究社「えいごのクリスマスのうた」
挿絵原画(枠内画面28×48㎝)。

次回は多くのポスター原画から当館収蔵の二作品を掲載させてください。

本日午後雨が降りました。ザーザーと、撒水ホースからでは無く、空からあまねく降る雨はとても変わった現象に思われました。

沢山の雨粒を乗せた雑草。

篠崎正喜展の準備 コーナーが生きてきた。

2023年8月16日(水曜日)

約2か月に亘る私の写真と絵画展が昨日で終了した。写真は初めて絵画は4度目。わけてもは二度目の挑戦である油彩で苦労したのに比べ写真展は新鮮で自分自身が楽しめた。

おりしも「らんまん」の放映で牧野富太郎翁が取り上げられていることもあり、かって描いた植物画細密画への反応へ良さが印象にのこった。

売り絵のほうは「春の畑」が2点とも買われ、小さな5面体の椿と辛夷は8点、SMサイズの「西王母椿」は5点、「秋の畑」は3点求めて頂いた。いずれも皆さまの厚いご好意の賜物と感謝でいっぱいです。

お盆休みを終えた本日、拙絵画展の撤収と、明日からの「篠崎正喜展」の展示替えをした。展示に際しある工夫した結果作品数は26点となり、陶芸ホールは篠崎作品でいっぱいになり、見応えある雰囲気が生まれたのではないかと思っている。

以下は展示作業中の一コマです。

 

照明の調整前の段階です。

午前午後とも仕事がありましたため小一時間ほど作業を手伝いました。このたびも作品は陶芸作品の展示ボックス(台)に立てる方法で展示しました。
するとたまたま気がついたのですが、これまで使いずらかった四角いホールの隅(コーナー)に斜めに台を置いて展示してみたところ、作品が中心部に向いてとても良い場所、ある意味特別な場所ではないかと思われる事が分かりました。

本日は遅くなりましたので、明日、かってない鮮やかさに変わった場内の様子を掲載させてください。

篠崎正喜作品、南国の海辺の二作品 暑かった高田の午後。

2023年8月14日(月曜日)

本日は前回に続いて来たる篠崎正喜展の作品紹介です。今日の暑さにちなんで夏らしい作品を載せてみました。

作品の額はフォトスケープで付けました。

「のいばら」〔枠内画面20×26㎝)。

「海風」(35×49㎝)。

宮崎県の海辺の町ご出身の篠崎氏。いずれも南国の人らしい鮮やかな色彩と海風が吹き抜けるのを感じさせる絵です。

以下「海風」の細部です。具体的にどうされているのか私にも分かりませんが、何らかのスクラッチ技法を用いられるようです.。遙かな背景、色構成、絶妙な陰影とグラデーション、そして可愛い動物にはひたすら脱帽です。

 

2010年12月樹下美術館のカフェで
ご自分の作品「午睡」の前の篠崎氏。

さて本日は柏崎からのお茶人お二人と木村茶道美術館のお話を沢山して勉強になった。

その後、髙田本町は遊心堂さんへ出向き大きな皿立てを一個求めました。リーズナブルなものがあって助かりました。但し降りた髙田の暑かったこと。40度に迫る気温のうえ、地面の照り返し、熱風が重なり悩まされました。

篠崎氏の絵皿(トールペインティング) 鮮やかな絵画。

2023年8月11日(金曜日)

8月17日(木)から10月17日(火)までの「篠崎正喜展」が近づいた。精緻で美しい絵を描かれる東京在住の篠崎氏を知ったのはボタニカルアートを描き始めて苦労していた2000年少し前頃だったと思う。

ネットで知り交流し始めたのだが、氏のホームページには夢見るような作品が沢山掲載されていた。我慢出来ずにやり取りしたうえポツリポツリと譲って頂くようになった。当初作品を皆さんにも見て頂きたくて2002年上越市大島画廊の拙初作品展の際特別に1点展示した。

さらに2007年の樹下美術館開館に際し、カフェに飾る「午睡」を描いてもらった。若い女性がピアノにもたれて眠っているという150×180㎝の超大作はカフェのシンボルとして今も皆さまに楽しんで頂いている。

いつか氏の展覧会をと考えていたのだが、不遜にも今年私が写真と絵の前座をし、夏の本番二か月の開催へトントンと決まった。信じがたいほど色鮮やかな作品はいずれも夢に出て来そうな不思議さが漂い、ある種デジャブ感覚を覚える独特な作風。中でもまだ手にしたことも無い絵皿のような丸い作品は魅力的だった。

昨日氏のご好意としてあこがれの皿型トールペインティング作品「6月の花嫁」が届けられた。モチーフが夢のようなら、送られてくるのは夢の又夢。

「6月の花嫁」
直系は40㎝、かなり大きいのです。

作品写真は氏のホームページから拝借しました。画中でライオンがピアノを弾き、周囲に熊、リス、小鳥、兎がいます。氏の作品には細部の到るとこと眼をやる楽しさががあります。

このたびの作品には以下の様な説明が添えられていました。

最初に西洋の主婦のお遊びトールペインティングを画材に選んだとき、芸術まで高めることを目指しました。

銀座で個展をすると、それはすぐに認められました。
美術手帳や主婦と生活などから広くインタビューを受け、取り上げられました。
最初は画材屋が米国から輸入した木製のお皿を使っていましたが、大きさなどに不満がありました。それで自分独自の素材を作ることにしました。

40年近く前、日暮里に江戸轆轤(ろくろ)職人が生き残っていていました。そこを訊ね30枚を挽いてもらいました。仕事が暇になっていたいたころでしたので、彼は大変喜んでくれました。

使ったのは外国の桐に似た木材で、削りにくいと話していました。木材だけでは弱いので、裏表に2枚、キャンバス地を凸凹に合わせて伸ばしたり縮めたりしながら、しっかりと貼り合わせました。キャンバス地にはジェッソを幾度も塗り重ね、サンドペーパーで仕上げました。乾漆のように軽くて丈夫なものです。

以上から氏の作品、なかんずく描く素地(マチエール)から、制作過程へのこだわりの一端が窺える内容がしたためられていました。

本日の最後はいっそう鮮やかな「この森に天使はバスを降りた」です。

「この森に天使はバスを降りた」
写真は氏のホームページからお借りしました。
当館収蔵では最も小ぶりな作品の一つです。

当作品は虹よりも鮮やかな小鳥、夜空の月と星と雲。わけても中心部に影がある雲など氏ならではの観察と表現です。夜なのに眩しい色彩。俯瞰された赤いバスから人(天使?)が一人降りたようです。

この先、当ブログでもう少し作品を掲載させてください。会期中は当館収蔵の24点を展示する予定です。

※トールペインティング:欧米でブリキ、鉄、木などの薄い素地に絵を描くこと。教会の装飾品、家庭の家具調度品に用いられ、趣味としても広がりました。語源のトールはブリキなどの薄い金属を指し、現在彩色には主にアクリル絵の具が用いられているようです。

森のトマト畑第3版 当県の暑さ。

2023年8月9日(水曜日)

8枚の挿絵が入る24ページの自作絵本「森のトマト畑」。1983年(昭和58年)、原稿用紙に手書きし挿絵を挟みホッチキスで止めた粗末なものだった。その後文字を活字に直し10年ほど前から樹下美術館で販売した。時々手にする方がいてお陰様で200部ほど出た。

トマトを咥えたカラスが逃げるページ。

前回の外観。

手がけて40年が経ち、この度表紙などを替えました。

相変わらすのホッチキス止め、
製本テープのままですが、
少しシャキッとした感じになったのか。

これまで一冊700円(税込み)でしたのが、今年ビジネスプリンターにしてインク代が安くなりましたので500円になりました。ご自分用やお孫さん用など、宜しければお手に取ってご覧下さい。

本日も酷い暑さ。髙田、大潟はじめ新潟県の9カ所の観測地点が本日の全国最高気温10位に入りました。
ところで学生時代、テニス部に入部しましたが、前年の夏合宿が新潟市であったそうです。入部早々、先輩達から「去年の合宿は暑かった」「新潟は暑い」と何度も聞かされました。

たびたび当県の夏の暑さは全国トップや上位になります。しかしそれは近年だけのことでは無く昔からそうだったのではないでしょうか。

不快で警戒を要する暑さ。

2023年8月8日(火曜日)

毎日決まったように35度前後の熱波が続く。この先の天気予報も似たようなマークと気温が並び傘マークは現れない。最後の雨はいつだったかもう思い出せなくなった。

熱心に畑に行っていた人が「茄子くらいなものでほかは全て諦めました」と仰った。今夕のニュースで上越市大潟で38,6度と伝えた。家も仕事場とも冷房が効くのは部屋だけなので廊下や玄関などの熱気は凄まじく、外出時の車は焼けている。

歩いて通学、通勤、買い物などをする都会の街頭インタビューは本当に辛そうで、甲子園の様子はこの世のものとは思われない。外来で聞くととんでもない熱気の職場を余儀なくされている人もいて、夏の気象は限界にきているのではと案じられる。

一昨日の訪問診療で虹が掛かっていた。そこには雨らしいものが降っていたはずだが雲が見当たらず、不吉な感じさえした。

この時期は祭や野球など戸外スポーツ、野外イベント、海水浴ほか夏観光のハイシーズンでもある。近年の異常な高温から熱中症の発生が多発し予報に際して湿度や熱条件などを加味した暑さ指数(WBGT)が発表される。
21未満は「ほぼ安全」、21~25は「注意」、25~28「警戒」、28~31[「厳重警戒」、31以上「危険」とされている。ちなみに本日の上越市髙田で26,9、大潟で26,2の「警戒」レベル。明日も同程度らしく熱中症アラートが発せられていた。

過日の石川県に於ける夏の甲子園大会予選で最高指数31の「危険」レベルを越える日があったという。本来なら試合は中止すべき気象条件で、議論になった模様。サッカーはこのレベルを中止と定めているようだが甲子園の高校野球も朝夕二部制、一部ドーム球場の採用などが課題に上っているらしい。

かって夏の気象に関して不快指数が日常的に伝えられた。もう使われなくなったのかと思っていた所、ググってみると現在も発表されている。通年の指数だが夏の蒸し暑さ(不快)の指数として85以上は殆どの人が不快とされている。ちなみに明日の新潟県は87と出ていた。

炎天下の大潟水と森公園 修行?するチョウトンボ。

2023年8月7日(月曜日)

36度もある暑い午後春先以来の大潟水と森公園を歩いた。お目当てはクサギにとり付くクロアゲハ、水上のチョウトンボ、ほか何か花でもと思って出かけた。

大きなクサギに数頭のクロアゲハかカラスアゲハが忙しく舞うが一向に花に止まらない。かなり粘ったが上手く写真が撮れず諦めるほかなかった。

ある場所を歩いているとガリッと靴が何かを踏んだ。

木の実が落ちていて

見上げるとエゴノキの実だった。

実を一つ拾い舐めないよう気を付けて噛んでみたところ、全く歯が立たない。この実をバチッといわせて野鳥が食べるというから嘴の強さには凄いものがある。

 

 

ミソハギ

ヌマトラノオ

いつもは居るはずのチョウトンボが見当たらず、公園を出て鵜の池の向こう側に回ると堤にそって沢山いた。
このトンボの翅の色は黒、茶系のものから青色、紫のメタリックまで色々あって面白い。

 

 

不思議な外観のチョウトンボは炎天下でじっと水草に止まっている。

夏安居(げあんご)は室内で行う夏の修行だが、外で熱波にあぶられながらじっとしているチョウトンボはあたかも修行をしているようであなどれない。
不謹慎かもしれないが、眺めていると一生懸命さと頭の格好から六波羅蜜寺の空也上人像が重なって離れなくなる。

一時間少々のあと美術館に寄って何杯も水を飲んだ。

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