樹下だより
「絵付け陶芸三人展」から その2 鈴木秀昭さん。
現在樹下美術館では10月19日~12月12日の「絵付け陶芸三人展」を開催しています。本日は前回の正木春蔵さんに続いて三人の一人鈴木秀昭さんでの紹介です。
亡き齋藤三郎に代わる焼き物を求めて、しかもどうしても絵付けでなければならず、出会った正木春蔵さんに親しむうち、ふと舞い込んだ展示会のDMは鈴木秀昭さんでした。
DMの作品は抹茶茶碗で、器の全てが色絵と金銀彩のドット(水玉、点)で埋め尽くされ、衝撃的でした。主催者に電話し是非欲しい、と伝えると展示会後しばらくしてまさに現物が届きました。鮮やかな茶碗はほどよい重さで広やか。置き方によって一つの器に昼も夜もありました。
日本の絵画は間や空間を強調します。しかし隙間無く描き込まれた鈴木さんの茶碗は、器の内外に凝縮し拡張する壮大な宇宙がありました。
その後折々各地の作品展のDMが届き、どうしてもと思う作品を打診しました。作者のご好意もあったと思いますが、良い作品に恵まれて幸運でした。
向こう「金彩華花銀河茶碗」、
手前に上述した「金銀彩星座茶碗」
向こうの器の白い肌も美しい。
上掲写真の綺羅星(きらぼし)茶碗は私の不用心で破損させてしまい、金継ぎをして修復してもらいました。
手前の茶碗はかって新潟市で裏千家茶道坐忘斎お家元が座られた薄茶席で、恥ずかしくも小生がお点前し、主茶碗(おもぢゃわん)としてお出ししました。
家元の優しさに我を忘れて夢心地となり、何とか無事終了させて頂き、終生忘れない思い出の茶碗となりました。
上掲の茶碗は神戸の展示会DMで知りました。求めたいと伝えると、店はこの茶碗で呈茶を催す予定があるが構わないかと遠慮がちに申されました。構わないどころか、一人でも多くの人に楽しんでもらってくださいとお伝えしました。
1959年東京都生まれの鈴木秀昭さんはアメリカへ社会学の留学をしましが陶芸に目ざめ、九谷で修行。宇宙や曼荼羅をテーマにした色絵金銀彩は注目を集め、内外の展覧会で好評を博し多数の美術館で収蔵されています。伊豆を仕事場に器とともにオブジェも大切なフィールドです。
この度の展示では5つの展示台に10の鈴木作品を出品しました。
「絵付け陶芸三人展」からその1 正木春蔵さん。
筆者の幼少、父は齋藤三郎の陶芸作品に夢中になり収集しました。
器は飾られたり日常の食器として使われ、暗さが漂う家を明るくし、観る喜び食べる楽しみをもたらしました。父母はことある度に器を褒めるので私達子供は器ばかりか齋藤さんまで大好きになりました。
斯くして齋藤作品は幸せの器として脳裡に焼き付きました。ところが昭和56年氏が亡くなると、家に火が消えたような寂しさが漂うのを感じました。その後歳月が経ち亡き齋藤さんに代わる絵付け陶芸家と巡り会いたいと思うようになりました。
この度の「絵付け陶芸三人展」はそんな気持で店や窯、あるいは通販やネットを通して3,40年にわたり求めた三人の作家さんの作品展です。
以上の三人では正木春蔵さんが最初の作家さんです。ある抹茶茶碗名鑑で見た色絵の繊細な作品が頭から離れず、工房を訪ねたのが始まりでした。
石川県の山代温泉は魯山人も逗留した旅館白銀屋(しろがねや)さんのご子息で、近隣に「山背陶房」を営まれていました。同宿に泊まるなどして数回窯を訪ね夕食をご一緒したこともありました。
山に同化したような穏やかさの中に熱い情熱を秘めたお人柄。加えて近隣の作家とともに一帯の陶芸を盛り上げようという意思を明確にされているのが印象的でした。
また道中一緒の時「この森にはエビネが自生しています」、食事では「古唐津の盃が好きな陶芸家が多いようですね」と仰ったのが耳に残っています。
その後東京は六本木「サボア・ヴィーブル」という店でよく正木作品を扱う事を知り上京の折に立ち寄り、店内一段と輝く氏の作品を手に取らせてもらうようになりました。
都内では他に数店が同氏作品を扱っていましたが、店主の人柄から同店に寄りました。
中国風の大きな染め付け楕円皿。
牡丹と獅子が描かれ、
長径30㎝以上はあります。
氷裂模様が入った大きな器。
尊式に膨らんだ胴に麗しい動物。
なんておしゃれなのでしょう。
美しい蓋が付いた瓶の
独特の間と清々しさ。
多様に描き込まれた盃。
急須と湯飲み茶碗。長い人気を誇るねじり文の湯飲み。向こうに陶器と磁器の大きな急須、中ほどに染め付け急須2器がある。
正木作品は6個の展示台に15作品を出品しています。
上掲尊式の大きな器は30年近く前、ワインブームの折、近隣のDr4人がワインを持ち寄る集まりで、ワインクーラーとして活躍しました。2点ともサボアで求めたと記憶しています。
氏の作品は新鮮なうえ余裕あるいは間や遊び心があり、美しくも楽しい使い心地があります。
遅くなりましたので本日はここまでとさせていただき、続きは次回とさせて下さい。
終日厳しい風雨のなか来館された皆さまに感謝申し上げます。
「今回の展示会の図録は無いのですか」とお尋ねされたお客さま、無くて本当に申し分けありません。それに代わりまして、幾分の詳細をブログに書いてみようと思った次第です。どうか宜しくお願い致します。
本日偶々のお客様。
今日木曜は仕事休みの日。
いつもより早起きし、本日から始まる「絵付け陶芸三人展」で入館者さんに配る説明資料を慌ただしく作り美術館へと妻に渡した。
同展の初日だが展示と関係なく来られた団体さんや、東京→十日町のご実家を経て樹下美術館へと来られたご夫婦、昭和時代のヨット仲間A氏が寄られ忙しくも楽しい日だった。
わけても東京のご夫婦とは奇遇というほかないいきさつがあった。
詳細な説明には2021年11月19日の当ブログをご覧いただくのが良いのかも知れない。そこでは数年前のNHK放映「日本ぶらり鉄道旅」の大井町線で等々力(とどろき)に住む女性が取り上げられていた。
彼女は壊れた焼き物を修復される人だった。番組ではその作業が放映され、扱われた取っ手が破損したマグカップこそ何あろう齋藤三郎の作品だった。
修復の依頼主は「祖父が美味しそうにビールを飲んでいた器」だと聞いていると紹介されていた。そして本日ご実家の十日町を訪ねた後、樹下美術館に来られたご夫婦こそ、その依頼主さんだった。
陶芸ホールでお茶を飲みながら、お爺様が所有されていたという昭和20年代と考えられる色絵と染附けの湯呑もスマホで見せて頂いた。とても良い作品だった。
それが両方とも金継ぎで補修されている。齋藤さんの器はよく破損した。それだけよく使われたのだ。母も壊しては父に苦い顔をされていたが、仕方がない。
さらにご夫婦の姓から、もしかしたら齋藤三郎と遠縁同士かもしれませんね、という話にもなった。
ところで私の東京の最後の住所は大井町線「尾山台」で、修復は隣駅「等々力」の女性宅で行われている。くだんの齋藤作品は修復のため大井町線を行ったり来たりしたことになり、本日はその持ち主さんが突然お顔をだされ、同線の「緑が丘」のお住まいと仰った。
ああ緑が丘は私が尾山台の前に最も長く住んだ大岡山の隣駅ではないか。
そんなことから本日午後中、緑が丘は蒲田線(昔の目蒲線)だか大井町線だったかなど、忘れかけていた一帯の位置関係を思い出すのに頭が一杯になった。
お二人は裏手の田んぼに出られたり庭を歩かれ、帰り際に齋藤三郎の図録を求められた。
NHK放映後、拙ブログなどもあり、すっかり齋藤三郎ファンになられている様子が伝わり、破損マグカップが取り持った奇縁を何とも有り難く思った。
その後、昔のヨット仲間A氏が来られた。ちょうど残った柿を採ったところで、ベンチに座りスタッフに剥いたもらい茶を飲みながら昔話をした。
熊の話題になり、A氏が「今年は熊が柿を目当てによく里に下りている。県下のある地方では熊が寄るのを防ぐため柿の実を全て取るように言われているらしい」と話した。
夏中続いた暑さで山の食べ物が不足しているなら、そのような手段は本当に必要ではないかと思った。
何かと忙しい日でしたが、以下は庭に咲いている花です。
リュウノウギク。
ホトトギス。
次回はもう少し上手く写した花を出したいと思います。
明日から始まる「絵付け陶芸三人展」の準備をした。
本日総出で明日からの「絵付け陶磁器三人展」の展示準備をして終了した。
今年の陶芸ホールは「齋藤三郎 壺展」、「館長の写真展」、「館長の絵画展」、「篠崎正喜展」とめまぐるしく企画展を続けた。展示構想、撮影、告知、広報、搬入搬出などが連続し非常に忙しかった。
年だからもうのんびりするのが普通なら、私の場合、年だからこそ慌ただしくなるのを否めない。慌てるし疲れもするが、何よりも張り合いが前に進ませてくれる。
展示してみると、赤絵の黒岩卓実さん、色絵金銀彩の鈴木秀昭さん、九谷の正木春蔵さん、三人の作品は等しくとても楽しい。それぞれ色が冴えているうえ筆致に緻密、軽快、繊細など三様の個性があり、特異な作風が一貫し観ていて飽きない。
キャプションと共にケースに収まった場内を見ると、力作の迫力と作品の楽しさがホールに満ち、あらためてワクワクした。
展示作業の最後は照明。渡辺電気さんにやってもらっているが高い所の作業はいつも心配で気を揉む。
入って直ぐの黒岩卓実さんの大きな赤絵深鉢。肌色の柔らかな地に菊、蝶などが見込みに、独特の動物模様が胴回りに、いずれも速筆で描かれ、添えられる緑に大胆で味わい深い赤が冴える。入って左回りに黒岩作品が続く。
正面に近づくと鈴木秀昭さん作品に変わる。上掲は抹茶茶碗。いずれの器も宇宙や曼荼羅の形象が金・銀・色絵によって驚異的な緻密さで埋め尽くされ、哲学的な雰囲気が漂う、
最後は山代温泉の正木春蔵さん。九谷の伝統と中国や半島の研究を土台として、独特の間と一種飄々とした文様がセンス良く描かれる。かって数回窯を訪ね、食事をご一緒したことがある。
お三人とも様々な雑誌でよく取り上げられ、東京はじめ日本各地の有名店の展示会は常に好評を博している。
陶芸室の18の展示台に38作品を展示しています。
年度末まで本展示を継続いたします。晩秋から初冬へ、日々変わる空を味わいつつどうかお寄りください。
篠崎正喜展が無事終了した ノートの絵。
8月17日から始まった篠崎正喜展が本日最終日となり終了した。長いお付き合いをした篠崎さんに10年ぶりに来館して頂き12日には講演会もしてもらった。
才能と汗の結晶である美しい作品は明日の作業で仕舞われてしまう。とても名残惜しいが何時か何らかの形でまた展示してみたいと思った。
最終日ということもあっていつもよ少し賑やかにして頂いた樹下美術館。長野県から三度目の篠崎展に来られたご夫婦、髙田文化協会60周年行事以来のA氏。皆さまと楽しくお話しているうち車の一年点検をすっかり忘れてしまった。
本日丸テーブルのノートに以下の絵が描かれていたと妻が持って帰りました。
どうすればランチをしながらこんなに生き生きと描けるのでしょう。きっと小さい時から描くのがお好きだったのですね。
時雨ときどき晴れ、ときどき虹、そして紅葉へ、今年も秋らしくなってきました。本日ご来館の皆さま、有り難うございました。
今年の樹下美術館の柿。
樹下美術館の敷地で採れる果物が柿です。まだ幼い木ですが昨年初めて10数個収穫しました。今年は夏まで20個ばかりあったのですが、、暑い盛りにポトリポトリと実が落ち、8個が色づくまで残りました。
10月5日、8個のうちの2個。
10月9日、1個が鳥に食べられた。
鳥に食べられないうちにと思い、まず2個を獲り、数日家で陽向に起きました。
本日その2個を食べました。
パリパリとした歯ごたえのある甘柿。美味しく食べたが昨年より甘みが少なく感じた。
長く続いた異常な高温は柿にも影響したのでしょうか。残った実は今後昼食替わりにサラダとともに美術館で食べようと思います。
「真実は美しい」 面白く有意義だった篠崎正喜氏の講演会。
現在樹下美術館で展示中の篠崎正喜作品。独特の美しい色彩と手を抜かない描き込み、旅情とファンジーの画家の講演会が昨日午後終了した。
氏と知り合ったのは植物画を描き始めた頃なので25年ほど前になる。細密に描くことに苦労をしている時ネットで知りメールを交換、東京や横浜でお会いし、こちらにも二度足を運んでもらった。
ご好意に甘えて作品を求めたのが、念願叶いようやくこのたびの展示に到った。
よく晴れた昨日の駐車場。
演題は「生成AIと美術」。
氏は私より少し若いだけなのに美術や思想はじめテクノロジ-、環境や健康などについて深い興味と理解を有されている。AIについては頻回に氏のブログで取り上げられていて、それは瞬く間にChatGPT、生成AIへ、美術との関連へと展開されていた。
場内の様子。
講演される篠崎氏。
10年ぶりの氏は一段と個性を磨かれ独自の境地へと進化されたように感じた。当日自らトライし上書きを試みた映像を紹介しながら説明された。
生成AIは、丁寧かつ要点を絞ってプロンプト(指示、依頼)すること。一般的になってからまだ日が浅いため、興味さえあればだれでも等しくスタートラインに立てると強調された。
まだ生成AI作品には一種の欠落や錯誤が混じるがフォトショップで自分なりに修正を試みていること、未来とくに事物の劣化や荒廃などの表現が得意なこと、あるいは作品の所有権などにも言及された。
最初の方で、カウボーが荒野で馬をを駆るシーンをA・ワイエス風に描く要求に応えた絵が示された。砂塵舞う躍動的な作品で、なるほどなるほどと感心したがワイエス独特の静謐さは今一だった。
快活に語る氏の姿勢は印象的で、取り組みには「何より楽しむこと」が大切と明言された。
南国の海と島、着物の少女をオーダーした作品。とても気に入っているとコメントされ、鮮やかさは宮崎県ご出身だけある。
※上掲3葉は端の席から撮りましたため画面が歪みました、、、。
生成AIは色々やってみているが全体として「生活感」の希薄さが課題と仰った。
後段には自らの作品の解説と、在りし日の親族とのことを描いた自筆スケッチ、さらに街で出会う人々のスケッチ作品が多数追加された。
颯爽と自転車に乗る美しい脚の娘さんや主に赤羽駅周辺あるいはアメ横や電車内、あるいは横浜で見た人々の作品が供覧された。
アジアや中南米の人々、ダンサー、変なオジサン、美しい店員、部活帰りの女子高生、格闘家、変わったおばさん、風俗嬢、鎌倉の女性などなどが、「きれいでしょ」「可愛いでしょ」「面白いでしょ」と次々紹介された。
出会った場所ではなく帰ってからサッと描くという観察眼と記憶力(印象力?)、なにより筆力にはただただ脱帽。休憩を挟み納得と笑いが絶えない貴重な2時間だった。
振り返れば後段の亡き家族や街の人々のスケッチはただの自己紹介や作品解説では無かったのではないか。実は無双「生成AI」がなし得ていない、あるいはその先にある、またはアンチテーゼとしての「様々に匂いのある生活感あふれる作品」の提案だったのかもしれないとふと思った。皆さまは如何だったでしょうか。
終えて近くの「サブリーユ」で食事を一緒した。そこでも話尽きなかった。氏はかなり前から老荘思想、特に莊子が良いと傾倒されている。他方、量子力学への興味から下世話な世間話などへも広がった。
あああのように様々な範疇への興味と洞察、そして描くことへの情熱が混然一体となって氏独自の美しい作品へと昇華されているのでは、と食事を一緒した方が仰った。まったくその通りだと思った。
幼少から描くことが好きで、多くのパトロンが付いた氏の作品。それでも描くことより売ることのほうが遙かに難しかったという。
「真実は美しい」という氏の言葉が心に響いた日だった。
連休の事々。
晴れたり曇ったりの昨日と小雨の本日月曜日は連休だった。
昨日はひごろお世話になっているお二人と柏崎市は「石地シーサイドカントリークラブ」でゴルフをした。
初めての同コースは緑濃く起伏に富み難しい。誘って下さったA氏は同クラブのかっての選手。新潟県の選手権で何度もクラブチームを優勝に導かれている。
氏とは二回目だが、驚くほど飛ぶ。少し曲げても後のリカバリーが良く、同伴のB氏と終始目を丸くした。
各ホールの急所を説明しながら後半のアウトなどは38で回られた。同じゴルフでも私達とは次元が異なり、こちらは観客目線で楽しむというような感じだった。
本日月曜はスポーツの日の祝日。小林古径記念美術館で7月15日から行われていた「生誕110年 齋藤三郎展」が本日で終わる。
とてもお世話になっている小島正芳・日本良寛会会長さんがお見えになるので同展に行った。
ちなみに樹下美術館からも出展したこともあり三度目の訪館となった。
館長はじめスタッフ一同の努力によって充実した展覧会となり、本日も賑わっていた。発刊された図録も充実し、愛すべき一冊だった。
二代陶齋・齋藤尚明氏ご夫妻、宮崎俊英館長さん、コレクターの長瀬幸夫さんのお顔も見え、ひとしきり齋藤三郎を懐かしみ最終日を過ごした
尚明氏と小島先生が會津八一が揮毫した書き入れ陶器の皿を観ている。
一渡りした後美術館を辞して髙田駅まで小島先生をお送りした。道中先生の若き日、お勤めされた安塚の学校や、お住まいされた浦川原の話を興味深くお聴きした。
ところで樹下美術館は酷暑の真夏に比べ秋になり入館者さんが増えた。日中の外出を控えてと勧められるほど危険な暑さが続いたのだから仕方が無い。こうなると今後“芸術の秋”はますます鮮明になるかもしれない。
本日裏手の小さな水路が愛らしいミゾソバで被われていた。
みぞそばの陰にちろちろ水の音
行く秋を惜しんで花に取りつく蝶たち。何とは無しにその蝶と花を惜しんでいる自分。なぜだか「春秋」とは良く言ったものだとふと思った。
篠崎正喜さんの鉛筆画。
月並みだが歳月が早い。ついこの間まで暑い暑いが口癖だったのに、突然寒いというようになった。暦は9月を飛ばして一気に10月、それも本日6日を迎えている。
今月17日までの「篠崎正喜展」があと10日で終わる。本日は入場して直ぐ左の一角にある鉛筆画5点の紹介です。
広く澄んだ時間が柔らかに切り取られています、
上掲二作とも少年が遠くを見ています。彼らには翼がありますが決して不自然には見えません。遠くを見ていた青春時代の気分が蘇ります。
かすかな耳鳴りだけが聞こえているような一人の時間。その時間にも何人かの人がひそかに一緒にいるのではないでしょうか。いずれの作品にも自然な旅情が感じられます。
●10月12日(木曜日)15時から篠崎正喜さんの「生成AIと美術」のギャラリートークを致します。入場は無料、まだ少し余裕があります。美術の最も新しく切実なテーマではないでしょうか。お暇をみておいで下されば有り難く思います。申し込みはお電話でどうぞ。
樹下美術館 電話 025-530-4155
涼しくなりました 篠崎正喜展 絵本「青いナムジル」の原画から。
10月17日(火)まで開催の篠崎正喜展。およそ二ヶ月の展示は後半に入りました。ご好評を頂いている展示ですが過日妻から遠来のご夫婦のお客様のことを聞きました。
お二人は、それはそれは熱心に時間を掛け作品を観て行かれたそうです。長野県の東御市(とうみし)から二回目のの来館とお聞きしたということ。一回目は当地を訪ねたおよそ二週間前、たまたまサイトで樹下美術館を知り篠崎作品をご覧になったそうです。その際展示をとても気に入り早速二度目の訪問だったそうです。
さて本日は展示中の篠崎正喜作品から書物「青いナムジル」の挿絵「金持ちの娘」です。白馬と草原と青年ナムジルの物語で、かっての国語教科書「スーホーの白い馬」で知られるモンゴルの民俗楽器、馬頭琴生成の伝承をモディファイし童話作家寮三千子さんが物語として書き篠崎正喜氏が挿絵されています。
本日取り上げましたのは去る日の来館者さんが、作品の細部の描き込みに驚かれたのがきっかけです。
挿絵原画「金持ちの娘」。
いずれも中世絵画を思わせる鮮やかさですが、画家によるモンゴル衣装の研究成果ではないでしょうか。
話変わりまして以下は館内のお声ノートに残されている皆さまのメモの一部を掲載させて頂きました。
・とってもきれいだった。特に「この森に天使はバスを降りた」がとてもきれいだった。
・色の重なりがとてもきれいでした。素敵な世界を見ることが出来てとても楽しかったです。「海辺の街」が特に好きです。
・きれいで絵にひきこまれそうになりました。
・素晴らしい。好きな絵です。どんどん話がふくらんでいつまでも観ていられます。丸い。やさしい。人の目がいい(嫉妬している女の目でも)。動物の目や手足のフォルムに愛ががる。ユ-モアがある。どこかにいつもひとりを愛する(?)人がいる。きっとネコ好きでしょう。
・どうやってこの感動を買えるのだろう。
・絵のどうぶつがかわいいです。みていてたのしいです。またきたいです。
・昨年より絵本の読み語りのボランティアを始めましたので篠崎先生の作品に出逢えて本当に心より感謝申し上げます。
・本当に何度も足を運びたい美術館です。展示作品も驚くほどクオリティの高い作家さんでした。とても素敵です。有り難うございました。
本日は雨。ようやく涼しくなり“芸術の秋”の候になってきました。樹下美術館開催中の倉石隆の素晴らしいデッサンなどの「お嬢さん展」、あざやかなファンタジー「篠崎正喜展」をどうかご覧下さい。
●10月12日(木曜日)15時から篠崎正喜さんの「生成AIと美術」のギャラリートークを致します。35席の予定で入場は無料です。美術の最も新しく切実なテーマではないでしょうか。お暇をみておいで下されば有り難く思います。
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- 講演会「良寛さんに学ぶ」が無事終了した。
- カフェのノート、スケッチブックの絵、ブログ展その1。
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- 先週末の種々。
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