文化・美術・音楽・本・映画・スポーツ

篠崎正喜さんの鉛筆画。

2023年10月6日(金曜日)

月並みだが歳月が早い。ついこの間まで暑い暑いが口癖だったのに、突然寒いというようになった。暦は9月を飛ばして一気に10月、それも本日6日を迎えている。

今月17日までの「篠崎正喜展」があと10日で終わる。本日は入場して直ぐ左の一角にある鉛筆画5点の紹介です。
広く澄んだ時間が柔らかに切り取られています、

ここに5点まとめています。

「六月の花嫁」
遠くの人影は新婚旅行の出発?

「午睡」
樹下美術館カフェの大作の習作。

「遠望」

「車窓」

上掲二作とも少年が遠くを見ています。彼らには翼がありますが決して不自然には見えません。遠くを見ていた青春時代の気分が蘇ります。

「異邦人」
大人になっても翼が。

かすかな耳鳴りだけが聞こえているような一人の時間。その時間にも何人かの人がひそかに一緒にいるのではないでしょうか。いずれの作品にも自然な旅情が感じられます。

10月12日(木曜日)15時から篠崎正喜さんの「生成AIと美術」のギャラリートークを致します。入場は無料、まだ少し余裕があります。美術の最も新しく切実なテーマではないでしょうか。お暇をみておいで下されば有り難く思います。申し込みはお電話でどうぞ。

樹下美術館 電話 025-530-4155

上京2日目の護国寺、六義園、そして飯吉さん兄弟の音楽。

2023年10月4日(水曜日)

本日日曜日は午後から池袋の東京芸術劇場で音楽会を聴く日。先ずかって何度もその前を通った二カ所の東京名所、護国寺と六義園を訪ねた、

昨日食事を一緒した孫と護国寺で待ち合わせ。同寺は真言宗豊山(ぶざん)派で家の宗派にあたる。大きさは想像以上で、武蔵野丘陵の面影を残すゆるやかな起伏を生かした壮大な寺院だった。

仁王門。

不老門へと石段を上る。
赤い建物に緑が映える。
春のツツジも美しかろう。

近江石山寺のものを模したという優美な多宝塔。

酔芙蓉がひっそりと咲く大師堂。

和敬清寂(わけいせいじゃく)
の碑。

大師堂の脇に裏千家茶道、第13代家元、円能斉〔1872年生まれ)の顕彰碑が建っていた。護国寺には八つの茶室があり護国寺茶寮群と呼ばれているという。茶と真言宗開祖の弘法大師との関係の深さをあらためて思った。

時間の関係で早々に出なければならなくなり、再訪を決めて寺院を後にした。昼食は寺の直ぐ前の角のおそば屋さんで食べた。

続いて六義園へタクシーで向かったが思っていた以上に距離があって反省。

赤煉瓦の長い塀にぐるりと囲まれた公園「六義園」。その塀沿いの細い道は混雑する大通りの抜け道で車で何度も走ったが園内に入るのは初めてだった。通常は300円の入園料のところ、当日10月1日は都民の日というので新潟県民でも無料だった。

 

 

濃い緑と芝生、そして池。神宮が森なら、ここは水だった。よく手入れされていて、都心とは思われない爽やかさに驚いた。比べればあの上野動物園の無味乾燥ぶりが思い出され、同じ都なのに早くそちらにも手を付けたてと願われた。

園内で食べた氷水。

本日の本番、東京芸術劇場に向かうため再びタクシー。だが乗ったは良いが氷水のところにサイフの忘れ物をした(私ではない)ため戻るハプニング。
そんなこともあって会場到着はジャストだった。
孫が取ってくれた席は、間際だったこともあり三階だった。しかし有り難いことに2000人は入る会場全体が見渡せ大きさに驚いた。


演奏は白金(しろがね)フィルハーモニー管弦楽団。明治学院大学OBによるアマチュアフィルで、大学がある都内白金を冠としている。アマチュアといえどもステージを埋め尽くす100人を越す大編成オーケストラの迫力は目を惹き演奏が楽しみだった。
※ちなみに我が町、我が家の小山作之助が家出同然に上京し入学したのが明治学院の前身、築地大学でした。

この度上京した目的の一つは同オーケストラを指揮する汐澤安彦(本名飯吉靖彦)さんを観るためだった。
満場の拍手で迎えられた汐澤さんが団員の間を歩いてこられる。遠くに見える正装の人は、ああ70年前、中学校の学生服を着て何度か我が家へピアノを弾きに来られた飯吉靖彦さんその人なのです(当時近隣ではほかにピアノがありませんでしたし)。

中学生の飯吉さんは色白でハンサムなうえ流麗なピアノを演奏され、すでに我が潟町村のスターだった。

直江津高校を卒業後、東京芸大に進まれ卒業後は読売日響のトロンボーン奏者として活躍。かたわら指揮法を齋藤秀雄氏や渡欧してカラヤンアカデミーで研鑽を積まれている。以来長くプロ、アマを問わず多くの楽団に関わり熱心に指導と発表を重ねられた。

それなのに実際の演奏や指揮をされるのを一度もこの目で見ずに70年が経った。

始まった演奏はダイナミックに盛り上がった「禿山の一夜」から「「イーゴリ-公」のダッタン人の踊りへ。美しい調べはフランク・シナトラやトニー・ベネットの「Stranger In Paradise」でどれほど聴いたことか。
いつかはちゃんとオーケストラでと思っていたのが汐澤さんの指揮で実現し、爽やかなメロディが館内にあふれると胸が一杯になった。

休憩を挟み最後はブラームスの1番だった。人生の影と光がホールを振るわせる熱演だった。大ホールの三階に座るのは初めてで、特に管楽器と打楽器がいっそう輝かしく響く。アンコールを含めて4曲、良いプログラムで熱気に満ちた幸せな演奏会だった。

2000人近いお客さんで混雑するホワイエ。

さて汐澤さんが会いたがっているとある方から伝えられていた。終了後お疲れを考え遠慮しよう、と一旦出口に向かった。が孫が会ってみたいというので方向を変えた時、その方とばったり出会った。

彼女に案内され楽屋を訪れると着替えもされずに汐澤さんは待っておられ、満面の笑みで迎えて頂いた。80代中ばに差し掛かる先生は、背とお声が小さくなっておられたが、かっての私達のあこがれをしっかり秘めておられ、胸が熱くなった。

急に親にでも会ったように先生の肩に触れ手を握った。
すると突然、
「兄がお世話になりました」とそっと仰った。
私達は、ジャズに進まれた亡きお兄様「飯吉馨」さんとかつて親しくさせて頂いた。亡くなられて久しいが今そのことを口にされる。兄弟で異なる音楽の道に掛けた歳月と情熱が浮かび不意に涙がこぼれた。

こんな風に東京の週末は終わった。
昨夕の食事、今日の護国寺、六義園、そして飯吉さんご兄弟の音楽、、、良い週末だった。
いつものことだが、色々あっても、それなりに長生きをしなければと思いながら帰ってきた。

演奏会の入場料は都民の日サービスでしょうか、なんと1000円、上京の写真はスマホでした。

ムクゲ、パガニーニの本 悪天候のゴルフ。

2023年9月28日(木曜日)

暑くてどうしょうもない部屋からドアを開けて涼しい部屋に入ったような突然の天気の変りよう。今夏35度あたりを中心に外は病に匹敵する世界が続いた。庭や草地は焼け、私にはキリギリスやアブラゼミの声も乏しく蚊までも少なく感じた。それが4,5日で一変した。

一旦雨が降ると焼けた草地にもこもこと草が生え、心配した芝生に緑が戻った。暑さのせいなのか、美術館の若い柿は当初20数個実をつけていたのが夏の間中ポトポトと落ち続け、今7個まで減った。いくら雨が降っても戻らないので7つに掛けるほかない。

花を減らすのかと思ったムクゲが満開になっている。

去る24日、カフェで朝昼兼用の食事(妻が家で作ったもの)をカフェに持参して食べた。
立ててある本は「悪魔と呼ばれたヴァイオリニスト パガニーニ伝」。2018年の新潮新書で調べが詳細であり、著名な諸音楽家との接点や時代背景との絡みが勉強になり、面白く退屈しない。例によって気に入った本は何度も読むので、すらすら読める先がたのしみ。

さて本日休診の木曜日、A氏と米山水源でゴルフをした。どんよりした曇り空は午前なかばまで持ったが、途中から強風ときつい雨に変わり、午後終了まで続いた。
氏とのゴルフは、ほかの組が止めて帰るような荒天でも大抵続ける。お金と時間がもったいないのもあるが、とにかく好きでボールを打つのを止められないのである。
スコアは103。しかし最後はパー、パー、ボギーで上がったので、すべて良しとなった。

異常な酷暑の夏。果たしてこの先の秋冬はどんなだろう。

涼しくなりました 篠崎正喜展 絵本「青いナムジル」の原画から。

2023年9月21日(木曜日)

10月17日(火)まで開催の篠崎正喜展。およそ二ヶ月の展示は後半に入りました。ご好評を頂いている展示ですが過日妻から遠来のご夫婦のお客様のことを聞きました。

お二人は、それはそれは熱心に時間を掛け作品を観て行かれたそうです。長野県の東御市(とうみし)から二回目のの来館とお聞きしたということ。一回目は当地を訪ねたおよそ二週間前、たまたまサイトで樹下美術館を知り篠崎作品をご覧になったそうです。その際展示をとても気に入り早速二度目の訪問だったそうです。

さて本日は展示中の篠崎正喜作品から書物「青いナムジル」の挿絵「金持ちの娘」です。白馬と草原と青年ナムジルの物語で、かっての国語教科書「スーホーの白い馬」で知られるモンゴルの民俗楽器、馬頭琴生成の伝承をモディファイし童話作家寮三千子さんが物語として書き篠崎正喜氏が挿絵されています。

本日取り上げましたのは去る日の来館者さんが、作品の細部の描き込みに驚かれたのがきっかけです。

挿絵原画「金持ちの娘」。

 

娘の衣装の拡大。

 

女性の帽子部分。

いずれも中世絵画を思わせる鮮やかさですが、画家によるモンゴル衣装の研究成果ではないでしょうか。

話変わりまして以下は館内のお声ノートに残されている皆さまのメモの一部を掲載させて頂きました。

・とってもきれいだった。特に「この森に天使はバスを降りた」がとてもきれいだった。

・色の重なりがとてもきれいでした。素敵な世界を見ることが出来てとても楽しかったです。「海辺の街」が特に好きです。

・きれいで絵にひきこまれそうになりました。

・素晴らしい。好きな絵です。どんどん話がふくらんでいつまでも観ていられます。丸い。やさしい。人の目がいい(嫉妬している女の目でも)。動物の目や手足のフォルムに愛ががる。ユ-モアがある。どこかにいつもひとりを愛する(?)人がいる。きっとネコ好きでしょう。

・どうやってこの感動を買えるのだろう。

・絵のどうぶつがかわいいです。みていてたのしいです。またきたいです。

・昨年より絵本の読み語りのボランティアを始めましたので篠崎先生の作品に出逢えて本当に心より感謝申し上げます。

・本当に何度も足を運びたい美術館です。展示作品も驚くほどクオリティの高い作家さんでした。とても素敵です。有り難うございました。

 

本日は雨。ようやく涼しくなり“芸術の秋”の候になってきました。樹下美術館開催中の倉石隆の素晴らしいデッサンなどの「お嬢さん展」あざやかなファンタジー「篠崎正喜展」をどうかご覧下さい。

10月12日(木曜日)15時から篠崎正喜さんの「生成AIと美術」のギャラリートークを致します。35席の予定で入場は無料です。美術の最も新しく切実なテーマではないでしょうか。お暇をみておいで下されば有り難く思います。

小林古径記念美術館の齋藤三郎茶会。

2023年9月18日(月曜日)

上越市立小林古径記念美術館で生誕100年「齋藤三郎展」が7月15日~10月9日の期間で開催されている。当県陶芸家を先駆けた人の展覧会だけあって好評を博している。
長い会期の後半に入った昨日日曜日、齋藤三郎展にちなんで同美術館の小林古径画室において裏千家茶道の有沢宗香先生を席主として齋藤三郎茶会が催された。

いくぶん涼しくなりかけたのもつかの間、当日は暑さがぶり返した。午前中三席の会、10時30分からのお茶に上がらせてもらった。本席の床は淡々齋筆円相に風雲香が添えられている。小さめの円相は月をも思わせた。

恥ずかしながら正客席に押し出され、宗香先生が目の前。勿体なくも親しく言葉を交わして下さり、暑さを凌ぐお道具に囲まれ薄茶を楽しむことが出来た。

お菓子「秋の月」は大杉屋さんのお製。生前齋藤三郎が同店のマッチ箱向けにデザインしたラベルが一つ一つ菓子に敷かれている。私のは茶杓と茶碗が描かれていた。お菓子の味、色とも大変良く、齋藤三郎ゆかりのラベルが手に乗るという趣向に心和んだ。

膝前のたばこ盆の火入れは齋藤さんの作品(矢印)、染め付けの竹林文様が涼しい。

 

点前座のあしらい。

齋藤さんのかわくじらの水指と月と秋草の「武蔵野」茶碗。その左奥に立つ富士釜。お道具を囲む風炉先屏風は「雲月」とお聞きした。屏風の細かな格子は雲、金色の四角い囲みが月というわけだ。火がある点前座は風通う壮大なジオラマを思わせ、暑さ去らない当日に打ってつけの演出だと深く感銘を覚えた。
落ち着いたお点前によって点てられたお茶はまことに滑らかで良く香り、あたかも挽き立てのように新鮮な味がした。

席を終えて外に出ると堀の蓮はおおかた花が終わり青々とした葉に埋め尽くされている。すぐそこにお彼岸と仲秋の名月が待っている。口中にまだ茶の香りが残っていて、ああそれでも秋に向かっているんだと気がついた。

有沢宗香先生、楽しく美味しいお茶を有り難うございました。社中の皆さまお疲れ様でした。お写真をお貸し下さった社中の方、有り難うございました。とても良いお茶席でした。

本日髙田で髙田文化協会60周年記念の講演会と祝賀会。

2023年9月2日(土曜日)

本日午後、髙田仲町「宇喜世」に於いて髙田文化協会60周年記念にちなみ式典と上越市ゆかりの文化人堀口すみれ子さんの講演会「父・堀口大學とわたし」がありました。
すみれ子さんはエッセイストで料理研究家。戦前線後の約6年間を妙高市、上越市で疎開生活を営まれた文化勲章受章の大詩人、堀口大學のご長女で、幼少を当地で過ごされました。

澄んだ品格あるお声で身内ならではの父の実像と祖父母におよぶご家族のエピソードを話されました。大學先生に関してはメキシコからダボスのサナトリウムなど世界を駆け巡った旅と病のこと、画期的な「月下の一群」の出版や当地への疎開。さらに最後の富士を望む湘南における死まで、父の詩の朗読を交えながらまさに話中の「ビスタビジョン」の如く、起伏に富むダイナミックな内容に感動しました。

講演が終わると、不肖私はこともあろうにすみれ子さんへの花束贈呈でした。恥ずかしくも光栄とばかり必至に敢行しました。

何度お会いしても
チャーミングな堀口すみれ子さん。

休憩の後、祝賀会では二胡ととチェロの涼やかな演奏、祝いの謡曲、それぞれお立場に相応しい要人の挨拶、渡辺隆前上越教育大学学長がご自身の貴重な視点による髙田文化史が語られ、2日間に亘る記念行事一日目が終わりました。

堀口すみれ子様、求心力ある緻密なお話、本当に有り難うございました。お疲れになったことと思います。またお目に掛かりたく思います。

主催された皆さまの下準備、本日の司会進行のお二人様、本当にお疲れ様でした。また普段お目に掛かれない方々にお会い出来て幸運でした。参加させて頂き深く感謝しています。

エラ・フィッツジェラルドとカテリーナ・バレンテ。

2023年8月31日(木曜日)

過日のこと“帰りのラジオがエラ・フィッツジェラルドをやっていたけど凄いね”と妻が言った。ジャズのことなどめったに口にしないのに珍しい事だった。
確かにエラが凄いのは○○賞をいくつも取っていると言うこともあろうが、とにかく歌が凄かった。

往時ジャズ歌手は沢山いてそれぞれ極めて個性的だった。若いころは色々聴くき比べては、この人は奇抜で面白いとか、新しいとかはたまた暗さが良いと言って悦に入っていた
それが年とともに次第にオーソドックスが良くなり、歌唱の深さ、あるいは輝かしさなどに耳を傾けるようになった。その結果かって個性的ともてはやされた人の歌は耳障りとなり遠ざけられるようになってしまった。こんなことは私だけのことか、一般論なのか全く分からない。

だがかような事でエラ・フィッツジェラルドの終始一貫した王道の歩み、多彩で広い音域、さらに絶対的な音感とリズムなどから、とにかく安心して気楽に聴くようになった。

以下彼女の人気曲の一つ「How High the Moon」です。


1959年の録音。

アドリブといえども周到にリハーサルされたジャストな音程のスキャットが素晴らしい。終わりの方に「煙が目にしみる」を挿入し、エンターテナーとして全力でサービスをしている。

一方でポピュラーといってもカンツォーネ、シャンソン、ボサノバ・ラテンまで歌ったカテリーナ・バレンテはイタリア出身でアメリカのエラよりも若いが、やはり凄まじい。


カテリーナ・バレンテの
「MOTO PERPETUO」(1971年録画)

すでに何曲か歌った後でパガニーニの常動曲「(MOTO PERPETUO」)をスキャットで歌っている。MOTO PERPETUOはイタリア語の表記。

 


協奏曲の「MOTO PERPETUO」
こちらの方がテンポが少し緩やか。

エラもカテリーナもそれぞれの分野の歌姫として世界を駆け巡り圧倒的な人気を博した。エラは亡くなったがカテリーナは90才を越えて健在だという。

楽しい「6月の花嫁」の細部。

2023年8月28日(月曜日)

今日は去る8月25日に続き、開催中の篠崎正喜展から作品の細部を見てみたいと思います。取り上げるのは「6月の花嫁」です。
特注した木製の皿にキャンバスを貼り樹脂絵の具でコーティングしてから描かているようです。

「6月の花嫁」
当館で撮影、黒バックでトリミング。時刻は篠崎氏得意の月が上る時間の設定です。オレンジ色の花嫁衣装の美しい女性は電車が往き来する郊外の森の駅近くで描かれている。

花嫁の右側奥で、飲み物が置かれたピアノにうっとり顔のライオンが座り、ピアノの上で猫がバイオリンを弾いています。

続けて皿の縁をぐるりと眺めてみました。花にまじって動物と野菜、果物が描かれています。

今日は描かれた四種類の動物を眺めてみました。

ウサギが作者お得意のガラス玉を持っています。青がとてもきれいです。

 

愛らしいりすです。手にしているのはドングリでしょうか、ガラス玉でしょうか。

一番下は熊。

9時の位置に小鳥。

さてそのほかに動物と動物の間には様々な花と共にリンゴ、トウモロコシ、カボチャそして柿が描かれています。

六月の花嫁を動物や野菜、果物などが豊かな森と共に祝福している作品です。

不肖私も6月が一番好きな月です。安定した空、溌剌とした緑、作物が育ち花々は喜ぶ、、、。樹下美術館の開館を6月にしたのもそのようなことからでした。

2007年6月10日、開館式の様子。
当時の木浦正幸上越市長の顔が見えます。

2007年6月10日はとても良いお天気でした。

10月12日15時から篠崎正喜さんの「生成AIと美術」のギャラリートークを致します。35席ほどの予定で、入場は無料です。

こんにゃく座のお二人による舞台。

2023年8月26日(土曜日)

本日午後、オペラシアターこんにゃく座に所属する北野雄一郎さんと泉篤史さんお二人の舞台を観に行った。演目前半は「うたのステージ」、後半は二人オペラ「楽屋殺人事件」だった。ちなみに40人近い団員がいる同座は1971年に創立されている。
役者さん泉篤史さんは上越市出身で公演は凱旋公演と称されていた。暑い日だったが吹き抜けのある荘重な旧第四銀行の髙田まちかど交流館はしっかり冷房されていた。


公演用にしつらわれたステージのすぐ前に座った。ピアノ一台と若いプロの歌役者さんの公演。上演前の挨拶で良く響く声と自然で魅力的な振る舞いから、今日は来て良かったとすぐ思った

プログラム前半は「空気のうた」から始まり「Fragmentsー特攻隊戦死者の手記による」まで8曲。それぞれ詩が良く、すべて大変生き生きと歌われた。当然ながらマイク無し、そのうえ一座では言葉の明瞭さが特に強調されているという。

普段良いお声に感心していた泉さんのお父さんとのふとしたご縁。お目当ての篤史さんの安定した音程と自在な声量は素晴らしかった。最初の「空気のうた」があたかも空気と同化するよう歌われ、最後のFragmentsが迫力の起伏をもって歌われると妻は涙ぐんでいた。

後半の「楽屋殺人事件」は劇中劇のまた劇という多次元構成。エスプリとオチが効いた面白い舞台だった。イスなどわずかな道具を動かしながら演じられる小さな舞台だけに、お二人の動きと表情は文字通り劇的でさずがだと思った。

伴奏は榊原紀保子さんのピアノ一台。演奏は終始流麗かつ迫真のもので、歌と演劇付きの演奏会と言っても過言でなく堪能させてもらった。

皆さまの根気よい真剣なトレーニングの積み重ねを思わずにはいられませんでした。
良い時間を本当に有り難うございました。

篠崎正喜さんの「海辺の街」。

2023年8月25日(金曜日)

10月17日まで好評開催中の篠崎正喜展。氏の作品には独特な鮮やかさ、こまやかさ、そしてある種旅情と平和な時間が描かれる。
本日は作品「海辺の街」からそれらについて私なりに観てみたいと思う。

「海辺の街」33,5×47㎝

南欧あるいはイスラムまた中近東?など、とりとめ無い雰囲気の街が一塊(ひとかたまり)になって描かれている。二つの島があり一艘の船が浮かぶ濃い色の海の水平線を、真っ白な雲が囲み大気は澄んでいる。そこは形を変えた作者のふる里かもしれない。

手前の大通りを見ると色々な人が様々に描かれ、ゆっくりした時間が流れている。以下作品の細部にカメラを向け拡大し、一瞥しただけでは見逃しそうな作者のこだわりと描かれた生活の一端に目を遣ってみた。

最も左でトラックの荷の積み降ろし。

建物の通用口と思われる場所のトラック。明るい緑色のトラックと黄色の幌が軽やか。手前のカップルの長い影が人の息づかいを浮かび上がらせている。

トラックの荷はこのバザールのためのものらしい。しっかり付けられた影が人物たちに存在と生命を与えている。

中央~左部分。

手前にレトロで良い色の車が二台走っている。建物の入り口の右に犬が、左に女性が果物?を売っている。さらにその左にヤギのような犬を連れた男性が角をまがろうとしている。

中央から右部分

お洒落な半円の前壁の建物の左にウィンドウがあり、張り出されたポスターを男が立って見ている。建物は映画館であろう、小さな窓は切符を売る窓口か。建物入り口にもぎりの女性がいる。路上の自転車は子供のようだ。小さな町の心意気ある映画館に作者の思い出があふれている。

作品右下の屋上で猫が
こちらを見ている。

一種広場のような通りは車椅子を押す人影が見え、思い思いに人々が行き交う。影の長さから午後の遅い時間であろう。

 

混雑した建物の屋上のあちらこちらにガラスの半球があしらわれている。美しいガラス球(玉)は作者お得意のモチーフで、様々な場所で不意に登場する。街並にはお城のような建物も見える。

中央の和風(中国風?)の建物は
お寺か。

描かれるガラスは並々ならぬ研究の賜物ではないだろうか。色彩や厚みの違いも美しく描き分けられる。

以上ざっと見てきたがまだ何かが隠されているような気もする。そう思わせるのが街というもの、あるいはその営みではないだろうか。
小さな映画館やお寺のあるゆっくり時間が過ぎる澄んだ大気の街。行ってみたくなるような平和な「海辺の街」を紹介してみました。

この先他の作品の細部もまた観てみたいと思います。細部は篠崎作品の特徴で観る楽しみの一つです。

写真2枚目と3枚目は前日の積み残しで翌日追加致しました。

10月12日15時から篠崎正喜さんの「生成AIと美術」のギャラリートークを致します。35席ほどの予定です。

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