仏像、社寺、二十三夜塔、庚申塔
大地の芸術最2018その2。
去る9月2日、初めて大地の芸術祭を訪ねた事を掲載さ
せて頂いた。会場エリアは広大であり作品数も会場に大
地が名づけられる通り膨大だった。
本日は当日観た(あるいは体験した)ほかの作品の一部
を載せました。
まずクリスチャン・ボルタンスキーの作品「最後の教室」。
ユダヤ系の家庭でホロコーストの体験を聞いて育った作家
は山奥の比較的大きな廃校小学校を会場としている。
最後の教室には「最後の授業」の意味が込められている、
と思った。
入館してすぐは旧体育館。多数の裸電球がつり下げられた暑
い館内に干し草の臭いが充満し、それを煽るように扇風機が
ブンブン回っている。
広大な収容所であろうか、牛舎の臭いでもある。しかし一挙
に遠い未知の、あるいはどこかで出合ったような闇へと放り
込まれた。
階段を上がって廊下を歩く。行く手に物凄い光が点滅し、光
に吸い込まれるように歩く。廊下には辺りを振るわすように
ドン!ドン!ドン!ドン!と低い大きな音が響き、心臓の鼓
動に聞こえる。廊下の上方に並ぶ額は中に何も無いが全て遺
影のようである。
ある場所(教室跡?)に横たわる光が入った累々たるアク
リルケースは柩であろう。
白の基調は同地の深い雪であり、無くなった学校や失わ
た人々へのオマージュにちがいない。
いずれにしてもここで体験したのはホロコーストと鎮魂。
もしかしたら精一杯の再生への希望なのか?同行者はど
う思ったか分からないが、当日最もインパクトがあり心惹
かれた作品だった。
話変わってシンボル的な会場ともいうべき十日町キナーレを
訪ねた。今年は「方丈記私記」のタイトルのもと四畳半の空
間がテーマ。多数のインスタレーションが大きな水場を囲ん
で並んでいた。
その中から紙面の関係で2作品を載せました。
羊毛で小さなパオのような美容室。ハサミと羊と美容がつ
ながっている。
お小遣いを出して独楽を回してもらい、運試しをするブース
(作品?)。私は外れで小さな盃にサルナシのジュースだっ
た。鉄火場のようであり、二人いた女性は全くきれいだった。
方丈記私記は殆どが店か家、部屋また遊びや交流の場を
エッセンスとする立体作品だった。お洒落な茶室なども期待
したが見当たらず、これは仕方がないことであろう。
いつか行われるかもしれない「妻有大茶会」を楽しみにした
い。集客するのではないだろうか。
キナーレは巨大な正方形?の水場を囲む設え。それが実に不
思議だった。
下で見ると水場は浅く、多くの人が気持ちよさそうに歩い
ている。
二階に上がり歩くほどにそれは低く小さく見えてくる。
底には別に水場と、それを囲むように周囲の柱などが巧妙に
描かれている。
下で見ると単にデザインとしか見えない底の模様が、二階で
は反射もなくはっきり見え、そこには水場が一段と低く小さ
く見えるような巨大な絵が描かれているというわけである。
さて時間も押してきている。ある古い民家の二階で「裏側の
物語」をみた。
大きな雪舟風の水墨画風の絵。実は思いもよらぬ素材を用
い、影絵として表現されている。
当日遅く寺院を通り過ぎた。ちょっと待って、と声を掛け、
もしやマイブームの火頭窓?と、降りて見た。(当寺院は
芸術祭作品ではありませんが、、、、)
長泉禅寺と門標に書かれていた。矢印のように大好きな火
頭窓がありました。
境内の一角に大きな杉?の切り株を囲んで諸菩薩が座してい
て、穏やかな勢至(せいし)菩薩が見えた。勢至菩薩は以前
に書いた「二十三夜の月待ち行事」であがめられる仏であり、
下弦の月がその化身と言われていた。
帰宅して調べるとこの寺には二十三夜の石塔もあるらしかっ
た!
そして当日、マユビトのほかに以下のお土産を買って帰った。
とちの実せんべいは障害者の皆様が作ったというバッグに
入れられた。 新聞紙で作ったとは思われない丈夫なバッグ
だった。
日比野こずえさんデザインのハンカチ。同氏はほくほく線の
ラッピング電車のデザインを担当された。
以上遅くなりましたが、去る2日「越後妻有りアートトリエン
ナーレ大地の芸術祭」の訪問記その2でした。
一昨日は頸城区の玄僧を抜け、吉川区の朔日峠(ついたちとうげ)を越え、浦川原区の顕聖寺で火頭窓を見て二十三夜塔と出合った。
かって石垣、とくにボタモチ石を興味深く見ていた時期が
あった。
ボタモチ石は終わったが、時として私にはマイブームとい
うような事が起きる。
茶花、クリスマスローズ、芝生、ガクアジサイ、ユリ、モミ
ジなど植物、あるいは焼き物や絵画や本そして雲などもあっ
た。
それぞれは数年で終わったものから何十年と続いているもの
まで色々だ。
ところで最も新しいのは火頭窓で、始まったばかりというと
ころ。
過日上越市黒井の大慈院と寺町の久晶寺で見た事を書いた。
その後ネットで近隣を検索すると浦川原の顕聖寺で見られる
ことが分かった。
室町時代からの名刹だという。
一昨日土曜日の夕刻、思い立って出かけてみた。
ニラ、ニンニクの臭気と酒気をおびて入山してはいけない、と書
かれている。寺は高台にあり石段を上る。
親切なことに所々平らな石版が敷いてある。その左側を小さな
流れが涼しい音を立てて下っている。
禅宗様式を取り入れたという 手入れの良い庭。龍神伝説が伝
わる竜神清水と呼ばれる池と流れがすがすがしい。樹齢数百年
の立派な杉も見た。
建物には興味をそそられる文字や装飾が見られ、知る人の話を
聞いてみたいと思った。
帰り道、寺を下って出合った石塔。
「廿三夜(にじゅうさんや)」と読んで調べてみた。
すると塔は二十三夜月の夕から一晩、主に女性たちが集い(講
あるいは社中として)、経を読み飲食をともにして語り過ごす
「月待ち」行事を行った記念碑だとあった。
古くは室町時代から一部で行われ、江戸時代の中後期で最も盛
んだったという。
月に関係する集まりはほかに十三夜、十五夜、十九夜などがあ
った模様だが、二十三夜は全国あまねく行われ、特に1,3,5,
11月が選ばれている。
二十三夜は下弦の月であり、それは智恵を授けることで邪を払
い幸せをもたらす勢至菩薩(せいしぼさつ)の化身として人々に
親愛され、行事は教えに従い恩恵に浴する特別な晩だったらしい。
夜半に出て明け方まで西の夜空で煌々と輝く半月は、仏として
女性を惹きつけ心酔させる力を有していたのか。
世間と月と信仰。特に江戸時代の庶民の寄る辺なさと心映えを
思わずには居られない。
盛んだった月待ちも、明治期の急な文明開化の中で迷信とされ、
また旧歴から新暦に変わったことなどから行われなくなったよう
だ。
振り返れば去る午後遅く、玄僧という頸城区の不思議な地名の
村落を抜け、新月を意味する峠である朔日(ついたち)峠を越え
て浦川原に出、火頭窓を見ながら顕聖寺境内を巡り、「二十三
夜の月待ちの塔」と出合って帰ったほんの1時間半。
そういえば寺のずーと向こう側、川を挟んだ遠い所に月影という
村落もあったなと、思った。
偶々その日は新暦ながら6月23日だった。
久晶寺にもあった立派な火頭窓(かとうまど)。
去る6月12日の当ブログ(ノート)に火頭窓のある寺院に
出合ったことを書いた。
後で上越市日ノ出町の曹洞宗の寺大慈院と知った。
曲線が用いられ炎のイメージがある火頭窓は明るく爽やか
で目を引く。
過日掲載した大慈院の火頭窓。
不思議な事に頭がもやもやしていたが火頭窓を目にしたら
すーっとしてきた。
そこで昨日妙高市への用事のあと、上越市寺町通りへ入り、
短時間であるが、火頭窓のお寺を探してみた。
曹洞宗なのであるかも知れない、と期待した寺町二丁目の
久晶寺はドキドキしながら山門をくぐった。
ありました。玄関両脇の火頭窓は期待以上に立派。
かって訪ねたはずなのに窓は気づいていなかった。
寺を現す卍も堂々としていて窓とバランスが取れている。
久晶寺は陶芸家齋藤三郎(陶齋)が中国から復員後、身を寄
せた所。兄泰全が同寺の住職だった。
陶齋はここを根拠に活動を始め、昭和23年隣接地に登り窯を
築き本格的な活動をはじめた。
陶齋亡き後、境内に友人、ファンによって詩文碑「此の男」が
建立されている。
火頭窓は上越市内および近隣でまだまだ沢山出合えそうだ。
何処にどんな窓があるのだろう、今後楽しみにしたい。
勇壮な雲 火頭窓。
梅雨入りが報じられているが日中には目立った降水は無か
った。
昼すぎ所用で出かけた道すがら四方におおらかな雲が見ら
れ、夕刻からぽつぽつと始まり、しとしと静かに降り続い
た。
途中で見た曹洞宗の寺院の火頭窓。ぼんやりしているせい
かと思うが、当地で火頭窓を見る機会はそれほど多くない。
春日山林泉寺は正面から良く見える。
先の旅行で京都の広隆寺と高台寺で目にした。何故か昔話
のお寺のイメージがあり、この窓を気に入っている。
これからもっと注意して見てみたい。
- 仏像、社寺、二十三夜塔、庚申塔
- 樹下だより
- 齋藤三郎(陶齋)
- 倉石隆
- 小山作之助・夏は来ぬ
- 聴老(お年寄り&昔の話)
- 医療・保健・福祉・新型コロナウイルス
- 花鳥・庭・生き物
- 空・海・気象
- 頸城野点景
- ほくほく線電車&乗り物
- 社会・政治・環境
- 明け暮れ 我が家 お出かけ
- 文化・美術・音楽・本・映画・スポーツ
- 食・飲・茶・器
- 拙(歌、句、文)
- こども
- 館長の作品。
- 貴重な人 窓辺のラベンダー。
- 庭と遊ぶ落花 楽しい事には心配が尽きない。
- 春の庭、よく名を尋ねられる花三種。
- 今年も咲いたカラタチの花。
- のどかな山桜、足許のすみれ草。
- 三冊の図書。
- 強風の日。
- 庭仕事と読書は似ている 新堀川の自然な桜。
- 雨の今夜は満月だった 明日は晴れるので施肥。
- 居ながらの花見 スミレの好意。
- 良いご一家の話。
- 近隣の花自庭の花 赤い動物のオルゴール。
- 吉川区の長峰城址 トランプショックに時代劇。
- 頸城野にようやくの春 メダカの学校。
- いま四月馬鹿はどうなっているのだろう メギスの旬。
- 3月30日の徳川美術館と豊田市美術館 そして富士山。
- 週末は名古屋と豊田市へ 本日は名古屋の分です。
- 自然の末席で。
- 三月にして真夏日 初ゴルフ アイスクリーム 啓翁桜 雪割草 内山雅子さんのCD。
- 春の公園、過日の大潟水と森公園と本日の大池いこいの森公園 その付近でクジャクチョウ。
- 2025年4月
- 2025年3月
- 2025年2月
- 2025年1月
- 2024年12月
- 2024年11月
- 2024年10月
- 2024年9月
- 2024年8月
- 2024年7月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年4月
- 2015年3月
- 2015年2月
- 2015年1月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年3月
- 2014年2月
- 2014年1月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年10月
- 2013年9月
- 2013年8月
- 2013年7月
- 2013年6月
- 2013年5月
- 2013年4月
- 2013年3月
- 2013年2月
- 2013年1月
- 2012年12月
- 2012年11月
- 2012年10月
- 2012年9月
- 2012年8月
- 2012年7月
- 2012年6月
- 2012年5月
- 2012年4月
- 2012年3月
- 2012年2月
- 2012年1月
- 2011年12月
- 2011年11月
- 2011年10月
- 2011年9月
- 2011年8月
- 2011年7月
- 2011年6月
- 2011年5月
- 2011年4月
- 2011年3月
- 2011年2月
- 2011年1月
- 2010年12月
- 2010年11月
- 2010年10月
- 2010年9月
- 2010年8月
- 2010年7月
- 2010年6月
- 2010年5月
- 2010年4月
- 2010年3月
- 2010年2月
- 2010年1月
- 2009年12月
- 2009年11月
- 2009年10月
- 2009年9月
- 2009年8月
- 2009年7月
- 2009年6月
- 2009年5月
- 2009年4月
- 2009年3月
- 2009年2月
- 2009年1月
- 2008年12月
- 2008年11月
- 2008年10月
- 2008年9月
- 2008年8月
- 2008年7月
- 2008年6月
- 2008年5月
- 2008年4月
- 2008年3月
- 2008年2月
- 2008年1月
- 2007年12月
- 2007年11月
- 2007年10月
- 2007年9月
- 2007年8月
- 2007年7月
- 2007年6月
- 2007年5月
- 2007年4月