明け暮れ 我が家 お出かけ
終戦記念日に母と
上越市板倉区のショートへ行って二日目の母。明後日には帰るのに、訪ねて施設周辺を散歩した。そんな時、94才の母はいつもながら佐賀の生家時代の話をする。
妙高や火打の山々が見える。
母は7才で父を亡くしたが、父の姉に色白で綺麗な人が居た。農家に嫁いだその叔母を訪ねるのは、子ども心に楽しみだった。
ある夏、自分の家のスイカを風呂敷に包んで棒にくくった。それを弟と二人で担いで4里(16キロ)の道を歩いて叔母を訪ねた。長道中だったが、訪ねることが嬉しくて平気だった、と。
今日は終戦記念日。母にはもう一人、少し年の離れた弟が居た。貧しかったが良く出来て、陸軍士官学校に入った。しかし卒業後、レイテ戦の突撃で真っ先に戦死した。子どもの頃から頭が良くて優しい弟だった、と。これは以前も聞いた。
今日の夕焼け
先の大戦でついに兵士は武器、食料もなく衰弱し、侍とも人とも言えぬ戦死が常態化した。戦争にかかわる死者への鎮魂は、「常に後人が、人間の希望を謙虚に約束すること」、ただ一点しかないと思う。
不思議な夏ですが
暑中も残暑もなく夏は過ぎています。
明日こそは晴れるようにと願っても、当日は曇りに雨。それが毎日、、、で、とうとう上越はお盆を向かえます。
地震や水害の被災地の方々には心からお見舞い申し上げます。
また日頃のご来館や拙いブログのお目もじに深く感謝申し上げます。
落書きです、申し分けありません。
娘が来ていて、以前にもらったタッチペンによるお絵かきソフトを起動させてみました。いまだ苦手なパソコンですが、このようなソフトに触れてみて(上図)あらためてコンピュータの進化に驚きました。
夜中にマントヴァーニー楽団のシャルメーヌが聞こえてきました。1950年代、上越出身の亡きピアニスト飯吉馨さんにジャズ・ポピュラーへの道を決心させた曲だと、ご本人に聞いたことがあります。
今日こそはちゃんと晴れますように(8月12日深夜)。
子ども時代の日食
今日は日食の日。国内の主要な観測地では雨に見舞われた所もあったようだ。40数年ぶりと知らされていたが、その前、私が小学校の時にもかなりの日食があった。昭和23年5月ということなので、小学校に入ったばかりの頃になる。
学校で先生がローソクでガラス片にススを付けた。これで太陽を観る練習をしたように思う。そして本番は家の畑だった。日食当日は日曜日だったらしい。
家には父が使う顕微鏡用のスライドグラスがあったのでそれを使った。いざ始まるとこすったり触ったりで、たちまちススが取れた。ススを付け直し、あちこち汚しながら楽しくもあっという間に終わってしまった。
空腹で元気の乏しい毎日のなかで、日食は異様に盛り上がったと思う。満ち欠けよりも、真っ黒なガラスで見える濃い太陽が感動的だった。
拙絵です。大抵のことは姉がリードしました。
残念
二日目のターンベリー、後半で石川遼の溌剌さが消えた。こんなに早く終わるとは。気になったのはひどく降り始めた最初のグリーンだった。終始傘を差さずに激しい雨に濡れるに任せていた石川。なぜだろう。
ずぶ濡れの体に吹き付ける寒風。真冬の荒天にゴルフをするような身体環境になっていったに違いない。もっと体をいたわればよかったのに。
タイガーも可哀想だった。かってないカメラやマイクの大集団が執拗に前後を襲う。紳士の静謐な競技であるゴルフの限界を超えていたに違いない。
成長と犠牲。残念だったが、英国で石川選手が学んだものは大きかったと思う。どんなことでもいい、タイガーに手紙を書いてみたらどうだろう。
二人が去ったターンベリー
石川遼!
全英オープン初日、何と素晴らしい石川遼!
5Birdies 2under、素晴らしい。
出来れば最後まで頑張って。
低い雲 入り江を行く小舟 そして草地
遠いあこがれ スコットランド
楽しい錯覚
午前は朝から無風で酷暑。仕事で多くの方と挨拶をしたが、「暑いですねー」の一言で互いに十分なほどだった。それが午後遅くから曇って強風となり気温が下がり始めた。お天気は本当にお天気屋さんだ。
昼、カフェの本の追加に美術館に寄った。そしたらひょっこりそふぃーさんが来られた。彼女は樹下美術館のことをよくブログに書いてくださるので感謝を禁じ得ない。不思議なことにそふぃーさんとお会いする時は、本の中からぱっと現れるように感じる。どうしてかな、と考えてみた。それは私が彼女のブログをみているせいかと思った。つまりブログの中(文字→本)から現れるという風に一瞬錯覚するのだろう。
夕食どきに障子が赤く染まった。夕焼けは晴れが良いとは限らない。海まで数分、今日は四ツ屋浜へ見に行った。いつものように佐渡汽船が近づいて来た。几帳面でお利口な佐渡汽船。夕焼けの汽船を見ていると旅情がよぎる。こんな気持ちも楽しい錯覚。
今日の佐渡汽船
※庭で頑張っていたテッポウ百合が長雨で終わってしまいました、申し分けありません。しばらくキキョウが続き、ナデシコが復活してくると思われます。
泉州の水なす
関西の方から水なすの漬け物を頂いた。大阪府下、泉州で栽培される非常に水分の多いなすとあった。同地域の夏の農作業ではこれを食べて渇きを癒すことがあるらしい。初めて見て食べた。
皮は厚く柔らかで、切らずに裂いて食べてと書いてあった。試みると簡単に縦に裂ける。包丁を入れたのに比べるとざっくりとした水気の食感が違う。浅漬けの塩加減もなんともさっぱりしていた。
泉州と言えば利休。そして秀吉、はては上洛した景勝、兼続、実頼もこれを食べたのだろうか。
さて天地人は政宗の進出が急だ。兼続たちも東北の備えのために、ここ上越・春日山を離れる日が近づいているようだ。徳川vs秀吉の渦中で兼続たちの苦労が続く。
帽子を二つかぶった人から
「暑いから二つかぶっているの」。幼い時の夏、外出前の玄関先で娘はそう言った。麦わら帽子の上に野球帽を乗せてまぶしそうだった。
本日、横浜にいるその娘から「BAMBOO COMIC」という画像制作ソフトが送られてきた。愛らしい天然に恵まれていた娘は自ら学び、ゲームソフト制作の仕事に携わっていた。それで何かとパソコンの画像に詳しい。
今回のソフトは、以前私が色々つまらない質問をしたので、気を使ってくれたのかと思う。遅くなった父の日にとカードがあった。楽しげなパッケージは超若者向けの気配だ。果たしてちゃんと使えるだろうか。
齋藤さんと我が家 8 美術館へ
前回は父に続いて齋藤三郎さんの作品を自分も集めてみよう、というところまで進んだ。今回は齋藤さんと我が家を終了すべく、少々長くなりました。どうかお許し下さい。
さて平成5年頃から齋藤作品を探しに骨董屋(古美術商)さんを覗くようになった。
ある日曜日、上越市内の店で印象的な皿に出会った。鮮やかな赤地に溌剌とした椿、四方に文字があって、齋藤さんには珍しくやや薄作り。花の様子から初期の作と思われた。
お得意の椿・赤・文字がこれほど見事にそろった器を見たことがなかった。もしやこの皿を代表作の一つとして美術館が作れるのでは、打たれるような思いがよぎった。あるじは思っても見ない安価な価格を口にした。喜びのあまり具合が悪くなりそうだった。
今度は何に出会えるのだろう。良い作品には次への期待が伴う。淑たる美と変化、使っても飾っても威張らない器。これらは齋藤作品の最大の魅力だ。少しずつ作品と出会いながら父の夢中が分かるような気がした。
色絵椿紋皿 直径23㎝ 高さ5㎝ 昭和20年代
上越市内で出会って美術館を意識するようになった。
色絵木瓜(ぼけ)紋灰皿 昭和20年代
糸魚川でのこと、店で色々見せてもらったが欲しい物が無かった。当時喫煙していた私は最後にタバコを取り出して、灰皿を所望した。店主が奥から持ち出したのがこの灰皿だった。磁器の白も花も優しく、一目見て気に入った。欲しいと告げると主人に難色が現れた。「店先に、この家のものは全て売り物です、と書いてありましたが」と言った。「わ、分かりました」、無理を飲んで頂いた事がよく分かった。
麦わら手 手桶花入れ 高さ26㎝ 胴経18㎝ 昭和20年代
新潟で出会った大きな器。ああこんな作品もあったんだと、自分の狭さを知らされた。もう一回り大きなものがあり、炭火が入る手あぶりとして用いられたようだ。
堀口すみれ子さんの本に、父であり詩人の堀口大学の思い出を綴った「虹の館」(かまくら春秋社・昭和62年3月27日発行)がある。書中、茶室「寸雪庵」で大学ご家族が初釜のお茶を頂く写真が載っている。皆さんの脇に齋藤作と思われる手桶風の手あぶりが置かれていた。
手もとの虹の館
「寸雪庵」は大学と親交があった写真家・濱谷浩氏宅の茶室と思われる。濱谷氏の奥様・朝さんがかって高田で営まれていたお茶室の名が寸雪庵だった。寸雪庵と齋藤さんの手あぶり。越後高田の名残りが、大磯で大切にされていた事を何ともゆかしく思った。
さて蒐集は楽しい作業だった。加うるにあるご縁で倉石隆氏の作品とも関係するようになっていた。身に余る幸せと言わねばならない。
すでに父が亡くなって25年、赤い椿皿と出会って10年。63才の年を考えればもう始めなければならなかった。平成17年、一級建築士設計家・大橋秀三氏に依頼して樹下美術館を建てることにした。
設計が始まった年に遠くで妹が癌で亡くなった。生前、「これも飾って」と涙ながらに齋藤さんの器を包んでくれた日が忘れられない。
平成19年6月10日、つましい樹下美術館が建った。
シーグラスが素晴らしい器に
今年5月17日のブログは「小さな竹の橋で」だった。当日の集まりは新潟県村上市。同じ新潟県でも上越市から村上までゆうに150キロはある。
実は当日、早めに家を出たので時間が余った。それで村上の手前を左折して海へ行った。遠くでシーグラスを探すのも悪くない。初めての海はひと気なく、暮れる渚にはびっしりと砂利が上がっていた。砂利こそシーグラスの眠る場所。しかし意外にグラスは少なかった。30分ほど歩いて大小10ヶほど見つかった。
ー同夜、千葉の同級生Sとのやりとりでー
私「で、奥さんは何か趣味を」
S「大潮の日にな、海岸を歩いて色々と云々」
私「それビーチコーミング?」
S「おー、それそれ!」
私「シーグラスで蝋燭立てなど作るとか」
S「それそれ!」
何という引き合いだろう。私は先ほど集めたグラスをポケットから取り出すと、よかったら奥さんに、と全てSに渡した。
そして昨日6月24日。奥さんが集められたシーグラスをあしらったキャンドルホルダーがSから届いた。貴重な赤を二つも入れた繊細な器だった。
私のイニシャルもS。学生時代、席もテニスも音楽も一緒だったS。しかし村上のやりとりほどピッタリ話が決まったことがあっただろうか。年を取ることは悪くない、頂いた蝋燭の灯りを見ながら思った。
奥様、本当に有り難うございました。
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