花鳥・庭・生き物
田に雀が来るようになった。
人の周囲で生活する雀は稲穂のご馳走が究極のお目当てで
はないかと思うほど、嬉々として田んぼへやってくる。
樹下美術館裏手の水田では早くも一部で立派に育った稲穂が
こうべを垂れはじめた。
本日は小さな群のすずめが田と近くの樹木を往き来していた。
以下のようにカワラヒワも数羽混じっていた。
この時期の稲穂は甘くミルクのようになっているらしい。
雀たちはまことに幸せそうだったが、農家の方はお困りだろう。
雀にやられた稲穂は実を失って白くなるという。
雀たちは、いつか「恩返し」として農家の方に何かお礼ができれ
ばいいのにと淡い期待をしている。
初秋の趣だった曇天の日。
本日土曜日、朝6時に往診があり寝不足のせいか午前中、
軽いめまいが続いた。
服薬して長めに昼寝をしたら楽になり美術館に出向いた。
主に曇天だったが、展示をご覧のあと外でお茶を飲まれた方達が
いた。帰られた後のベンチに談笑の声が残っているようだった。
遅い食事の後陶齋の湯呑で番茶を飲みながら永井荷風の短
編集から懸案の『雨瀟瀟」を読んだ。
昨年の今頃は太宰治の文庫本を繰り返し読んでいた。
今夏~秋は永井荷風にしようと思うが、難しい言葉が多い。
それを励みに繰り返し読んでみたい。
夕刻の四ツ屋浜は自生のオニユリ。花が咲いている所だけ明
るく感じJられた。肥料もくべないのによく育つものだ。
本日やや涼し目に暮れたが明日から日射しと暑さが戻るらしい。
ムクゲやヒメヒオウギズイセンが咲きシジュウカラが水浴びをする。
カフェの一番南側の2席から正面に水盤が見える。
周囲にヒメヒオウギズイセンのオレンジ色の花が咲き、
すぐ後ろにはムクゲが咲き始めた。
拡大して見るといずれもくちばしに黄色味が残り今年生まれた若鳥
のようだ。
親たちはどこか涼しい所でのんびり過ごしているのだろうか。
明日から数日は雨降りがある予報、水涸れの庭は一息つけそうだ。
芝生に生えた雑草は自分が種を撒いていたものとは。
6月になり雨が多くなると芝生に新たな雑草が混じるようになり、除草
を試みていた。
草は芝よりも幅が広く、柔らかで色が浅いので一目で分かる。
根元をつまんで引き抜くと簡単に取れた。
混じっている草の丈は芝と同じくらいだった。
これが半径一㍍ほどの範囲で何カ所も群がるように生えている。
だがせっかく取っても一週間ほどすると再びあちこちで生えてくる。
この新顔の雑草は一体なんだろう、まことに不思議だった。
それが先日はたと気づいた。
実は小鳥の餌として私が蒔いた種が発芽していたのだ。
大雨や風の翌日など雀たちは餌に不自由しているのでは、と考え
ホームセンターで「小鳥の餌」を買い、週一くらいで撒いた。
それが発芽していた。
取った後からまくのだから、雨の度に生えてくるのは無理もなかっ
た。
まき餌にはアワ、ヒマワリ、カナリアシード,などが混じっている。
発芽したのはヒエの可能性がある。
主に雀が食べていたが、あれだけ熱心に食べていても残していた
のだろうか。
いずれにしても餌遣りは不自然なので止めることにした。
自分の行っている、あるいは行っていない事の影響を知るのは
結構難しい。
長峰池のトンボとアゲハチョウ 夏の痛風。
じりじりと暑い陽が照り続けた日、草が焼け畑でキリギリスの鳴き
声がするのを聞くともう晩夏かと錯覚しそうだった。
休診の午後近くの吉川区は長峰池へトンボを撮りに行った。
↑駐車場でさっそく出会ったチョウトンボ。背景の緑は水田の色。
↑アゲハチョウが池のふちの湿った所で吸水する風だった。
フレッシュな感じの蝶は飛んでは戻るを繰り返した。
炎天下の水辺を忙しそうに行き交うトンボたち。
頭が丸い彼らが枯れ草に止まって休む様子は、小さなお坊さんが
瞑想しているようだった。
暑さの中成人で60パーセントもの水分を有する湿って重い私たち
からすれば、トンボやチョウの軽くて乾いた感じは驚異的。
さてこの所の急な暑さで痛風を発症される方がいる。
戸外のきつい運動や労働、大量の発汗、関節へ強い負荷、アルコー
ル摂取、血糖値上昇、血液濃縮などが関係して尿酸値がそう高くな
くても突然発症する。
この時期ビール(アルコール一般)とそのお供の料理(枝豆、もつ
類、干物ほか)はプリン体増加に繋がり、一般の熱中症とともに男性
には痛風にも用心が必要なようだ。
夏の庭 長野市のお客様 リップサービスでもちょっぴり嬉しい。
朝方のいっときザーッと降ったが次第に晴れて暑かった一日。
本日は長野市から裏千家茶道の9名様を交え、一日40人のお
客様が見えて樹下美術館としては大忙しの日だった。
長野の方々には、展示物の中に4月にお家元に薄茶を差し上げ
た際に用いた水指と菓子器があり、また展示中の色絵と鉄絵の
テーマとも好評の印象を受けた。
倉石隆の「人生」や「男の像」の面白さも共感して頂けて嬉しかっ
た。
バブルが終焉し不況のまっただ中に開館した小さな樹下美術館
は、その後の美術館や博物館が不調の中、10年を迎えたのは一
種の奇跡、とは過日10周年記念の会に於ける齋藤尚明氏の挨拶
だった。
奇跡はピンとこないが、毎年の年度初めに二人の常設展示作家の
テーマを考え、カフェの食器を更新し、わずかのショップ品をしつら
え、庭造りに勤しんできた10年は全く自己流以外何ものでも無かっ
た。
少しずつお客様を増やしているやに見える当館は展示と相俟って、
四季の庭を眺め、爽やかなヨーロッパ食器でお茶を楽しみ、しばし
和むに手頃な場所として認知されつつあるならば、本当に有り難い
ことだと思う。
その庭も真夏の眺めになってきた。
芝生が終わる南の端に昔ながらのヒメヒオウギズイセンが咲き始めた。
樹木が大きくなりカサブランカに日陰の時間が多くなった。
秋に移植が必要かも知れない(ユリの移植は経験ないのですが、、、)
長野市のご一行様。
柏崎市の木村茶道美術館のあと当館をお訪ね頂いた。
信じがたいが、長野より新潟のほうが文化が高いと真剣に話した方
がいらっしゃったという。
隣の芝生に類することではないかと思うが、お世辞であっても正直ち
ょっぴり嬉しく張り合いを覚える。
ごめんね山百合。
1997年春になる頃NHKの趣味の講座でボタニカルアートを観
てこれは自分に合っていると思い、以来書物なども買って描き始
めた。
庭のクリスマスローズやチューリップを描くうち細密の虜になってし
まい、それなりの研究と苦労を経て2002年画材屋さんに勧められ、
そこの画廊で50余点の個展することになった。
売ってみましょう、というあるじの言葉に乗ってB5~A3の絵の半
数の作品に5000~15000円の値札を付けたところ、初日に全て売
れた。
絵はがきにしたものが1000枚以上売れ、自分の腕より花の威
力を知らされた。
主に自庭の花を描いたのでしおれたら新たに切り、早く駄目になる
花を最初に描きその後に葉(これが難しい)を描いた。
写真も参考にしたが、影で見えない部分が多いので切った花をコッ
プに入れ、くるくる回して観察しながら描くのを基本にした。
コナラの枯葉やホオズキの実も描き、これらは保存が利いたので
ゆっくり描けた。
さてそんな拙作品の中に山百合がある。当時の何年か前に頂いた
百合根を植えたものが育っていた。
山百合は大きい。
顔の高さくらいまで伸び、立派に咲いた花を描いた。
大きいのと1本しかないため庭で詳細なスケッチを重ねてA3のボード
に描いた。
だがいくら詳しく描いても前に出てくる花の迫力が描けない。
いくら筆を振るっても奥に引っ込んだままだった。
透明水彩はいじりすぎるとすぐに汚れてくる。
花に申し分けなかったが個展の出品もしなかった。
(その後2回の展示会でも飾らなかった)
描いた花が冴えない理由は分かっていた。
ボタニカルアートは背景を描かず地色を白のまま残す基本を踏襲
している。
そのため白い花は背景に溶け込み、あざやかに浮かんでこない。
克服のため輪郭線の強調を試みると、濃い線が表現したい自然な
姿の邪魔になる。
(普段の輪郭線は03ミリのシャーペンを細く削り、この絵の葉のよう
にほとんど分からない程度で描いていたのですが、、、)
影の強調も一つの手段だったが、過ぎると汚れとなって花のフレシュ
さが損なうことにもなりかねない。
赤い斑点やおしべの花粉、奥の白いトゲトゲなどを詳しく描いたが、
魅力としての花を描けなかった。
その後、テッポウユリとカノコユリの植栽に夢中になり、山百合は意
識から遠ざかってしまった。
すると本日昼、ふと見た西の庭でひっそり咲いていた山百合に気が
ついた。
私の顔の高さもあったのに、せいぜい膝くらいに縮んでいる。
黙ってうつむき、子馬のようにしていた。
しかし小ぶりな花は木漏れ日の中で輝くような美しさを放っていた。
昔の花がそのまま咲き続けたのか、種が落ちて再生したのか。
絵を出品しなかったことと、忘れていたことを心のうちで詫びた。
「いいんです、いいんです」と言っているようで、余計けなげだった。
※いつか展示の機会が訪れたら、花をいじらずに葉の陰影を強め、
花の周囲の葉のボリュームを足すなどして、全体にパワーを付けて
出してみたい。
悪いワルナスビ。
現在あちらこちらの路傍や空き地に以下のナスに似た花が咲いて
いることだろう。
いつか書かなければならないワルナスビで、悪い植物である。
●色々悪要素があるなかで最大のものがトゲ。
固くて非常に鋭いトゲが茎ばかりか歯の裏にも並んでいるため不用意
に触るのは危険だ。
生え始めの頃あたかもホオズキの苗に似てあどけなく現れるがすでに
トゲを有している。
●繁殖が旺盛で除草剤も効きにくいうえ、種で増える以外に地下茎
を伸ばしてそこから次々芽を出して増える。
引き抜いても地下茎が残れば再生するので、切ったり刈るだけで駄
目。
駆除はスコップを用いて芋づる式に抜き挙げるか、根を残さないよう
引き抜くくことを繰り返すしか無い。
●おまけに秋になってつくプチトマト大の黄色い実は有毒だという。
●これが繁殖した土壌ではジャガイモやナスなどナス科の作物が育
ちにくいといわれる。
●ナス科野菜を攻撃するある種のテントウムシをひきうけて成長させ
る。
以上のように良いことが一つも無いワルナスビの排他的な要素は何
が原因で備わったのだろう。。
もしかしたら、その昔原産地の一つと言われる北米などにあって、そ
の実があまりに美味しすぎて絶滅しそうになり、再生への足がかりと
して旺盛な繁殖力と攻撃的な防衛要素を獲得する方向を目指したと
いうストーリーでもあったのだろうか。
こんなに悪いのには理由がありそうだ。
上記の写真は近くの空き地のワルナスビ。
樹下美術館の庭にも紛れているので毎年取り去っている。
アイスコーヒーとマンゴープリン 小さな花たち ほくほく線夕暮れ電車の旅情 ドアに指を挟んだ。
朝から合う人ごとに「暑い」と言ったが、口にすると何気ない者
同士でも普段より親しさを感じる。
しかし余りにも暑い暑いと繰り返し言う人には、その人こそ暑さ
の元ではないかと錯覚させられるので、言い過ぎには気を付け
たい。
庭に出ると芝生の中に赤ちゃんのようなネジバナが一輪咲いてい
た。
普段阻害されている庭の西隅に行くとリュウノヒゲが紫色の小さな
花をつけていた。
ネジバナもリュウノヒゲもひっそりと咲いていてむしろ涼しげだった。
ところで夕空が見応えあるのは晴天だけではなく、雲や気圧、気温
や湿度などの加減で心打つ日がある。
夕食後、良い予感がしてほくほく線の夕暮れ電車を撮りに行った。
湿気の多い夕空を背景に電車が下って行った。(写真右から左へ)。
銀河鉄道の夜が思い出されて不意に涙が出そうになった。
夜間に痰を詰まらせた人の往診があった。
処置を終えて戻ったのは良いが、車のドアを閉める時に左手人差し指
の先を挟んだ。
ドアの指はさみは生涯二度目、ひどく痛んだが夜中になって痛みが薄
れてきたのでブログが書けた。
鳥が残した羽根。
先日庭で鳥の羽根を拾いました。
調べてみるとトビの風切羽根の内側に近い場所の物のようです。
見慣れたトビですが、こんなにおしゃれな羽根を有しているとは
少々驚きです。
以下は以前庭で拾ったカワラヒワと田んぼで拾った白鳥のの羽
根です。
念のため抗ウイルスアルコール消毒液で処理してています。
これらを使っても羽根が変化してしまうことは無いようです。
鳥たちは毎年羽根が生え替わるそうなのですが、拾った羽根には
彼らから時節のハガキでも受け取ったような親しみを感じます。
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