医療・保健・福祉・新型コロナウイルス
病診連携の根底 挨拶する百合。
医療には病診連携という言葉があります。患者さんをめぐって病院と開業医が円滑に連絡して対応するという概念です。
ある意味当たり前なことなのですが、慢性疾患や軽い疾病の患者さんまで病院に集中し過ぎて強調された言葉でした。
限りある医師数で長年に亘る超過密なスケジュール。
病院は本来の専門的機能を発揮することに支障を来し、ついに交通整理が必要になりました。
開業医師による予約。
開業医師からの紹介状持参。
安泰した患者さんを病院から開業医へ逆紹介。
特に上の二つがいわゆる病診連携の要として推移することになります。
動きはすでに20年ほど前からあったように思われますが、
平成12年、国による制度上の後押しもあり病院主導でより熱心に進められました。
ところで病診連携にはもう一つの重要な側面があります。
私たちが相談を受けた救急、急病の対応です。
当然予約などの猶予もありませんので電話で病院の受診許諾を確認します。
かって時間外、夜間、深夜の病院の体制はかなり限定されていました。
しかし今日では病院の努力で急所となる科の体制が整えられ救急への対応が向上しました。
大変昔の事ですが、夜間の救急用件で病院に電話をすると、まず医師に繋がるまで数分、時には10分以上。
繋がってもベッドが一杯、担当科の医師が居ない、などの返事で別の病院に同じような電話を繰り返ざるを得ません。
時には明らかに病院が引いていると感じることもありました。
急病発症の方の応急処置をしながら電話の最中に、目の前の患者さんが亡くなるケースもありました。
このような辛い過去をを経てようやく今日の救急体制が築かれるに至りました。
この過程で各病院の救急担当医、救急隊責任者、行政、医師会を交えた協議が根気よく続けられたことは言うまでもありません。
さて先日のこと、ある会社から社員が急に全身に蕁麻疹が出て少し息苦しいと言っているという電話がありました。
電話から呼吸困難を伴う危険なアナフィラキシーショックへの移行が危惧されました。
迷うケースですが、私は病院への連絡を省略し「すぐに○○病院へ向かって下さい」と返事しました。
○○病院は最も近い病院です。
いかなる病院でもこのケースを断るはずがありません。
会社へ指示の後すぐに病院へ電話をしました。
電話の医師は「わかりました、どうぞ」と明瞭に返事され、
「ありがとうございます」と最後に仰ったではありませんか。
声の感じから若い医師だと思いました。
なんとスムースですっきりした対応だったことでしょう。
○○病院は小規模ですが院長の「地域医療」への理念が素晴らしいのです。
それから数日後、ある大手病院の地域連携(病診連携)担当の方達が交替されたことで挨拶に来られました。
別れ際に先日の医師の「ありがとうございます」の一言を話し、
「この言葉をお互いが持つことも大切な病診連携ではないでしょうか」と伝えました。
言えば素晴らしい効果が生まれるのに、なかなか言えないのが「ありがとうございます」ですね。
本日樹下美術館のあちらこちらのテッポウユリはそよ風に揺れながら、
皆で挨拶を繰り返していたのです。
雨の樹下美術館 陶齋の器でお寿司の会。
本日朝から雨模様、午後からしっかり降り初めると23度あった気温が17度に下がりました。
このところの診療では気候の急変などで消化器、呼吸器、皮膚など急性疾患の方が増えております。
一斉に訪れた春の影響で仕事、畑・園芸、家事、旅行、スポーツなど忙しく過ごし、隠れた疲れも溜まる時期かと思われます。
過日はB型インフルエンザの方が来られました。
さて本日雨の日、新潟県立高田高等学校の卒業生さんで、私より少し上の女生徒さんたち10数人が来館されました。
鵜の浜温泉に宿泊し、女子だけの同級会をされ本日のお訪ねということでした。
観覧のあとのカフェで全員がお抹茶。予めその事をお聞きしていましたのでお茶碗の総動員でした。
皆様お若く、展示、雨の庭、お茶とも喜んで頂いたとお聞きし有り難く思っています。
ところで、お陰様で6月の「陶齋の器でお寿司を食べる初夏の会」のご参加は予約が埋まっております。
このたびご都合悪かった皆様、是非「秋の会」にお越し下さい、お待ちしています。
●受付は7月1日からお受けします。樹下美術館の窓口またはお電話025-530-4155でどうぞ。
●1回1組6~7人のテーブル席で館長もご一緒します。
お一人様の参加も大歓迎です。
(どうぞ大きくしてご覧下さい。)
健診 小学一年生のスパゲッティミートソース 施設のミーティング。
昨日、本日と午後大潟小学校の健康診断があった。
昨日は1年生の1~3クラスと5年生の1クラスを、本日は2年生と4年生を診た。
喘息とアトピー性皮膚炎が混じるが治療を励行していて落ち着いていた。
可笑しかったのは入学して二ヶ月目の1年生の服と口周りだった。
多くの生徒の白い体操着の胸元が茶色に汚れている。
よく見ると口の両側にもうっすらと茶色の汚れが伸びている。
傍らの養護教員が「今日の給食がスパゲッティミートソースだったのです」と微笑んだ。
1年生が終わって5年生になると、見事なほど衣服も口もきれいに変わった。
但し一年生とちがい、5年生で肥満が少々目に付くことが課題。
施設の真っ白なアメリカハナミズキ。
ここは帝国石油の寮があったところで、往時の方が植えた樹のようだ。
健診を終えて2カ所の老人施設を回った。初めにグループホームで3人を診て、その後向かいに出来た多機能型施設に入られた方の関係者ミーティングに参加した。
この方は以前から診ていたが、認知症の進行で私たちの顔も分からなくなった。
しかし参加された息子さんをしっかり認識されていて一番の笑顔で手を握り何度もさすった。
しっかり顔をだします、と目をうるませる息子さん。
文字通り触れ合うことから新たな出発が可能になる。
図録と表彰。
ニュースは吹雪を伴うこの時期異常な寒波を知らせ、東北地方の太平洋側は寒さの中、長時間の停電など厳しい状況が続いている模様。
彼岸の中日とは言え、当地も寒風吹きすさぶ寒い一日でした。本日も朝から時間毎の予定表を作って一日を送りましたが、消化できたのは予定の半分。収穫は介護保険の書類を4通書いたこと、ル・レクチェの絵を4枚完成させたこと、陶齋の図録の校正をほぼ終えた事でした。
齋藤三郎(陶齋)の図録原稿。左が2011年の初稿、右がこのたびの校正原稿。
初稿から3年も経ってしまいましたが今回こそ終了しそうです。表紙、内容とも今日まで延ばし延ばしていたこと、結果として良かったのではと振り返っています。24日に印刷屋さんが陶齋の校正原稿を取りに来て倉石隆初稿を置いて行く予定です。
夕刻郵便小包が届き、中に公衆衛生事業功労者に関して厚生労働大臣表彰状が入っていました。普段表彰などに全くこだわりを有していませんが、開けてみて有り難みと懐かしさを禁じ得ませんでした。
同封の名簿を見ました所、新潟県は小生一人。内容として以下が書かれていました。
「永年にわたり、医師会役員として保健・医療・福祉における地域保健活動の中心的役割を担うと共に、上越地域全体における地域医療の向上、小児救急医療体制の構築に貢献した」
平成7年からの医師会役員、とりわけ平成15年から4年間の会長時代は会議に次ぐ会議。帰りに車の場所が分からなくなったり、高田へ向かう高速道路を北陸道へ入ってしまい、司会を代わってもらったことなど色々ありました。
そんな4年間から幾つかのことが生み出されましたが、とりわけ会議の大切さとその突破力を知らされました。行き詰まった状況を開いて頂いた貴重な意見の数々と発言者のお顔は今でも鮮明に浮かびます。
何より助言、協力を惜しまれなかった上越医師会の先生方j、事務局、保健所さん、福祉事業関係者さん、市役所の皆さん、木浦前上越市長。皆様に代わって受け取らせて頂きました。
また忙しい毎日をご理解いただいた患者さん達とスタッフに深く感謝しています。
前に進もうとしただけの四年間、今となってはどの会議もどの出張も懐かしい思い出です。
本日pm2,5への注意喚起 とろろの夕陽。
本日昼のニュースで新潟県がpm2,5に対する注意喚起情報を出したと報じていた。
午後の施設行きと在宅回りで確かに遠くがかすんでいる。
よく知らなかったが、pm2・5が大気1立方メートル(㎥)当たりの1日平均濃度が70マイクログラム(㎍)を超える可能性がある場合、注意喚起を行うという。
この予測は午前5時~7時の平均濃度85㎍/㎥越えをこのたびの目安にしたようだ。
昨日はおぼろの夕陽と書きました。
本日は大気が濁っているせいか、とろろと言った風でした。
さて本日、新潟市亀田で該当時間の平均が101を越えて上昇。それで県内に注意喚起が行われました。
実際の注意は昨年3月に定められた制度発足以来はじめてということ。
本日その情報が出されたのは10都道府県だということです。
通常九州など西日本に高いpm2,5が、気象の関係で新潟県でも高濃度となった模様です。
ちなみに北京では500㎍を越えているということで、ケタ違いですね。
呼吸器系など病に直結する数値ではないでしょうか。
これを書いている深夜、両眼がちくちく感じられ涙がにじみます。
寝不足か、あるいはさらに濃度が上昇しているのでしょうか。
立春に冬の戻り 認知症独居者の消化器感染症のリスク。
しばしば春のような日があったが、本日気温が急降下して雪が降った。どこかへ寄り道していた冬将軍があわてて現れた模様となった。
現在大雪と言うほどではないが明日も同じようなお天気らしい。
夜が更けて、空がヒューと鳴り一気に真冬に戻った。
ニュースは東京はじめ関東地方の雪を報じている。あの青々とした太平洋を望む伊豆伊東も降ったとは。
ところで先日、ほぼ独り暮らしという認知症の方に突然嘔吐下痢が生じていると、ヘルパーさんから連絡があった。看護師が用意した使い捨てガウンに手袋の仕度で行った。
心配が的中し初日の便にノロウイルスが検出された。症状はおよそ2日で治まり、10日を過ぎたが幸いヘルパーさんはじめデイなどの感染拡大は免れている。
普段通っている私たちの顔も覚えられなくなった方だった。食事、衛生管理などこのような人の在宅生活は非常にリスクが高い事を再認識させられた。施設入所を急ぐこと、それまでホームヘルプを頻回にすることが話し合われた。保健所にも相談したがひやりとさせられる出来事だった。
軽めに推移する冬 急病人や老人は貨物?
予報よりも恵まれた日が続く。昨日午後、在宅回りで見た雁子浜 も写真のように穏やかだった。本日の予報も雪ではなくお日様マークと雨マーク。。こうなれば二月が本番なのか。
ところで一昨日の食事で救急車の乗り心地の悪さが話題になった。私自身信搬送されたことはないが、その昔何度か重症の方に同乗したことがある。いずれもガタガタ、ドンドンと激しく上下振動しあるいは揺れて、乗り心地どころか病の悪化が心配で気が気では無かった。
ところがこの時代、今もってひどい状況は変わらないらしい。それについては一刻も早く病院へ着くことが第一、重い医療機材を搭載している、無料なのだから、などで、改善に手が回らないとされているようだ。
しかし脳出血、外傷、めまい、妊婦さん、嘔吐・腹痛、整形外科疾患、循環器ほか多くの急病に対して、持続する激しい振動や揺れはすべからく有害であろう。最も安静が必要な状況の中で、一旦搬送となった途端ひどい環境が付加される。考えてみればおかしなことである。
救急車はメーカーの商用貨物車を改装して使っていて、スプリングは板バネのままだという。
「お世話になる」からとはいえ、きわどい場面の病人が貨物扱いでよいのだろうか。生活の質云々ではなく、医療の質から本気で取り組む課題ではないかと、あらためて思った。
※話変わりますが、福祉施設の送迎車もかなりの悪条件です。母のショート利用で何度か一緒に乗ったことがありました。多くの利用者は車椅子のまま乗車です。振動がきつい上、位置がより高くなるため大きく揺さぶられます。車椅子は固定されてますが、乗っている人は、揺れに対してぶら下っているヒモなどに掴まるのです。
その後、往き来は自分の車を用いるようになりました。
家←→病院・施設。普段双方の場で如何に丁寧に扱われている人でも、移動となると貨物扱い。不思議なことではないでしょうか。
診療所の挨拶のことなど。
本日午後、車が示した外気温は8~9度もあり、ほぼ終日の雨。
ところで日頃の診療では、考えて見ればやや奇妙な挨拶や会話がされる。
●新年の〝明けましておめでとうございます〟あるいは〝おめでとうございます〟もその一つ。
病院で重病などが克服された退院ならば「おめでとうございます」は聞き慣れている。
近時、特に内科の診療所は処置・治療から予防・管理へ方向が変わった。
そのため働いている人や歩ける皆様が通って来られる。
そこは日常生活の一隅となり、正月を迎えて〝おめでとうございます〟はさほど不自然な感じでなくなった。
それでもある方が〝通院しておめでとうって、何かちょっと変な感じもしますね〟と笑われた。
●他には〝いらっしゃい〟がある。これは患者さんが入って来られた時に私が言っている。
そもそも以前〝いらっしゃい〟は無かった。
それがかって亡き母が仙台に居た時、掛かった診療所医師が顔を見ると〝いらっしゃい〟と言ったという。
母はそのことをとても気持ちが良かったと話したので、自分も言うことにした。
初めは照れくさくて妙な気持ちだったが、まもなく慣れた。
但し辛い症状で来院される方には言うはずもない。
これについても〝医者に来て、いらっしゃいって、何かちょっと変な感じですね〟と仰る方がいた。
前述の〝おめでとう、って何かちょっと変な感じですね〟と同じ人だ。
●この方は普段から理屈や筋というようなことを会話で重視される。
食事留意と一定の運動で減量し、高かった血糖値が数年かかってきれいに改善された。
そして診察が終わると時々こんなことを仰る。
「本人が一番注意しなければいけないのに、先生は自分ら以上に心配してくれる。でも良くならないと 先生の責任になっちゃうなんて。それじゃあ申しわけ無いのでまた頑張ります」と。
いやいや、そこまで仰らなくても、と言いながら有り難いことだ、と思っている。
今日からブログのヘッダーを変えました。
2011年1月10日のブログで用いた白鳥の写真です。2年前のほぼ同じ時期、この時はかなり積雪がありました。
今年は暖かなせいか、外出が減ったためか、まだ白鳥を目の当たりにしていません。
向き合う寒椿 部屋の水仙 雪国の健康管理。
本日風雪なく穏やかに陽が射す好日だった。急病が混じり往診外来とも忙しくなりはじめた。
運動不足に加え、お正月料理の塩分とカロリー余剰の影響が見られている。雪国で冬を上手に過ごすのは健康のために大切なことだと思う。
ひなたで椿が二輪向き合っていた。手前の花は児をおんぶしているようで愛らしい。
冬をすっきり。
一両日、静かに雨が降る。屋根や軒の絶え間ない雨音は雪解けの音に似ている。
しかしこれからが冬本番だ。
さていよいよ皆様の血圧が上がりはじめ、血糖値が上向jいてきた。毎年のことである。
寒さ、運動不足、高塩食品、始まった宴会、豊作だった柿。みな影響している。
結果として冬の4ヶ月、血管と内臓負担が増える条件が整い、密かに老化と病へ弾みがつく。
ところで今年の柿は豊作だった。HbA1cが上昇した何人もの人が「幾つも柿をたべた」と仰った。
大きめの柿なら軽くご飯1杯のカロリーはある。連日二つも食べれば血糖、ひいてHbA1cも確実に上がる。
柿は半分食べ、残りは明日で丁度いいかもしれない。
現在・将来の健康を深く意識すれば、良くない習慣も数日~1週間で改善は可能だ。
身体は正直で、良いことは待ってましたと反応する。胃袋はダウンサイズするし、強い塩気なども次第に苦っぽく感じてくる。
習慣による空腹は、仕事関連か趣味へ取りかかることで少しずつ避けることが可能になる。
大切な健康のため習慣に大きく流されることなく、すっきりと冬をすごしましょう。
先日の荒天に見えた晴れ間、黄色の木守が雲と青空に映えていた。
木守がハンカチ雲に包まれる
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