宮崎元前館長さんとあらためて倉石隆を観た。

2025年3月16日(日曜日)

本日も肌寒く午後遅くからシトシトはじまり、春雨にしては冷たい雨だった。そのなか小林古径記念美術館の前館長宮崎さんが待っていて下さり、今年の展示は両方とも面白いと褒めて下さった。

齋藤三郎は茶道具のバリエーション及び茶道へ理解の促しが良いと指摘され、倉石隆は男性についてのストーリー仕立てが面白いと仰った。

倉石作品は幼年から老人まで副題をつけて並べてみたのだが、思ったよりも脈絡が繋がった。これは倉石隆の力量あらばこそ成立した企画にちがいない。
因みに、スタートの幼少から老年まで以下の順で副題を付けて展示しました。
「毎日一生懸命」→「勉強もして」→「お腹を空かし」→「不安もあった」→「大きく見せたり」→「おどけたり」→「時には詩人」→「しかし自分は自分」→「意を決し」→「我を見つめ」→「時には修行」→「繰り返し妻を描き」→「いつしか年取った」です。

当然こんなことをしては倉石氏に失礼なのですが解釈や副題および展示順については私自身も問うて反映させてもらいました。ご覧になった皆さまのご意見は如何でしょうか。

「大きく見せたり」
(原題:男の像)

「時には修行」
孤独も修行と考えました。
(原題:黄昏のピエロ)

最後から2番目「繰り返し妻を描き」
(原題「画室」)

ところで「男性像展」とはいえ上掲の最下段「繰り返し妻を描き」は男性が見当たりません。しかし画中の大きなキャンバスの前(モデルの妻を見いているこちらこちら側)に絵筆を持って立つ倉石氏本人のことを描いているのですから「男性像」として取り上げました。

人物を描くのはある意味“人間の本質”あるいは“自分自身”を描く事なので大変な作業です。おそらく描く時間だけの問題ではなく、生活のほぼ全て(ある意味生涯)を費やして取り組む課題でしょうからなおさらです。

「レンブラントは最大の師」とは氏の口癖だったようです。どうか人物画の面白さと深さをお楽しみ下さい。

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