My condolences(弔意)。

2022年9月19日(月曜日)

ドイツびいきだった父は朝鮮戦争のころから米国の写真雑誌LIFE(ライフ)を数年間購読した。ひなびた農村の道を左右2列で進軍する米軍のモノクロ写真を何度も見た。

ある日華々しくも豪華な式典の写真が載った。エリザベスⅡ女王の戴冠式だった。特に目を奪われたのはカラー写真の王冠で、小さな脳みそが溶けそうなほどきれいだと思った。

あれから70年、国葬で柩の上に置かれた王冠(NHKの画面より)。下段の輪の中央にある317カラットの巨大なダイアモンドはかって南アフリカ共和国政府から贈られたもの。発見当初採掘現場でダイアと分からず、水晶として一旦捨てられたことがあったという。

 

1946年自室の王女(上)、2008年国会へ向かう女王(下)
写真はいずれもgettyimages提供

今夕女王の国葬中継があった。画面から英国の国力と随所に現れる(恐らく真っ当な)キリスト教の教義と儀式を興味深く視聴した。
戦後何度か浮沈を繰り返した英国。今ウクライナへ並々ならぬ支援を継続しているにも拘らず、完璧な葬儀と国民が現す弔意はさすが英国というほかなかった。

中継から三つの事が興味深かった。
○NHK地上波にはさまざまな説明キャプションのほか台風情報まで貼られてゴチャゴチャとして見ずらい。一方BSはこれらが少ないのですっきりして観やすかった。

○弔辞、返礼などは一切無く、大統領が一言聖書の一節を述べただけだった。ずっと聖歌が続き葬送の意義は明瞭で非常に洗練されていた。

○遺影が無い。
僭越至極だが、小生もずっと前から自分の葬式に遺影は飾らないで、とお願いしている。冷たくなって柩に横たわっている本当の自分を感じてもらえば十分だからだ。ただし女王の柩のように自宅の花を、バラで無くとも良いが少量添えてもらえるなら有り難い。

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