クロアゲハとキンカンの木。

2019年9月10日(火曜日)

診療所の庭に一本のキンカンがある。
4,5年前にアゲハ蝶に産卵してもらうために植えたものの、食欲旺盛な幼虫に食べられてなかなか大きくなれない。
今年は樹勢がかなり回復してちゃんとした葉が茂っている。

そこへ10日ほど前にクロアゲハが来て、寄っては離れ、止まっては飛び立つことを繰り返した。

 

クロアゲハ、カラスアゲハ、そして過日のモンキアゲハなど黒色の蝶、特にそのメスは豪華な印象がある。
(2枚とも8月29日撮影)

 

ところで以下は昨年夏~秋に見られたキンカンとクロアゲハおよびその幼虫の様子。

 

木の回りを飛び葉の裏に、距離を置いて一個ずつ卵を産み付けていた(7月31日)。

 

 

2匹の幼虫が見える(8月17日)。
卵から孵った幼虫は4回脱皮を繰り返して大きくなる。
見えているのは2あるいは3回目の脱皮を終えたものらしい。
この時期の幼虫は白色の部分を有し、鳥の糞に似せる一種の
擬態効果を有していると言われる。

 

幼虫の最後の段階である5齢幼虫。ここで初めて青くなる(8月24日)らしい。
眼のように見える黒い部分は眼状紋とよばれ眼ではない。
眼がある頭部は先端のトンガリの下にあり、写真では見えていない。

このあと、木を下り近隣の枝でサナギになるという。後に辺りを見たが、サナギらしいものを見つけられなかった。

 

10月5日に見られた5齢幼虫。とても可愛い。
前の写真から40日ほど間隔があり、
この間に再度産卵された別の幼虫ではないかと考えられる。
ほかに同じ幼虫が7,8匹はいました。

この先、ポニョポニョした青い幼虫からサナギを経て、ハラリとした豪華なアゲハが生まれるとは、驚くべきことだ。

 幼虫に食されたキンカン(昨年10月5日)。この先さらに裸同然にまで食べられた。

よくしたもので、1年経て木は大して伸びないものの、葉は回復している。
果実のチョウは産卵していなかった。産卵の下調べでもしているのだろうか。

チョウの幼虫は食べる植物が決まっているため、産卵はそれに合った草木に限られる。万一間違った場合、幼虫は餌を失うことになり生きられない。そのために正確に草木を見つけなければならない。
そこで幼虫の食性に適した草木を選ぶのに、脚先で葉を触って味見をして判断するという。脚で味わうなど我々と余りに次元が異なり、にわかに信じられないが本当らしい。

この先キンカンにはどんな出来事があるのだろうか。

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