齋藤三郎の雪輪紋蓋置 静かな染附(そめつけ)

2011年12月7日(水曜日)

冬を迎えて樹下美術館に齋藤三郎の小ぶりで珍しい作品がやってきた。茶道具の一つ蓋置(ふたおき)」。蓋置きはお点前で窯の蓋や柄杓(ひしゃく)を置くのに用いられる。主に竹で造られるが、時には金属や焼き物も使われる。

円形の六華である雪輪紋は家紋にあり、小紋として着物にもあしらわれる。集まっても散ってもよしの上品な紋様だ。

 

蓋置の箱雪輪紋蓋置と書かれた箱

雪輪紋蓋置
雪輪紋蓋置。 縦横5.8×5,5㎝
藍色を発色する顔料・呉須(ごす)で描かれた染附(そめつけ)の色が静か。

箱の裏書き「對庵席開記念 高陽 陶齋造」の裏書き。對庵という茶室の席開き記念として関係者に贈られたであろう作品。昭和20代~30年代の様態だが、どこの茶室記念だったのだろう、調べてみたい。高陽は三郎の窯の名、風船窯とも言う。

 

サイン筒の内側に書かれた陶齋のサイン

このように突然作品が入って来て、図録に加わる。あせる気持ちを鎮めつつ、図録刊行は来年5周年の記念出版とすることにした。どれだけ伸びれば気が済むのか、自戒めいた毎日が続く。

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