遅く巣立ったスズメのヒナ。
さる8月28日に遅く巣立ったスズメのヒナのことを書かせて頂いた。今年巣立った若鳥たちはとっくに田んぼを謳歌している時期だった。厳しい残暑の中で巣立ちをした幼げな二羽のヒナの成長が心配だった。
しかし、その後の朝夕の庭に親子の鳴き声や姿が見られ、日中は静かになる日が続いていた。きっと三羽は朝田んぼへ出かけ、夕刻に帰る日課をしていることだろう、とひと安心していた。
本日夕刻、くだんの若鳥かなと思われた幼い鳴き声の個体が合歓の木に居た。まもなく一羽の若鳥と親が来て一緒に飛び去った。
今年早々と生まれた若鳥たちは成長し群を作り、ねぐらを拠点として生活しているはず。しかしこの二羽の若いスズメはまだ親と共に田と庭を往き来しているように見えている。
遅く生まれた代償として、ここに留まって親鳥と越冬し、来年テリトリーを分けてもらう仕組みを勝手に想像しているが、どうだろう?
もう20数年も昔の夏、負傷や落巣のスズメを育てた。試行錯誤を重ねると給餌を受けるようになり、屋内で私の足音や姿を追うようになった。数週間すると教えもしないのに用意した水や砂を浴びて驚かされた。
その後、広間で何日か飛翔の訓練らしきものをしたあと、試しに二階の窓から放った。一旦飛び出したものの、おびえたようにきびすを返して部屋に戻った。
こんなことを繰り返して数日、開けっ放しの窓から出て外で過ごし、餌を食べに部屋に戻るようになった。出入りの間隔が次第に長くなって一日数回から、さらに朝に出て夕方戻るようになった。一晩は家で過ごすのである。
ある一羽は、育ててひと月もするころ、朝早く寝ている私の髪を引っ張ったり、耳を突っついたりした。外には賑やかな若鳥たちの声がしている。庭へ出せとせがむ仕草であろうと考えて、窓を開けた。スズメは真っ直ぐ群へと向かった。
私には群に居てもくだんのヒナの声が分かった。飼い始めた当初、餌をねだって大声で鳴いたが、鳴かずとも餌をもらえる環境だったため次第に声が小さくなった。
啼くことと飛ぶことは鳥たる二つの証しである。小声を痛ましく思った。
ところで、かって部屋で餌を与える場合、小さな磁器の餌入れを耳かきで叩いて合図にしていた。放鳥後、庭に出て群に向かって器を叩いた。すると中から一羽が近くの枝に飛来し、さらに器に止まることを数回経験した。
当時鳥について、コンラート・ローレンツ博士の“ソロモンの指輪”で読んでいた。群から鳥が飛来した時、恍惚に似た幸福を味わった。
ある大雨の日、部屋に姿を見せず心配したことがあった。しかしその翌朝、軒下で啼いていた。窓を開けると部屋に入り慣れた高いスタンドに止まった。作った餌をついばみしばらくスタンドで佇むと、再び出て行った。
以後部屋に来ることも、庭で叩く器に反応する姿も見当たらなくなった。田んぼに稲が実る頃であった。群に同化してここを離れたのだろうと考えた。
くだんのスズメの頭には僅かのうぶ毛があるだけで頭髪がほとんど無かった。ある種障害があったかもしれない。しかし垣間見た独特の賢さによって、厳しい自然をも 生き抜くのではないかと、淡い期待をもって忘れるようにした。
しばらくの間、何かの拍子にあたりから小さなスズメの啼き声が聞こえると、姿を探してみた。
昭和60年前後によく問題のあるスズメの幼鳥に出遭った。ある日胸が裂けたスズメのヒナを拾った。手当をして鳥かご入れて軒に下げた。間もなく親が来て餌を与えたが、翌日には落鳥していた。また猫の多い場所に佇む飛べないヒナも極めて危険だった。
事故や負傷の幼鳥の飼育は保健所に事情を話し、叶えられれば経験者の助言のもと放鳥まで飼育を試みるのは有益だと考えられる。但し部屋のフンには少々の我慢が必要だ。
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