大好きな濱谷浩作「ホンヤラ洞で歌う子供たち」とその絵はがき。

2025年3月23日(日曜日)

昨日の小林古径記念美術館行きの際、受付前の壁面に濱谷浩氏の「ホンヤラ洞で歌う子供たち」が展示されていた。氏の作品でどれが最も好きかと聞かれればこれと言うかも知れない。

いいですね、と受付で言うと、絵ハガキきもありますよ、と仰る。ほ、ほんとうですか、頂きます、頂きますと思わず口走った。それくらいこの写真が、この絵はがきが好きだった。
7,8年前のことか、古径美術館がまだ無い頃,上越歴史博物館のショップで「ホンヤラ洞で歌う子供たち」の絵ハガキが売られていた。喜んで10数枚だったかあるだけ求めた。当持は今より筆まめで、ハガキもよく使っていたので瞬く間に手許から無くなった。

一、二度再入荷したが残念ながらその後入らなくなった。ネットで調べると京都の便利堂という絵はがき屋さんの品で、コロタイプ印刷という古い伝統的な技法で刷っていることが分かった。
今度はそちらから10枚、15枚と求めているうちリストに載らなくなり、時期をみて当たったが長く出てこなくなった。

私に「ホンヤラ洞で歌う子供たち」は一種夢にまでみる絵ハガキ。それが昨日目前に一杯あるという。20枚、、、いや30枚お願いしますと言って買った。一枚165円だった。

夢の絵はがきが30枚。

机に置いて写真を撮った。
幸福で不思議な写真。

ところで同じ作品の絵はがきでも便利堂のものと少し異なり古径美術館のは縁取りがない。昨日久し振りに便利堂のホームページを見たところ、こっちにも出ていた。一枚275円である。

白ふちで囲むのとカットするのでは印象が異なる。カットされるとコントラストが効いてシャープになり、白い縁が付くと柔らかな印象になる。濱谷氏作品は縁があったほうが氏らしくて良いかも知れない。

さてハガキを良く観てみると、
大きなホンヤラ洞(かまくら)はロウソクが焚かれ、やかんが掛かり餅が焼かれている。手前にはミカンだろうか子供の数だけある。入り口にはゴツゴツと靴が置いてあり、後方の壁に小棚が穿たれ小さな雪だるまなどが供えてある。

ロウソクはじめ内壁、やかん、餅、ミカン、壁の小棚および子供の顔が明瞭なハイライト、一心に歌う子供たちの顔は雪洞とほぼ同じ明るさで髪や衣服、口および靴の黒とはっきりしたコントラストを作っている。さらに精一杯に開かれた口からは歌声が聞こえそうである。
ここに到るまで極めて丁寧な演出を施し何度もリハーサルを行ったのではないだろうか。明るいロウソクがポイントだと考えられるが、こまやかな照明はどのように工夫されていたのだろう。さらに歌をリードしているような左側の大人は誰なのだろう。

それにしてもよく子供たちがこのように自然で幸福な表情になったものだと感心する。そのことを含めて濱谷浩氏の写真は、あの夜の桑取の鳥追いといい、神がかっているとしか言いようがない。

「ホンヤラ洞で歌う子供たち」
昭和31年(1956) 新潟県十日町猿蔵 撮影:濱谷浩

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