2024年11月13日

1本の木にキンカンとカラタチの実が。

2024年11月13日(水曜日)

医院の庭にキンカンを植えている。木はアゲハ蝶の好物で、好んで産み付けられた卵から孵った幼虫が新しい葉を食べるので中々大きくなれなかった。
それが一昨年ころから食害を越えて成長しはじめ、私の身長よりずっと高くなった。すると今春、木に白い上品な花を沢山付けた。

だが不思議な事に花は木の一部分にだけ咲いた。清潔な白い花を気に入り、今年4月23日のブログに写真とともにキンカンの花として掲載した。

キンカンとして載せた花。

ところで今秋、りキンカンの実が沢山付いたのだがその一部がおかしかった。

この部分の実は確かにキンカン。
枝にはトゲが無い。

その反対側に大きな
黄色の実がいくつもなっている。

樹の下に実が落ちている。
ピンポン球よりも大きい。

最初はこのキンカンは何かのせいで一部に大きな実をつけるのだろうかと思った。しかし一つの木に二通りの実など実際にあるものだろうか、不思議だった。

この日、草刈りや雪囲いでお世話になっているAさんが庭にいた。Aさんもおかしな木だなと思っていたと言い、寄ると一つをもいでがぶりとかじった。
イヤ、こりゃダメだ!と言うなりペッ、ペッと吐き出した。これはキンカンではありませんね、接ぎ木かも知れないぞと言う。

根の部分を見ると確かに微妙に色あいが異なる2本の木がくっついている。

右の木は左のよりも白っぽい。

大きな実がなる枝には
鋭いトゲ。

ああこのトゲなら見たことがある。今年の正月旅行の際、倉敷の大原美術館の垣根にあったのと同じではないか。その時調べたらたしかカラタチだったはず。そのトゲだらけの垣根の中で、こともあろうにエナガがさえずりながらピョンピョン跳び回っていたではないか。
A氏にこの実はカラタチですねと言った。すると♪カラタチのトゲは痛いよ♪という歌がありますもんね、と口ずさまれた。

根は下図のように、白っぽいAのカラタチを台としてBにキンカンを穂として接がれているようだった。また黄色の実がなる枝だけにトゲがあり、キンカンの実がなる枝にはないことも確かめられ、それぞれの性質に合っているようだった。

調べると、ミカンを中心に柑橘類は丈夫なカラタチを台に若い枝を穂として接いで増やすと出ていた。この方法だとタネの少ない品種を得たり、旺盛に成長し病虫害に強い木が出来るとも書いてあった。時には1本のカラタチに何十種もの柑橘類を接ぐ場合もあるらしい。

接ぎ木とも知らずに木全体をキンカンと思い込んでいた。そのうえカラタチの白い花を見ながらキンカンは美しい花を咲かすとブログに書き、大小異なる実を付けるのかといぶかり、トゲがあったり無かったりもする不思議な木だと首を傾げていた。

この木の生産者は接合した後カラタチを切り忘れたか、2種の木を楽しめるように仕立たのかもしれないい。

本日夕食後、妻にこの話をすると“実は私も、大きなキンカンがなっていると思って食べてみた”と言った。
妻はどんな顔をして吐き出したのだろう。A氏がそうだったようにカラタチは熟しても酸っぱくて食べられないとある。


「からたちの花」
北原白秋作詞、山田耕筰作曲。

この歌を聴くと花も実も垣根も歌われている。倉敷の大原美術館の通りで見たのも垣根だったが、私たちの一帯ではまだ見たとこが無い。
たまたまであるが、家に2種の柑橘類があったことになる。植えてから5,6年は経っている。温暖な地方の木がこの雪国で育っていることを幸運としたい。

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