別れ。

2024年11月5日(火曜日)

別れ

昨日午後東北の小さな駅で電車を待っていました
向こうとこちらのホームの間に
澄んだ高い空が見え小さな飛行機雲が
ゆっくりゆっくり西へと向かっていました
ああ、あの銀色の点と短いすじ雲は
いま荼毘に付されたばかりの弟ではないのか
涙の中で小さな飛行機雲は消えていきました

一つ違いの弟は、およそ何から何まで私と違っていました。いつまでも歩けなかった私を追い越して弟は歩いたそうです。
写真を生業としながらスペインへ渡り牧童らと生活をともにし放し飼いによる豚の飼育の着想を得て帰国。南三陸町に「エル コルティッホ ソーナイ牧場」を構え、独自の飼料で豚の放し飼いを始めました。

肉は好評を博し皆さまにもお世話になり中央の名店でも扱われました。しかし家族が食べれられれば良いと言って広げるようなことはせずさらに美味しくと取り組んでいました。一方出版では淡光社や福音館書店のお世話になりました。

身体はボロボロだったと思います。結果仕事場でばったりと倒れそれっきりでした。まだまだでしたが温かな家族と地域の理解者に恵まれて幸せだったと思います。斎場でお会いした皆さまからもそれを感じました。

最近北上川の天然うなぎの蒲焼きを送ってくれて美味しく食べたばかりでした。
独自の哲学を実践した弟を悼み、不肖の兄から慰労と畏敬を捧げたいと思います。

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