週末の玉井力三展。

2024年8月26日(月曜日)

一昨日24日土曜日午後は上越市髙田の小林古径記念美術館へ行った。同館で好評開催中の「玉井力三 展」を観るためだった。
玉井力三:上越市柿崎区出身、明治41年(1908年)8月14日~昭和57年7月23日、享年74才の人。
後の太平洋美術学校に学び、終戦まで満州で制作、戦後まず月刊讀賣、ユーモア、オール讀物、少年讀賣などの表紙絵を担当。
昭和29年(1954年)、46才から長きに亘り小学館発行の学年雑誌を中心に他社の学年誌はじめ婦人雑誌、学習ノート、大人向け月刊誌など多数の表紙を描いた。小林古径記念美術館入り口の看板「玉井力三展」。

美術館で購入した書籍「玉井力三の世界」
から裏表紙。
初めて手がけた昭和29年四月号。
まだ表情はあっさりしていた。

本展覧会は氏が筆を執った小学館発行の学年誌からおびただしい表紙原画が展示され、ほかに一般の油彩作品もあった。表紙以外では美しい光の中の裸婦像が非常に魅力的だった。みな個人蔵と記してあったがどんな人が所有したのだろう。

表紙絵は自宅柿崎のアトリエで制作され、本人が作品を携えて上京。東京では次に備えて季節に相応しい状況が設定され、モデルの子ども達を配した丹念な撮影を行うという一連の周到な過程が繰り返されている。

作品は編集者から印刷所へ回されたが、付けられたメモが展示場内に掲示されていた。そこには、
○顔の色はなめらかに、健康色を出す。
○歯と白目部分を出来るだけ白く。
○運動着は純白に、但しシャドーは飛ばないよう。
○唇は赤すぎないよう。
○絵とまわりのイラストなどが全体に調和するよう。
○歯の間は原画どおりに。
などと玉井氏のこだわりが記され、特に肌の色(健康色)、歯と白目の白が強調されているのが目を惹いた。
赤い頬のほか、個人的にはくっきりした二重まぶた、明瞭なほうれい線、および笑顔でのぞく歯ぐきと舌は玉井の児童表紙絵の特徴として印象的だった。

季節ごとのテーマや万博、スポーツイベントなどがモデルの子どもとの関わりで取り上げられるが、読者は幸福な表紙に大いに元気づけられ、将来を夢見たにちがいない。
一貫した具象の商業画家、玉井力三。希な氏の業績はさらに評価、顕彰されるべきではないかと思った。

本日の米山。
昨日しっかり雨が降り、稲には
良いタイミングだったのでは。

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