明日開館 倉石隆の新旧コレクション展 DNAの深い願い。

2022年3月14日(月曜日)

明日2022年の開館になりました。
上越ゆかりで我が家とも少しゆかりがあった陶芸家と画家を常設展示する樹下美術館。開館以来15年テーマを決めて展示してきました。

テーマを決めるのは大変でしょう、と訊かれることがあります。しかし大して思い悩むこと無く、前年中にアイディアが浮かぶことが多く、それを考えるのは楽しみでもありました。

今年の絵画は倉石隆の「新旧コレクション展」です。昨年新たに3点作品が加わったので決めました。
1点は美術店から2点は寄付に相当する収蔵でした。
幸い当館の絵画展示場は10メートルほどのささやかな湾曲壁ですから、あとは旧蔵作品を何点か架ければ良いことになります。今年は色調の異なる「裸婦」を5点選んで架けた次第です。

以下新たな3点です。

爽やかな「運河の風景」。

絵のお弟子さんの一人を描いた「O婦人像」。

 

「(少女像)」

二人の人物は個性を描こうとする倉石隆らしく生き生きとして、そこに実在するように感じます。

以下は旧蔵の裸婦たちです。

こんなに青い裸婦像とは。
使われている赤にいっそう温かみを感じます。

朝の光の中でしょうか。

 小さなバラを手にした裸婦像。

高価なオレンジ色(バーミリオン)を大きな画面一杯に使った裸婦像。

 

終戦後、わずかに残った絵の具で描いた上京前髙田時代の作品です。
精一杯力強く描いています。

皆さんはどの裸婦像が良いでしょうか。私はブルーやバラを持った茶色が特に気に入っています。

 

ロシアによるウクライナへのむごたらしい行為が続いています。
強力な権力と軍隊をもった人間が、異常な愛国心と自己愛の拡大に取り憑かれて悪の限りをつくす。

 


ウクライナ民謡「月の歌」
何年か前の動画で、涙ぐむ人も見えます。
こんな善良な人達の国を壊滅させようとするとは。

祖国、民族に誇りや愛を抱くのは当然です。
しかし個々は1から10まで100%その内容が同じでないのも当然で、それはDNAの長く深い願いにほかなりません。
ちょっとした個人個人の違いがエネルギーや文化や智恵のみなもととなり、全体としての豊かさと成長をもたらすのでしょう。

この度のような他を許さず、祖国・民族を自己愛的に同一化したい欲求は、底に近親相姦的な側面をはらむ。それは外観の勇ましさとは裏腹に実は自他を幼弱化させ、往々にして個人や祖国を危うくするはずです。
これらは自己壊滅を避けようとする慎重なDNAのブレーキにちがいありません。

長くなりましたが、
開館の仕度をしていますと、毎日何組もの方達が「まだですか」と、お見えになりました。
お待ちかねのカフェが整い、暖かさで庭のクリスマスローズの開花も進んでいます。

どうかいらして下さい、心からお待ち致してます。

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