お年寄りの昔話その1「髙田の言葉」。

2021年6月29日(火曜日)

去る5月18日から始めた高齢者の個別ワクチン接種が、昨日当初の予定6週間を終了した。但し注射器が途中で1バイアル5人向け→6人向けに変更されたため、その人数調整として7月2、3日に6名ずつの追加分が残っている。

その間3日は通常の仕事だけで、ようやく接種のお休み日が巡ってきた。本日その初日で昼寝をし、心身が軽くなるのを感じた。

さて以下は在宅接種の観察時間にお茶とともに出された笹団子です。とても美味しいお団子でした。
在宅は15~20分の観察ですが、その間患者さんやご家族の話を聴きました。接種以外を含め、近時お年寄りから聴いた話を二三記してみます。滞在が短いので詳しくはありませんが宜しくお願い致します。

 

農家で生まれ育った103才のおばあさんは、新聞の一面を読むほどしっかりしています。
ある日の訪問で、「今朝、看護婦さんが電話をくだすって、助かりました」と仰った。一帯のおばあさんたちは“くだすって”などとはまず言いません。
それを聞いて、おばあちゃんは若い時、奉公に行きませんでしたか、と訊いてみました。
すると、行きましたよ、と言って昭和の初め頃16、7才で奉公に出たという、次のような話をされました。

奉公先は名古屋の商店だった。そこで子守や台所を一生懸命やった。ある日店の夫婦は「この子の在所は、そんなに山奥ではないらしいね」と話すのを聞いた。それまで自分は訛りのきつい田舎の山奥から来たと思われていたようだった。
奉公先の自分の言葉は訛りが少なかったかもしれない。それは、かって縁あって髙田の婦人会に参加し、一緒に勉強したり奉公袋を作ったりして奥様たちと交わったため、自然と言葉が良くなったように思う。
そもそも当時「髙田の言葉は日本全国で通用する」と聞いていたが、名古屋に行って、本当だと思った。その後も出来るだけ言葉に気を付けるようにした。
※奉公袋:出征する兵士が戦地に持参する袋で、身の回り品を入れるもの。千人針もこしらえて一緒に入れたという。

以上ですが、“髙田の言葉は日本全国で通用する”という話を初めて聞いて、少々びっくりしました。名詞や助詞に独特さはありますし、普段とよそ行きで区別があるのかも知れません。しかし妙高、糸魚川を含め上越一帯は、ずーずー弁的な訛りや特異な抑揚が見られないことなどから、確かにその説は当たっているかもしれないと思った次第です。

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