2021年2月14日

旅情の十日町博物館行き ローマの休日のラストシーンとマイ・ファニー・ヴァレンタイン。

2021年2月14日(日曜日)

昨年6月に移転新館を開館させた十日町博物館
かねて良い場所と知人から聞いていた。今週末は晴天の予報が出て、待ってました、と本日行ってきた。前々から十日町へ行くならほくほく線でと考えていた。本日車を犀潟駅に置き、10時過ぎの普通電車に乗った。

犀潟を出て間もなく、雪の頸城平野の東西に米山、尾神岳そして妙高連峰が美しかった。
およそ50分で十日町に到着。

 

乗ってきたラッピング電車。

 

東口へ出て早い昼食にてんざるを食べた。
駅前の繁華街は雪も見えずからりとしていた。

食後西口に回って博物館へ。

 

東西を結ぶ地下通路入り口にあった石彫は良い感じ。

 

階段を上り西口へ。

 

するとこちらは大雪の名残が保存?されている。
これは歩道で、右側のさらに右に除雪された車道がある。

 

旧博物館や体育館、情報館などがある文教地区の博物館に到着。
雪の中の真っ白な建物は一種エキゾチックだ。

 

自ら「究極の雪国」と名乗って日本遺産の認定を受けている。
この高らかな割り切りこそ、ものごとの基本だと思った。
概念がしっかりしている十日町に可能性を感じた。

 

入場後すぐ十日町の紹介ビデオを観る。

常設展示は「縄文時代と火焔土器のクニ」「織物の歴史」「雪と信濃川」の三部がある。
最初に火焔土器のクニ、から観た。数多くの国宝が含まれ、特異な美とみなぎる力に驚き心打たれる。

 

 

 

 

話に聞いた貴重な土器は穏やかな照明のもと、大変丁重に飾られている。

 

ある作品の頭部。

 

 

独特な美意識への徹底したこだわり。
漂う不思議なバランス感覚。

こだわりは先史時代の世界感、生死館、宗教観、美意識等々多様な観点の集合が生んだものと理解された。それには階級の象徴あるいはまつりごとの用具としての意味も込められたようである。
おどろどろしい外観は一種魔界の神秘に通じる神性を帯び、厳しい自然や霊魂が如何に生活と近かったか、を想像させた。
まだ長岡市の火焔土器を観たことがないが、写真で比べるとこちらの方が幾分穏やかな印象を受けた。是非とも長岡市の収蔵品を観たいと思った。

勉強しなければならないことが余りに多く、ますます寿命との競争が激化しそうだ。この年でそれは大変であるが、まず楽しむことを考えて臨みたいと思う。

次は生活、とくに女性の仕事、あるいは機織りの展示だった。。

 

かっての農家の展示。
リアルな人形がコタツで針仕事?をしている。
土間では夫が縄仕事をしたいた。

 

なぜかその女性の髪が気になった。

そして機織り。

弥生時代の原始的な機織り。
温かそうなチョッキが再生展示されていた。

 

上杉謙信の時代から一気に麻織りがさかんになり、江戸時代になると絹へと移行したという。

 

大型の機織り機械。

かって松代ご出身のおばあさんは、二年間の教習を受けて祖母が使ったきりの大きな機織機で絹を織ったという。兄の嫁取り用に背広生地を織り上げたなど、貴重な話を聞かせてもらった。手前の大きな織り機だったのかと想像した。

最後に企画展「マジョルカ着物と黒羽織」を観た。織物は流向に激しく左右される。十日町では、戦後にマジョルカ陶器にヒントを得て華やかな色模様の着物を流行らせている。実物とともに雑誌や映画とタイアップして強力な宣伝活動を展開したことが示されていた。

黒羽織は独特であり、花模様が闇に浮かぶ着物は強く人目を引いたことだろう。

 

さて十分楽しみながら十日町という文化に触れることが出来た。

 

文化は信濃川が生成した地勢と、雪国の極みに磨かれて育ったものにほかならない独特さを滲ませていた。

 

十日町駅二階は市の観光課が入るなどユニークだ。
フリースペースで学生さんが勉強し、カウンターでひと休みしていた。

 

帰って来た犀潟駅。

午後のひと時、楽しみながら十日町の一端に触れた。私の狭い世界からすればそれでも旅情十分だった。

最後に昨日の続き、本日ヴァレンタインデイにちなんで「ローマの休日」の映像を使った「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」です。
歌っているのは前半がリンダ・ロンシュタット、後半がロッド・スチュアートです。


最後に訪れた公式の会見シーン。眩しいばかりのオードリー・ヘップバーン。
密かに公私が行き交う会見で、王女はローマが一番と述べる。
記者たちに礼をと言い、握手をして男に別れを告げる。
目で応答しあうグレゴリー・ペックも本当に素晴らしい。

戦前からヨーロッパ共同体は議論されていた。戦争が終わるといよいよ具体化し始める。1953年制作映画の質疑シーンもそれを窺わせていた。
あれほど嫌っていた公務を、見違えるほどの誠実さでこなす王女の成長が描れ、シナリオも良く練られている。

後年戦渦の孤児救済に勤しんだオードリー・ヘップバーンは多くの貴重な言葉を残している。
“自然ほど心を癒やすものはない”という意味の言葉にはとても感動した。

さて会見を終えた男が一人歩くシーンは、現実への逡巡を物語りほろ苦くも大変に印象的。

十日町は分けて書くつもりが一回となり、長くなりました。

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