陽が射したり雪がぱらついたり 「銀の匙」と麦こうせん。

2020年2月27日(木曜日)

午前中は暖かいと言う人も寒いと言う人も居た本日木曜日。
午後休診とはいえ、ここのところよく往診が入った。本日は看護師が上手に調整してくれてちゃんとフリーになった。

風が強い日だったが夕刻にはいっとき雲が赤くなった。うまく時間が合えば夕焼けのほくほく線電車が撮れるかもと期待して田んぼへ出向いた。残念ながら時刻が合わず、あまつさえモクモクと黒い雲が現れて空を被った。

 

 西の空。この後一面真っ黒となり、たちまち山も見えなくなった。

 

帰りましょう、と車の向きを変えると、しばし道が白くなる。

 

現在二回と半分読んでいる「銀の匙」
しばらくどこかへ見失ったが、また出て来た。
年令のせいだと思うが、同じ本を繰り返し読む。
父の晩年に似てきたが、楽に読めるので仕方が無い。

以前も触れた通り、物語は明治前・中期におけるこども時代の回想として進められる。
祭、食べ物、遊び、囃しことば、親族、もの売り、植物、生き物、庭や風景、男女のこども、、、。これらと引っ込み思案な主人公との、どこかもの悲しげで美しいやりとりが、こまやかな言葉で綴られる。野尻湖の枇杷島(弁天島)で執筆されたというのも親しさをおぼえる。

 

本には驚くほど色々なお菓子(今で言う駄菓子)が登場する。
右は文中に登場した江戸・明治以来の「麦こうせん」。
左は遅ればせながら本日初めて口にしたタピオカ。

麦こうせん。粗めのラクガンであろう。かってよく食べた気がする。

麦こうせんはネットで買った。香ばしい麦粉の匂いがぷんぷんしている。私だけかもしれないが、タピオカよりも美味しかった。
本には沢山のおもちゃやお菓子が登場する。それらが売られている様子や扱いには何とも言えない情緒が漂う。
今、情緒や風情などというものは、どこか遠くへ行ってしまった。時に周囲でそれらしいものも顔を出すが、人集めであり、生活感もなく作り物ばかりで残念だ。

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