インフルエンザ、ノロ、ロタ、コロナなどウイルス疾患と栄養の重軽。

2020年2月22日(土曜日)

新型コロナウイルス感染により、クルーズ船の乗客からついに二人の死亡者が出た。その中のお一人は84才の女性で、持病がないことで下船による治療が遅れた。
持病の有無にとらわれ、存在した下痢症状が軽く見られたフシがある。一般に疾患の過程で生じる下痢などの消化器症状は重症化に結びつききやすい。高齢であればなおさらであり、下船治療を急ぐべきだったと考えられる。SARS、MERSにおいて消化器合併症の重大さは経験されているはずであり、このたび軽視されたのはまことに残念だ。

ところで普段インフルエンザの予防や対策でしばしば〝十分な栄養〟が勧められる。しかしシーズンだからと言って、あるいは罹患により発熱や倦怠感を訴えている人に、言葉どおり十分食べるのを勧める事はリスクが大きい。
ウイルス性疾患はおよそ全身に作用し、しばしば消化器をも障害する。そこへ無理して食べ、過重な負担を強いた場合下痢、嘔気、嘔吐を生じ、回復に必要な体力と栄養さらに免疫を喪失し治癒の遅れと重篤化をもたらすことが危惧される。回復期ならばともかく、進行中の食事はあくまで無理をせず、消化器を保護する方向を考慮すべきであろう。

そんなことから私は、インフルエンザなどで受診される方の栄養については、基本〝十分に〟とは言わず、〝普段より軽めに〟とお伝えする。あるいは必要に応じて一定期間の絶食、さらに野菜スープの上澄みやお茶と梅干のみを勧め、食べ急がないようにとお願いをする。経験上そのほうが早く軽快するのである。

消化管がメインターゲットになるロタあるいはノロウイルスではなおさらであり、日常でも、過度な栄養より、ほどほど、あるいは軽めの方が身体の代謝が促され、免疫が強化されることを長年信じてきた(もちろん良質な睡眠はいうまでもない)。

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