去る日曜日午後、新潟市美術館でワイエスの絵を観た。

2019年11月15日(金曜日)

さる先々週の日曜日、柏崎市を訪ねて念願の庚申塔に出合った。
その日柏崎の後、新潟県立美術館でアンドリュース・ワイエス展を観た。

ワイエスを知ったのは樹下美術館の開館間もないころで、東京のお客様からこのブログに載せた雁子(がんご)浜の写真がワイエスの雰囲気に似ている、と言われたのがきっかけだった。
インターネットで取り寄せた画集は素晴らしく、直ぐに好きになった。画集をみて、確かに荒涼とした雁子の風景は、どこかワイエス風かもしれないと思った。
※この時の画集は当時から美術館のカフェに置かせて頂いています。

そんなワイエスの展覧会が新潟市美術館に来ていると知り、このたび念願叶った。
館内は120点もの水彩画が掛けられている。画家が親しみ30年も暮らしたという米国はメイン州クッシングの静謐な土地。草地の丘のオルソンの家という大きな建物と、そこに住む兄妹の生活が、深みのある良い色を用いて克明に描かれている。

 

展覧会カタログの表紙

様々な角度からの家と周辺の草地や畑そして海辺、さらに農具や作物、卵や小舟などが描かれている。家は屋根や雨樋から煙突まで、内部は厩、納屋、風になびくカーテンやランプに到るまで詳細である。それらの折々には家の住人である兄妹が描き込まれ、彼らが営む慎ましい生活が静かに語られている。
最後に二人の住人が亡くなり主を失った家が、文字通り空ろに描かれていた。
空気に風、その音や匂いなど目に見えないものまで伝えたワイエスの作品は一点一点が詩であり、作家の情熱と技量に驚嘆せざるを得なかった。

 

〈クリスティーナの世界〉の習作である絵はがき。
オルソンハウスの住人クリスティーナは足に障害がある。
草地を這って丘の家をめざす力強いクリスティーナを描いたシリーズの習作。

 

さて話戻って以下は2007年12月から撮った雁子浜の小屋で、地元の人の漁具が仕舞われていた。

 

2007年12月7日

 

2008年1月28日

 

2012年12月5日。
周囲に自然に生えた松が大きくなり、一方小屋は傷んできた。

 

2018年1月15日。
厳しい浜で頑張った小屋は持ち主が亡くなると、ついに潰れていった。

オルソンハウスは現存し、2011年に米国の歴史建造物の指定を受けているそうです。

「アンドリューワイエス展 オルソンハウスの物語」は、
2020年1月19日まで新潟市美術館で開催されています。

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