2019年1月16日
後からでは遅い「もっと親に聞いておけばよかった」。
過日ある方から明治13年、小山作之助16才における上京について、長野まで徒歩だった事は分かっていますが、その後はどうやって行ったのでしょうかと訊かれた。
私たちの家は作之助の母トヨの実家であることなどから、よくこのような質問を受ける。だが祖父の顔もしらない私にその13才年上の兄作之助の事などまず分からないというのが正直なところだ。
但し父は生前作之助を叔父さんと呼び、学生時代の東京生活で度々自宅を訪ねた事が作之助の日記にも記されている。作之助はある程度研究されているが、青春期になぜ親に黙ってまで上京したのか、如何にして音楽を志したのか、などはやや判然としていない部分がある。
このような事は生前本人に会った人であれば直接詳しく訊けたはずであろう。だが残念ながら私は亡き父に詳細を尋ねたことがなく、一方小山家の方でも細かに話す人がいなかった模様だった。今なら少なくとも父には一種執拗に尋ねてみたいところだが、残念というほかない。
話変わって、日頃あれこれ親に聞いておけばよかった、と思うことは多い。晩年の母にはかなり聞いたが、父には満州でのことをはじめ祖父母、さらに曾祖父母の人ととなりなどを、ほとんど聞いていなかった。
一つ言えることは、若き私自身それらに熱心な興味を抱いてなかった、ということがあり、もう一つ、父は煙たい存在だったというのもあった。
万一父にも私と似たような事情があったならば、その親や祖父母についてもあまり訊いていなかったかもしれないが、どうなのだろう。
ただ、12人兄弟姉妹の長男だった父の学生時代、帰省するとまた新しい兄弟が生まれていてイヤだった、と聞かされたことがある。また祖父の度々の事業加担と失敗、祖母の贅沢などで借金がかさみ、その返済のため現金を求めて満州に渡らざるを得なかったことを苦々しげに話したことはあった。
お盆になっても父は墓参りをしなかったのは、そんなこともからんでいたのだろうと、思っていた。
何かと口を閉ざす父に代わって、叔父叔母たちが曾祖父の断片的な逸話を話すことがあった。
写真なども無い曾祖父・貞蔵については、医者であり、生前幼い孫達を座らせては漢文を教えていたことを聞いた。語られたのは、不勉強の際、掛け軸を掛ける竹棒でピシャリと叩かれたことばかりなので、せがんで容姿や仕事ぶりなども訊けばよかった、と振り返っている。
(※貞蔵の作之助への生活支援に対して、作之助から送られた月々の小遣い帳が一通だけ残っています)
冒頭の作之助の明治13年の上京に戻すと、村上一郎著「おもかげ(伝記・小山作之助)」には吹雪の大田切小田切を倒れそうになりながら懸命に歩いたとある。ほかに父か叔父叔母から、ある日の宿泊は旧信濃追分の油屋旅館、その先は安中という話を聞いたような気がするが、自信はない。だが作之助の上京当持、高崎線、信越本線の開通はまだ先のことなので、すべて徒歩だったのは間違いないことだろう。
現在寿命はどんどん延びている、そのどこかで親に聞きたいことがあれば遠慮なく尋ね、親は伝えたいことがあれば、つまらない話と言って喋ってみるのも悪くないはずである。
- 花頭窓、二十三夜塔、庚申塔、社寺
- 樹下だより
- 齋藤三郎(陶齋)
- 倉石隆
- 小山作之助・夏は来ぬ
- 聴老(お年寄り&昔の話)
- 医療・保健・福祉・新型コロナウイルス
- 花鳥・庭・生き物
- 空・海・気象
- 頸城野点景
- ほくほく線電車&乗り物
- 社会・政治・環境
- 明け暮れ 我が家 お出かけ
- 文化・美術・音楽・本・映画・スポーツ
- 食・飲・茶・器
- 拙(歌、句、文)
- こども
- 館長の作品。
- 晩秋好天の日のゴルフ 朝日池のコハクチョウ。
- かって認知症だった人、晩年の「ありがとう」は「好き」だった。
- 妙高市はいもり池の近く「ギャラリー峨々」を訪ねた。樹下美術館も紅葉。
- 再び良寛椿の苗。
- 1本の木にキンカンとカラタチの実が。
- 秋晴れの日のゴルフ。
- カフェのノート、スケッチブックの絵、ブログ展その3。
- 本日ジョケラさん初日。
- 明日からジョケラさんの展示会 高宮あけみ展のご来館有り難うございました。
- 別れ。
- カフェのノート、スケッチブックの絵、ブログ展その2。
- 講演会「良寛さんに学ぶ」が無事終了した。
- カフェのノート、スケッチブックの絵、ブログ展その1。
- 来たる11月7日からラッセル・ジョケラさんの展示会 晩秋の花 近隣のコハクチョウ
- 先週末の種々。
- 高田高等学校創立150周年の秋 いたくら桜園 近隣の秋。
- 「ラッセル・ジョケラ木工展」 可愛いお子さんとおじいちゃん。
- 本日今年最後の同業ゴルフ。
- 今夜のコンサート カッチーニの「アヴェ・マリア」。
- 信州は須坂で江戸時代の料理を食べる 満月、私達の奇跡。
- 2024年11月
- 2024年10月
- 2024年9月
- 2024年8月
- 2024年7月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2024年1月
- 2023年12月
- 2023年11月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2022年12月
- 2022年11月
- 2022年10月
- 2022年9月
- 2022年8月
- 2022年7月
- 2022年6月
- 2022年5月
- 2022年4月
- 2022年3月
- 2022年2月
- 2022年1月
- 2021年12月
- 2021年11月
- 2021年10月
- 2021年9月
- 2021年8月
- 2021年7月
- 2021年6月
- 2021年5月
- 2021年4月
- 2021年3月
- 2021年2月
- 2021年1月
- 2020年12月
- 2020年11月
- 2020年10月
- 2020年9月
- 2020年8月
- 2020年7月
- 2020年6月
- 2020年5月
- 2020年4月
- 2020年3月
- 2020年2月
- 2020年1月
- 2019年12月
- 2019年11月
- 2019年10月
- 2019年9月
- 2019年8月
- 2019年7月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2019年4月
- 2019年3月
- 2019年2月
- 2019年1月
- 2018年12月
- 2018年11月
- 2018年10月
- 2018年9月
- 2018年8月
- 2018年7月
- 2018年6月
- 2018年5月
- 2018年4月
- 2018年3月
- 2018年2月
- 2018年1月
- 2017年12月
- 2017年11月
- 2017年10月
- 2017年9月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年4月
- 2015年3月
- 2015年2月
- 2015年1月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年3月
- 2014年2月
- 2014年1月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年10月
- 2013年9月
- 2013年8月
- 2013年7月
- 2013年6月
- 2013年5月
- 2013年4月
- 2013年3月
- 2013年2月
- 2013年1月
- 2012年12月
- 2012年11月
- 2012年10月
- 2012年9月
- 2012年8月
- 2012年7月
- 2012年6月
- 2012年5月
- 2012年4月
- 2012年3月
- 2012年2月
- 2012年1月
- 2011年12月
- 2011年11月
- 2011年10月
- 2011年9月
- 2011年8月
- 2011年7月
- 2011年6月
- 2011年5月
- 2011年4月
- 2011年3月
- 2011年2月
- 2011年1月
- 2010年12月
- 2010年11月
- 2010年10月
- 2010年9月
- 2010年8月
- 2010年7月
- 2010年6月
- 2010年5月
- 2010年4月
- 2010年3月
- 2010年2月
- 2010年1月
- 2009年12月
- 2009年11月
- 2009年10月
- 2009年9月
- 2009年8月
- 2009年7月
- 2009年6月
- 2009年5月
- 2009年4月
- 2009年3月
- 2009年2月
- 2009年1月
- 2008年12月
- 2008年11月
- 2008年10月
- 2008年9月
- 2008年8月
- 2008年7月
- 2008年6月
- 2008年5月
- 2008年4月
- 2008年3月
- 2008年2月
- 2008年1月
- 2007年12月
- 2007年11月
- 2007年10月
- 2007年9月
- 2007年8月
- 2007年7月
- 2007年6月
- 2007年5月
- 2007年4月