2017年12月24日

貴重な絵が再度もたらされた 時計 お客様。

2017年12月24日(日曜日)

昨日のこと、ある方から倉石隆の人物画が送られてき
た。
わずかに目を閉じた女性が描かれ、全体にホワイが掛
けられている静かなとても良い絵だ。
キャンバス裏に「まどろむ女」と記されていた。
ベールのような白が眠りに入ろうとする女性の意識の漠
然さを物語っている。

問題は制作年だった。どこにも年号らしいものは見当たら
ず、大阪フォルム画廊・東京店の売り札が一枚入っている
だけだった。
倉石は1984年と翌85年に同画廊で個展を行っている
ので、そのころの可能性がある。

 

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「まどろむ女の顔」 25,5×22,2センチ。
きわめて薄く描かれているが、かすかな息遣いも聞こえ
るようで、実にリアリティがある。呼べば目を覚ましてこ
ちらを向きそうだ。

これは私の勘でしかないが、一目見た時から当館にある
一枚の絵とイメージがダブった。

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図録「樹下美術館の倉石隆」No32「裸婦像」。
全体のほの青い色調が印象的で、どこか「まどろむ
女の顔」と通じ合うように思われる。
モデルのポージングは疲れる作業と聞いている。「ま
どろむ女」は休憩中のモデルさんが、うたたねをし始
めた時に素早くデッサンしたのか、と一人空想してみ
た。
髪の表情も何となく似通っているように思うのだが、
年齢が合わないかもしれない。

一方で私の母にとても似ていて不思議な絵だ。
ちなみに作品は寄贈ということで、楽とは言えない弱
小美術館は非常に助かり、感謝に堪えない。

さて本日24日はクリスマスイブ。「まどろむ女」は大
変なプレゼントだったし、失くしたと思って探していた
大事な時計が「電池を入れて帰ってきました」と言っ
て妻が差し出した。
いつ頼んだのか、実はよく覚えていないがほっとし
た。

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人前でできる唯一の時計なので失くしたわけでもないの
に嬉しい。薄さが気に入っている時計はスカーゲン。

さて本日今年の最後という方たちが何組かお見えになり、
良いお年を、と名残を惜しんだ。
明日は新潟市から、初めてだが年内に訪ねたいと、言う
方たちが電車で来られるので、スタッフが犀潟駅に迎え
に出る予定。

お天気が悪そうですが、どうか道中お気をつけて
いらしてください。

堀口大學展の再訪 素晴らしかった永井荷風の序文 谷根の清水。

2017年12月24日(日曜日)

昨日は天皇誕生日の祝日。
連休が絡まない祝日は往々に気がつかずに過ごし、当
日は朝寝坊し、慌てて飛び起きては、「ああ休みだっ
た」と安心する。

そんな日、昼食兼用の野菜サラダを食べてから、新潟
県立近代美術館を再訪した。

本日胸打たれたのは、堀口大學の処女訳詩集「昨日の
花」に捧げられた序文だった。
詩集は1918年(大正7年)4月に上棹され、Wikipedia
によるとボードレールはじめ19人の詩人から60数篇
が訳詩されている。
序文は永井荷風によって書かれ、その原稿用紙が展覧
会作品番号20として読みやすいキャプションとともに
展示されていた。

以下に翻訳詩について荷風の印象的な部分を記してみ
たい。

“異なるものは唯その言葉とその形とのみ、その心とそ
の調にいたりて更に変わるところなき。もっとも美酒の
味、その移し入る甕の形によらざるにひとしかるべし”
訳詩の価値、本質を見事なまで分かりやすく示し、大學
を紹介している。
当時の荷風は慶應義塾のフランス語教授をしていて、中
退とはいえフランス詩の訳詩家として出発した教え子に
対して心から祝賛している。

足を止めた一文で拓けた永井荷風のすばらしさに触れ、
私の枕元に置きっぱなしの「雨蕭々」を続けなければと
反省した。

以下は長岡訪問まえに寄り道をした柏崎市谷根(たんね)
の様子。米山の山頂がのぞいて見えていた。

 

1

 

2

 

3
峠のような所の脇に小さな滝があり杓が掛かっていた。
減菌をほどこしてありません、と市役所の看板があった
がひと口飲んでみた。
さすが冬の清水は冷たかった。

早く良いソフトが入った良いパソコンがこないかなあ。

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