2017年3月
芝生のスズメノカタビラ 床屋さんはちょっとした街の精神衛生士?
暖かい日が出てくるようになり、家庭菜園を楽しむ方達は畑
の雑草取りから鍬打ちへと仕事が始まっていた。
本日は山では雪も予報されるなど寒い日となった。
ところでまだ暖かかった昨日昼、芝生の雑草が目立つところ
を草むしりした。
殆どがスズメノカタビラで今後ドンドン増え、巨大化する。
日陰ぎみの部分に余計に生えるスズメノカタビラ。回りの
芝は枯れているのに、自分は青々としているのですぐに区
別できる。
よく見ると既に種が付いている。まだ春が始まったばかりな
のに種とは!
いまのうちに取らないと、種を飛ばして再び沢山生えてくる。
30分ほどで取った雑草、この三倍は取りました。
枯芝の中に指を入れて摘まむが、しっかり根を張っている
ものは摘まみにくく、指先や爪が痛くなる。
話変わって、
私たちの髪には雑草など生えないが、頃合いを見て散髪に
行く。不思議なことにむさ苦しく感じた顔と気分が髪をいじる
だけでしゃんとしてくる。
店主は差し障りない世間話をしてくれるし、私にも話をする
よう話題を振る。
私の場合は小一時間、そこには一種精神科か心理カウン
セラーの所に行くのと似たような作用があるように感じる。
利用する理容、美容室室はまず行きつけの馴染みの店であ
ろう。
そのことも安心な場所として鎮静作用を及ぼす事だろう。
精神科というほど堅苦しくないが、遠からず近からず、ほど良
い距離でおしゃべりし、髪をいじり、ひげを当たり、マッサージ
までされる。
リフレッシュ出来るわけである。
街の店はなにげなく見えるが、私たちの心の平衡のため、身
近な所で貢献ているのではないだろうか。
先日の散髪の折、泣きながら小さなお子さんが入って来た。
それが間もなく静かになった。
鏡の前に座ると緊張して余計に泣くので、待合の椅子に座っ
たまま散髪が始まっている、という。
この人達は色々な面でプロフェッションだ。
穏やかだった水曜日 砂丘館館長 ベニマシコ。
当地高田の最高気温は12度、風も無く穏やかな水
曜日だった。
晴れの日が賑わうとは限らない樹下美術館、本日晴れ
て、一組また一組とご来館頂いた。
今年は例年以上に展示物をご覧になる方が多い。
「カリカチュア風な倉石隆」と「陶齋の色絵と鉄絵」が見や
すいのではないだろうか。
説明書を手に顔を近づけてご覧になる様子はとても嬉し
い。
1年間、同じ展示なので何度も見られる方は少ないが、
その後カフェだけを利用され、庭を見ながらお茶を飲み
に来られる方もいらっしゃって有り難い。
本日は新潟市から砂丘館館長大倉宏氏が寄って下さっ
た。
このたび好評のうちに終了した同館の「塩崎貞夫展」作
品を戻しに出られた帰路ということ、沢山お話が出来て
幸運だった。
倉石隆と齋藤三郎、二人の作家の取り合わせがとても
良い、と褒めて頂いた。
地元以外の方でこんな風に仰る人は珍しく、光栄に感じ
た。
過日砂丘館を訪ねた折の事は当時図録制作などで忙殺
されていて、とうとう書けなかった。
本日少し振り返ってみたい。
砂丘館の玄関を入ると目の前に塩﨑貞夫画伯の
「女人午睡」が静かに迎えてくれた。
展示された絵画は全て死と鎮魂がテーマ。手応えとし
て伝えにくい死者のイメージや儀式の象徴性など極め
て深い事象を、「生きる者を代表」して憑かれる如く描
かれた塩﨑画伯。
一点一点は詩の如く言語性を有し、また音楽のようで
もあり、作者が如何に深く死に関わったかを物語ってい
た。
ところで砂丘館は羨ましい。芸大ご出身の館長の優れた
専門性と展開力、充実したスタッフと熱心なボランティア
による組織的な運営、そして旧家屋の魅力を最大限に活
かした展示と催事の企画。
同館が一体となって運営する「絵屋」も見たが、全体は
生き生きとしてフットワークが良く、私たちに無いものば
かりで、驚きかつ有益だった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
本日午後施設巡回に出て美術館に寄ったが、途中の雑木
林で赤い鳥が前を横切った。
車を停めて見ると遠くでじっとしている。
慌てて写真を撮った。上手くは写せなかったが「ベニマシコ」
だった。
私もカメラもいまいち腕力が足りず、歯がゆい思いを禁じ得ない。
春秋は小鳥たちが活発な季節。
樹下美術館の水盤の鳥はかなり近い。
これからどんな鳥が来るか、カメラ片手に楽しみに待ちたい。
ヤブツバキの古木は踏ん張っていた。
一昨日、近隣の浜線(旧国道)にあるヤブツバキの大木の
ことを書かせて頂いた。
その椿については、風に晒されるようになって以来気の毒で、
長年木の脇を通ってもできれば見ないようにしていた。
それが本欄に書いたこともあり急に気になって、本日行って
みた。
道の反対側からみるとこんな風だ。
一時貧弱になり、消えてしまうのかもしれない、と心配した。
しかし本日木は要所を繁らせて頑張っていた。
往時ほど格好は良くないが、想像を超える元気な姿を見て
とても驚いた。
持参のメジャーで幹の周囲を測ってみたところ、143㎝。
手にメジャーを持ってほぼひと抱えあった。
(持ち主の方、好き勝手にして申し分けありません)。
最初の写真のようにこの花はやや暗色をしていて、しか
もツヤがある。
ほど良い大きさで満開の半分ほどの開き方も慎ましい。
あまりに良い椿なので、30年も前だろうかお宅の方に話
して一枝頂いたこともあった。
海風にさらされてご覧のようにすっかり枝葉が減った。
だが本日全体として元気を取り戻しているように見える。
先端をみな切り詰められているが、一種古武士のような
風格さえ感じられる。
よく見ると切った先から若枝も伸びていて、この木はまだ
成長している。
人もまた晩年でも成長すると聞いたことがある。
木は何も語らないが見に来て本当に良かった。
落花が始まっているが、また来よう。
それにしてもどんな人がいつ頃植えたのだろう。
大きなヤブツバキの垣根、園芸種の椿は成長が早い。
本日椿を見に行く予定だったがまだ花盛りには早かった。
それでもご近所にある垣根は見頃と迎えようとしていた。
ここのお宅のヤブツバキは垣根仕立てになっている。
私の背の2,5倍にはなっていよう、とても堂々としている。
ヤブツバキの生長が遅いのはが自生種だからであろう。
その点、人手を加えて美しくした園芸種は多様で成長も早い。
樹下美術館入り口のヤブツバキはようやく2㍍を越えつつ
ある。
美術館の南隅にあるいわゆる侘び助に類するツバキ。
ピンク系の小さな花を沢山つける。
恐らく園芸種的な品種であり、成長はとても旺盛だ。
本日は寒く、明日は雪が降るかもしれない予報。
ヤブツバキの大木。
椿の季節となり樹下美術館の庭もそこかしこ
で咲きほころんでいる。
椿、特にヤブツバキは生長が遅いため、わが
美術館の10年の歳月では大木を望むべくも
ないが、少しずつ土地に馴染んで育ち始めた。
地域には何カ所か二階の屋根を越えそうなほ
ど大きなヤブツバキがあった。
それらの色濃く引き締まった一重の花盛りはま
ことに見事で、外出の帰りにその木の下へ寄り
道をした。
落花もまた素晴らしく、あるお宅のは毎年旧国
道一面を真っ赤に染めた。
一本は苦手な海が近いのに大木に育っていた。
おそらく風上にあった家屋が季節風から木を守
ってきたのだろう。
ところがかなり前に場所を移動して新宅が建てら
れると海風が直接当たり、樹勢が衰えてとても小
さくなってしまった。
そもそも二階屋根を越えようとするようなヤブツ
バキを育てるには100年、あるいはそれ以上掛
かるのではないだろうか、とても一代では難しい。
苗が植えられたのは明治時代、もしかしたら幕
末など江戸期かもしれない。
ヤブツバキは米山山系や西頸城の山に沢山自
生していて両者で色や形など幾分感じが異な
る。
大木の苗は山から採ったものか、当時の植木
屋さんから買ったものか傍目に知るよしもない。
いずれでも植えた人の優しい人柄を思ったり、
守ってこられた代々のご家族のことを考えるの
は楽しく心温まることだ。
風の強い浜すじで椿を育てるのは大変だが、田
園や山間の集落で、はっとするような大木を見る
事がある。
明日は日曜日なのでお天気なら車を走らせて
花を探しに行ってみたい。
2001年に描いた拙ヤブツバキ(A3)。色々難点は
あるが、随分苦しんで描いた。
現在印刷屋さんに回っている当館の作品図録が
出来上がったら、再び何か絵を描いてみたい。
花鳥は仕方ないとして、人間は少し休んだ方が良いのでは。
本日は昨日に続いて肌寒く、午前中突然雷が鳴るとさーっと
雪が降りあたりは白くなった。
春の気象はモタついているが、ハクチョウやカモたちはとっくに
北へ帰ってしまい、朝日池は空っぽになっている。
寒くて風邪を引いたと何人もの人が言い、畑へ出る気もしない
とおばあさんたちが言っていた。
だが庭の水盤にスズメやシジュウカラがやって来て、固かっ
たハクモクレンの蕾が早く咲かせてと膨らんでいる。
春よそんなに急がないで、と思っていた私は、辺りを白く染めた
今朝の雪をああ、いいいなあと思った。
でもそんな寒さの中、やはり椿は赤々と開きヒュウガミズキは黄
色の小花をいっぱいつける。
そういえば世間まで追い立てられているように慌ただしくなって
いて、あちらで滑ったりこちらで転んだりしている。
花鳥は仕方無いとして、私もそうだが人間は一体何に追われて
慌てているのだろう、しかも何か世界中で。
このへんで一旦足を止め、ひと休みしてはどうなのか。
樹下美術館の展示などを観て、雨の庭の窓を眺めながら
カフェで一息ついてみればいいのに、、、。
上越文化会館で辻井伸行さんのピアノを聴けた幸運。
寒かった日、夜は雪がふってもおかしくないほど
冷えた。
そんな夕刻から普段名を聞くばかりだった辻井伸
行さんのピアノコンサートに行った。
12月14日からはじまった全国20カ所を回る日本ツ
アーの18番目が本日の上越文化会館。
売り切れ必至という幸運なチケットは昨年クリスマス
に知人からもたらされていた。
駐車の車が上越文化会館を何重にも取り囲み、
満席などまず珍しいホールは立錐の余地もなほ
どの入りだった。
演奏の前半は辻井氏初のバッハとなる「イタリア
協奏曲」とモーツアルトの「ピアノソナタ第17番」。
後半はベートーヴェンのピアノ・ソナタ「月光」と同
じく「情熱」、何ともスケールの大きなプログラムだ。
美しい抑制と若さ溢れるダイナミズム、ロマンティッ
クな短調と歯切れ良く弾む長調の素晴らしい抑揚。
TVで見慣れた通り、曲が終わるたびさっと立ち上
がって礼をされる辻井氏。
ブラボーが叫ばれ、一曲ごとに嵐のような拍手が
会場を包んだ。
弾き終えて鳴り止まぬ拍手に、3曲ものアンコール。
「別れの曲」が始まると目頭を押さえる女性が見られ、
穏やかなオリジナル「風の家」のプレゼントがあり、
フィナーレで「ラ・カンパネラ」が始まるや会場に一
瞬歓喜のどよめきが起こった。
アンコールの途中で、マイクを通して上越で演奏が
出来て嬉しいと述べられた。
辻井さんを聴くことは奇跡に出会うことでもある。
生きていれば上越でもこんな幸運に巡り会える。
これからもできるだけ体を大切にして暮らしたいと、
しみじみ思った。
10月には新潟市でロンドン・フィルとチャイコフスキ
ーのコンチェルト1番を演奏される。熱狂が目に浮
かび、願わくば聴いてみたい。
とてもお世話になった院長が異動する。
冬から春へ、晴れたり降ったり弥生の空は忙しい。
冬の始末をしながらせっせと春へと仕上げていか
なければならない。
今夕、日頃の地域医療で大変お世話になった病院
長の送別会が柿崎区は水澤屋さんであった。
患者さん、ご家族、私たちそれぞれの立場に立った
た暖かな医療を10年にわたって遂行された。
偉ぶることもせず問題のみ熱心に対応される姿勢は
清々しく頼もしかった。
先生、本当にお世話になりました、どうかお元気で、
新任地でも存分にご活躍下さい。
今時はあちらこちらで送別会だ。
3月の人の動きは外部の人間には如何ともし難く、
在任中の四方山話に花を咲かせながら、願わくば
いつの日か再び当地へ戻られる日を願うばかりで
あった。
寿命との競争?、2冊の収蔵図録。
珍しいことではありませんが、中二日空いてしま
った私のノート。開館早々倒れたのではないか、
と心配された方がいらっしゃったやに聞きました。
元気ですが先週は半日ほど倒れかかり、ちょっと
しためまい騒動がありました。
原因は最後の仕上げとなっていた樹下美術館の
収蔵作品図録の制作です。
何しろ10年前から完成まじかと何度アナウンスを
したか忘れるくらいの懸案とモタツキ。
それが開館十周年の今年、電柱にしがみついてで
も出さなければもう後が無いのです。
倉石氏のものが60ページ、齋藤三郎のは70ペー
ジに増え、おまけに急遽10年の歩み風の8ページ
の小冊も手を付けてしまい、三冊同時の仕上げと
なっていました。
先週木曜日は1時間半、昨日は3時間の睡眠でし
た。一応プリント紙に両面を刷って本の体裁にして
おかなければならないのですが、昨夜は刷っては
直しを繰り返し、途中で紙が無くなる始末。
今朝早く妻にホームセンターで買ってきてもらって
昼休みを使って刷り、尋ねてきた印刷屋さんに渡し
ました。
しかし間に合ったのは「樹下美術館の10年」と「樹
下美術館の齋藤三郎」で、倉石隆は今週中の納品
?となった次第です。
この表紙は今年入った「色絵椿文鉢」からとりました。
拙ノートのヘッダーとおなじです。
今日まで延ばしたのが幸いし?陶齋氏に相応しい表
紙になったのではと気に入っています。
色々やってきた結果論ですが、少なくとも3,4年前に
出さなくて良かったと思っています。
当時と今を較べると作品の理解や文に少しくマズイ所
が見当たり、自分の昔の写真のように恥ずかしいので
す(写真はいつも恥ずかしいのですが)。
その点、大きな美術館の展覧会図録は分厚く、内容も
高度で安定しいつも感心させられます。
あたかも寿命との競争になりかけているわが図録、中
身が心配ですが、開館記念の6月10日に間に合うよう
印刷屋さんと一緒に頑張るつもりです。
最後は色の調整、これがまた難しいのです。
今年の展示から2・「カリカチュア風な倉石隆」から。
去る3月15日、今年の絵画展示作品のご案内として
「カリカチュア風な倉石隆」から4点をご紹介しました。
本日は残り3点です。
「詩人」 1964年 89,9×73,0㎝(高さ×横)
先回の「(人生)」に負けないカリカチュア風な作品で
す。
鼻、顔の輪郭、髪、首、そして目も随分と異様です。
モデルが実在したかどうか分かりませんが、詩人とい
うタイトルでこんな風に描かずにはいられない衝動が
あったのでしょう。
激しい感受性の持ちとして観る者のイマジネーション
をかき立てるインパクトがあり、作者らしいモノクロー
ムが効いています。
「(さかな)」 1955-60年 24,2×33,3㎝
人物画中心の作者は時に風景やこのような生物も描
きました。
作品は生きている魚ではなく食べた焼き魚だったかも
知れません。そうだとしたしたら描きたいほど美味しか
ったのでしょう。
のどかな雰囲気ですが、いかがでしょうか。
「(鳥)」 1952年 24,5×39,3㎝
前者と全く異なりやかましい鳥を描いています。く
ちばしや羽ばたきなどカラスそのものです。
出身地高田にはカラスが沢山いました。故郷の水
田の作品にもカラスが描かれているものがありま
す。
上京してまだ数年、「めし」と同じころのものですが、
この鳥のようにばたばたとした自身の内面の焦躁
を描いたようにも思われます。
絵画の見方の一つでしょうが、その絵を描いている
時の作者を想像したり、描かれているのは作者自身
ではないか、と考えてみるのも面白いと思います。。
※作品タイトルのカッコ内のものは1995年の新潟市
美術館に於ける仮題として記されているものを引用
しました。
さて肌寒さが感じられるものの、庭のクリスマスロー
ズは競うように蕾から花へと変身中です。
早春の王女たちのようですが、中には一輪寂しそうに
しているものもあり、それはそれで気品が感じられます。
皆様にお出かけ頂いていて花ともども喜んでいます。
今年の展示から1・「カリカチュア風な倉石隆」 スプリングソナタのSPレコード。
今年の開館を迎えた本日、寒い一日でしたがおな
じみの方初めての方々にご来館頂き有り難うござ
いました。
開館に際し展示作品について簡単ですが説明を試
みたいと思います。
2017年絵画展示「カリカチュア風な倉石隆」
倉石隆は人物(人間)を描くことをライフワークとし
ました。
人間は生き物として共通部分をベースに、生まれ持
った個性と環境、経験など個人的な要素が加わった
複雑な存在です。
さらに人間を描く事は自分を描くことにもなろうと思わ
れ、いっそう困難もあったことでしょう。
氏は具象の画家でしたが、時に風刺画や戯画風の
表現で描きました。これらは一種カリカチュアと称さ
れる範疇でありましょう。
このたびは氏の作品からそのような雰囲気を有する
ものを選んで架けました。
●それでは会場左から
「(熱情)」 1987年 18,0×13,8㎝
身体の不自由を強い意思と感情が支えているお年
寄りを描いた小さな作品です。宝くじ売り場にいた人
に惹かれて描いたようだと、夫人からお聞きしました。
エゴン・シーレ風な荒々しいタッチで素早く描かれて
います。
「男の像」 1955-1960年 90,9×72,7㎝
大きな身体にごく小さな頭部が乗っています。顔は
悶々としていらだち、身体と手を持てあましている風
です。
上京したある期間、全く描けない時期があったそう
ですが、そんな日々の焦躁を描いたと思われます。
しかし薄い黄色にそこはかとない希望が感じられま
す。事実このように筆を執り始めたのですから。
「めし」 1953年 33,0×24,4㎝
前者よりも前の小さな作品です。
魚の骨だけの皿が粗末な食卓に乗っています。茶碗
とハシを差し出した男が「もっと!」と叫んでいます。
1950年に上京した倉石の当初、部屋には机の代わり
にリンゴ箱が一つという時代が続いたそうです。心身
ともに飢えていたに違いありまません。
いらいらする赤の下地を鎮めるようにグレーが乗せら
れています。
「(人生)」 1957年 90,9×72,7㎝
やや大きな作品ですが、どんな事を描いているのでし
ょう。首から何かを下げた売り子のようにも見えます。
野球が好きだったという氏が球場でこのような人を見
かけたとも考えられます。
懸命に生きるほどに人生は時として醜さや滑稽さが滲
むのを経験します。
側面をこの人物に投影したように思われます。
客様がいました。
※題名の( )は、1995年新潟市美術館の展覧会の際
に付けられた仮のタイトルです。
ソナタ”のSPをお客様が持参された。
蓄音機に乗せるとリリー・クラウスのピアノが明るくリー
ドしてカフェに流れ、居あわせたお客様とひと時を過ごし
た。
はとても優しかった。
早春の満月 弟の絶品豚肉。
展示の準備が終わり再び庭掃除を行った日。
雑草たちは既に元気よく肥りあるいはしっかり
土を掴んで踏ん張っている。
芝生は枯れているので入り込んだ青い雑草は
非常に目立ち、皆の目の敵。
そして分厚い落ち葉は悩みの種で、肥料として
そのまま放っておくか、美観を考えて取り去るか
毎年考えてしまう。
夕刻6時のチャイムまで庭をいじった。
終えて見上げた空に満月。
尾神岳の右肩に昇った月は力強く春の訪れ
を告げる風だった。
今夜は豚シャブ。
南三陸町の山間で弟が放し飼いしている豚肉は
知る人ぞ知る絶品。
現在自宅を開放して「山の食堂ポルセリーノ」
も営んでいる。
カナダ人、ヴェトナム人、フランス人など様々な旅
人が泊っては飼育を手伝うという。
いまだに恐ろしい3・11 茶の稽古。
本日3月11日、東北大震災から6年が経った。
当時拙個展「花の命を描く」が新潟市の知足
美術館で開催中だった。
40日という長い会期のほぼ中間点という日、上
越市の自宅でユサユサユサと長い揺れに襲わ
れた。
その名称が決まるのに数日要した記憶がある
が、未曾有の大震災が東北太平洋沿岸に起こ
った。
仙台市と南三陸町に弟をはじめ3組の縁者がい
て、音信の無い弟などは駄目ではないかと思った
時期があった。
幸運にも皆無事だと分かったが、大混乱の交
通事情を縫うように現地を訪ねた妻は、涙が止
まらなかったと言った。
私は個展どころではなくなった。
同時に発生した原発事故はいまだ12万人の住
民の故郷を奪ったままだ。収束(廃炉)には60
年も掛かるという異常な世界であることも知った。
大勢の人が故郷を失うことや、子孫へ経験則の
無いリスクと負担を強いる残酷さを何とも思わな
い人々がいる事も、地震と同様不気味で恐ろし
い。
本日午後、茶道師範のお宅へ伺いお点前の指導
を受けた。
課題を解決して頂き、気づかなかった諸点をことご
とく直して頂いた。
茶道の地力を知らされ、歩む気持ちを与えて頂き有
り難かった。
だんだんと春 間もなく開館。
三月になって当地は何度か雪に降られた。
冬の終わりに沿岸中心に雪に見舞われることがあ
る。
この所降っては消えを繰り返し、除雪車が出動する
日もあった。庭のクリスマスローズも戸惑ったことだ
ろう。
↑こちらでも蕾が顔を出す。
あたかも間もなくの開館を知っているかのようだ。
何でもそうかもしれないが、季節も色々あって段々
とそれらしくなってくる。
冬期休館は4日を残すだけとなりました。
新鮮な気持ちで迎えたいと思っています。
砂丘館とレクイエムの画家「塩﨑貞夫展」。
過日新潟市は西大畑界隈の事を記載させて頂いた。
その折同市には歴史的建造物を大切にし、今日的な
意味づけをして活用させる気運が感じられると記した。
同地に美術・文化施設「砂丘館」があるが、万事に疎い
自分はまだ訪れたことがない。
先日同館からご案内を頂き、観たいと思っていた「塩
崎貞夫展」の会期が間もなく終わる。是非とも連休の
どこかを使って出かけたい。
「塩﨑夫展」の案内。2月15日~3月20の会期。
弔いと考えられる掲載作品は特別な日常である死
が意外な視点と構図で描かれている。
ここに至る過程に思いを馳せない訳にはいかない。
坂口安吾の桜に応答するまことにナイーブな
油彩作品「女人午睡」 121,8×96,3㎝。
1934年糸魚川市で生まれ、2014年に急逝され
た塩﨑氏はガブリエル・フォーレのレクイエムとの
出会いが、その後のテーマの原点になったという。
恥ずかしながら不肖自分はその昔、天から降るよ
うなフォーレのレクイエムに救われた事があった。
新潟市は川風、海風、松風と段丘が織りなす眺め
があいまってとてもさわやかだ。
生死がいっそう他人事ではなくなった昨今、砂丘館
を訪ね、塩﨑氏のレクイエムを観るのが楽しみだ。
雪が降り寒かった日 シェリーのクイーンアン。
昨日昼は暖かくスタッフと庭掃除をしたばかり。
それが本日朝から雪模様でとても寒く、在宅回り
はびしゃびしゃと雪を跳ねながら伺った。
今年の開館まで一週間を残すばかりになりました。
この数年、毎春カフェでお出しする食器を追加して
きましたが、長く使用していたミントンのシノワズリが
傷んできたため替えることにしました。
今年は樹下美術館も満十周年、使ってみたいと思っ
ていたシェリー社のクイーンアンタイプのトリオをお
出しすることになりました。
↑1930~40年はアールデコ調の形が魅力のクイーン
アンタイプのトリオ(カップ&ソーサーとケーキ皿)。
雪のように白く薄手のカップはあたかもお茶を包む形状
をしています。
皆様から長く愛されますように。
二代陶齋 齋藤尚明氏を訪問 間もなく妙高市で作陶展。
昨日夕刻、上越市は高田寺町の齋藤尚明氏(二代
陶齋)をお訪ねした。
不思議な事に訪問は寒い時期ばかりで、いつもスト
ーブを囲んでお話する。
昨日は色々写真を撮らせて頂いた。
↑展示室と仕事場へ向かう通路。田舎風また大陸的
で非常にダイナミック。
↑仕事場(ろくろ場)。
向こうにあるのは酒瓶ではなく成形をする道具です。
↑素焼きの後乾燥中の作品。これからうわぐすりを掛け
たり、絵付けなどを施して再度焼いていく。
↑先代が築いた登り窯を説明する尚明氏。
最初の窯は昭和23年で当窯は昭和50年に完成。
火を入れ窯を乾かし温めてからの二晩は、不眠不
休で薪を焚き続け、窯全体を最大千数百度にも熱
して器を焼き上げた。
陶芸は格闘家の如き体力と、創造の感力知力の限
界に挑む総合芸術。
↑窯場に貼ってあった大原三千院のお札。
面白いが魔除けではないだろうか。
↑トイレの前に掛かるのれんは「此の男云々」の文
に椿が入った壺の絵がある。
氏は博識なので当館満十周年行事に関すること、
図録の事、焼き物の事、世間話などなど、必ず長
居になる。
夜ならば日をまたぐこともしばしば、本日は美味し
い珈琲とお菓子を頂きながら4時間過ごした。
今月、3月10日(金)~13日(月)まで妙高市西条
438-1「かんずり」本社2階で氏の作陶展が開催
される。
(有)「かんずり」のお電話 0255-72-3813
↑作陶展の案内。
唐辛子を網状に繋げた「色絵唐辛子繋文水指」(い
ろえとうがらしつなぎもんみずさし)のデザインは非
常に斬新で美しい。
この様に精緻な仕事が出来るのは尚明氏くらいで
あろう。
寒さ緩みお天気は回復に向かうようです、多くの方
に足をお運び頂きたいと思っております。
ヒュウガミズキ。
午後遅くいっとき小雨となった。
この時期は受験や進学、入学や就職、どん詰まりの
期末、そして引っ越しなど、慌ただしさに希望と不安が
混ざり合った独特の雰囲気がある。
そのような中で膨らみ始めたヒュウガミズの蕾が心慰め
てくれる。
この花は例年樹下美術館の庭で行われる花木の開花
レースで黄色の小花をいっぱい咲かせて、一番乗りを
を果たす。
これ以外、早春にトサミズキ、キブシ、マンサク、福寿草
など黄色の花が思い浮かぶ。
残雪に黄色。自然界のセンスには本当に感心させられる。
本日も茶の稽古をしたが課題がいくつか見つかった。
春は健診から グループホームのひな祭り。
昨日医師会健康管理センターでドック健診を受
けた。
以前から部分的に自院や他院でチェックをして
いたが、平成23年から医師会の上越健康管理セ
ンターで毎年受診するようになった。
差し当たりの体型と関係指数はその場で分かる。
今年の拙身長は160,0センチちょうど。
意外なことに体重53,4は1,5キロの増加だった
が、腹囲は前年と全く同じ78,2センチ、体脂肪率
17,4%は1,2%の減少だった。
一般的な体重増加は脂肪由来だが、腹囲が同じで、
体脂肪が減少していたのは、非脂肪組織(筋肉と骨)
が増えたことが考えられた。自己流であるが家で生
活行動を利用した筋トレとストレッチを続けている効
果が現れたのかもしれない。
体型を気にするのは糖と脂質の代謝を正しく保ちたい
こと、筋力を維持し少しでも長く歩き、出来ればゴル
フを続けたい事、そして同じズボンをはきたい為であ
り、結果としてほどほどの健康寿命に繋がればと欲
張っている次第。
さて本日3月3日はひな祭り。
日頃回診しているグループホームでおひな様の会
が終わった所だった。
甘酒を飲みお菓子を頂き唄を歌って楽しんだという。
認知症でかって大変だった人が知らない方の隣に座
り、二人で一つのひざ掛けで暖まっている。
問題があった方達が魔法に掛かったように穏やかに
なるのは、本当に不思議だ。
お年寄りには如何に安心が大切か知らされる。
明日からの週末はお天気に恵まれるらしい。
- 花頭窓、二十三夜塔、庚申塔、社寺
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- 館長の作品。
- かって認知症だった人、晩年の「ありがとう」は「好き」だった。
- 妙高市はいもり池の近く「ギャラリー峨々」を訪ねた。樹下美術館も紅葉。
- 再び良寛椿の苗。
- 1本の木にキンカンとカラタチの実が。
- 秋晴れの日のゴルフ。
- カフェのノート、スケッチブックの絵、ブログ展その3。
- 本日ジョケラさん初日。
- 明日からジョケラさんの展示会 高宮あけみ展のご来館有り難うございました。
- 別れ。
- カフェのノート、スケッチブックの絵、ブログ展その2。
- 講演会「良寛さんに学ぶ」が無事終了した。
- カフェのノート、スケッチブックの絵、ブログ展その1。
- 来たる11月7日からラッセル・ジョケラさんの展示会 晩秋の花 近隣のコハクチョウ
- 先週末の種々。
- 高田高等学校創立150周年の秋 いたくら桜園 近隣の秋。
- 「ラッセル・ジョケラ木工展」 可愛いお子さんとおじいちゃん。
- 本日今年最後の同業ゴルフ。
- 今夜のコンサート カッチーニの「アヴェ・マリア」。
- 信州は須坂で江戸時代の料理を食べる 満月、私達の奇跡。
- 失った1枚 栗。
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