2016年9月29日
カフェの図書の入れ替え その3
去る9月21日からカフェの図書につきまして、新たに追加する
ものを掲載しております。
本日は25日に続いて三回目最終回のご案内です。
↑「芸術新潮 特集 ジャコメッティ」
芸術新潮2006年7月号 新潮社
倉石隆氏の奥様から「主人が影響を受けた芸術家の一人」と
して何度かお聞きしたアルベルト・ジャコメッティ。
当書は2006年、神奈川県立近代美術館で開催された展覧会
に合わせて刊行された雑誌特集。
超人的なこの芸術家自身や評論家の言葉は難解なものが多い
が、誌上の作品から直接的に人なつこさや親近感を覚える。
作品は存命中から人気があり、現在のオークションでは想像を
超える高値がついてその都度話題になる。
↑「スリップウェア」
編者・誠文堂新光社 誠文堂新光社 2016年1月23日発行。
スリップウエアは古くからヨーロッパや中国ほか世界各地
にあった陶器だが、18世紀、産業革命を期にすたれ、一
部のコレクターの手許に残るだけなっていた。
1913年にスリップウエアが載っているイギリスの古陶器
の書物を若き日の陶芸家富本憲吉と美術家柳宗悦が偶
然別々に目にして魅惑されたことから、日本に於ける本陶
器への熱い注目と憧憬が始まった。
すぐさま在日中の英国の版画家バーナードリーチおよび
同時代の陶芸家濱田庄司、河井寛次郎らの知ることとなり、
自らも渡英して調査研究と収集を行なった。
彼らはいずれも当時起った民芸運動の中心的人物たちで、
洋の東西を越えて存在する素朴かつ一種斬新な芸術に触
発され、それぞれの作風に生かすに至った。
富本と共に陶芸の研究を重ねていたリーチは帰国後、窯を
築き、途絶えたスリップウエアを、和の味わいも加えた独特
の作風で現代に蘇らせた。
本書は英国を中心に各国の作品およびリーチや日本の現代
の作家のものなどを詳細に紹介している。
暖かみと面白みを有した器は鑑賞でも良いが、肉などの煮
込み料理を盛ったらどんなに素晴らしかろう、と心惹かれる。
※富本憲吉は当館齋藤三郎の二人目の師。
↑「新潟の絵画100年展」
編集構成・新潟市美術館 1989年9月1日発行。
開館5年目に開催された明治、大正、昭和の新潟県出身者
および新潟県をモチーフにした130名の作家の224作品が
網羅された画期的展覧会の図録。
あらゆるジャンルと個性的な画風が見られて興味深く、また
意識せずとも地元感が横溢する一冊。
上越市出身では、小林古径、矢野利隆、飯田春行、牧野虎
雄、賀川隆、舟見倹二、堀川紀夫、富岡惣一郎、柴田長俊、
矢島甲子夫、串田良方らとともに、樹下美術館の倉石隆も三
点が収載されている。
県外人として齋藤真一、寺田政明ほか幕末明治初期の画家
チャールズ・ワーグマンらの新潟県に関する作品も見られる。
また県内の洋画黎明期の人、小山正太郎による「春日山より
米山を望む」(1899年)の古色溢れる頸城野が美しい。
↑「會津八一の法帖」 中央公論美術出版 昭和54年2月25日発行。
法帖(ほうじょう)は主に書家の作品をまとめた中小サイズの
書物。
自ら作成したものと、後人が編さんしたものなどがある。
当書は會津八一の書が7つの範疇にまとめられ、それぞれ
の末尾に読みが丁寧に記載されている。
7月にたまたま東京から樹下美術館を訪ねられたお客様か
ら贈呈された八一に関した書物のうちの貴重な一冊で、感
謝を禁じ得ない。
八一は樹下美術館の陶芸家・齋藤三郎と親交され、氏に
「泥裏珠光(でいりじゅこう)」の号を与え、高田で書き入れ陶
器の制作を共同で行い、東京で発表している。
↑「写真集 私」 著者・濱谷浩 湘南文庫1991年3月28日発行。
戦前戦後、縁あって上越市に住んた世界的な写真家を、関係
者などが撮影したアルバム。
都内のダンディな青年、軍を撮る軍服姿、上越地方におけ
る山間の撮影の一コマ、高田での幸福な結婚、雪国、裏日
本、表日本、それぞれの風土に密着して仕事をする本人が
写っている。
大磯の新居の正月、床の間に着物姿であらたまる夫を写し
たのは朝(あさ)夫人。
後年夫人永眠の際の氏の様子は真に辛い。
だが晩年に訪れたアメリカでタイツのゴーゴーガールと踊る
写真には、自己の全てを出し切って生きる渾身の芸術家魂
を垣間見る事が出來る。
※写真集「福縁随所」では齋藤三郎を撮影している。
以上この度の入れ替え図書14冊を紹介させていただきました。
当館の二人の展示作家、齋藤三郎と倉石隆両氏や上越市や新
潟県にゆかりのあるものなどを交えて選んでみました。
ご来館の節にはお手にとり、どうかお楽しみください。
樹下美術館のホームページの「本」の改訂は来週中にさせてい
ただきます。
- 花頭窓、二十三夜塔、庚申塔、社寺
- 樹下だより
- 齋藤三郎(陶齋)
- 倉石隆
- 小山作之助・夏は来ぬ
- 聴老(お年寄り&昔の話)
- 医療・保健・福祉・新型コロナウイルス
- 花鳥・庭・生き物
- 空・海・気象
- 頸城野点景
- ほくほく線電車&乗り物
- 社会・政治・環境
- 明け暮れ 我が家 お出かけ
- 文化・美術・音楽・本・映画・スポーツ
- 食・飲・茶・器
- 拙(歌、句、文)
- こども
- 館長の作品。
- かって認知症だった人、晩年の「ありがとう」は「好き」だった。
- 妙高市はいもり池の近く「ギャラリー峨々」を訪ねた。樹下美術館も紅葉。
- 再び良寛椿の苗。
- 1本の木にキンカンとカラタチの実が。
- 秋晴れの日のゴルフ。
- カフェのノート、スケッチブックの絵、ブログ展その3。
- 本日ジョケラさん初日。
- 明日からジョケラさんの展示会 高宮あけみ展のご来館有り難うございました。
- 別れ。
- カフェのノート、スケッチブックの絵、ブログ展その2。
- 講演会「良寛さんに学ぶ」が無事終了した。
- カフェのノート、スケッチブックの絵、ブログ展その1。
- 来たる11月7日からラッセル・ジョケラさんの展示会 晩秋の花 近隣のコハクチョウ
- 先週末の種々。
- 高田高等学校創立150周年の秋 いたくら桜園 近隣の秋。
- 「ラッセル・ジョケラ木工展」 可愛いお子さんとおじいちゃん。
- 本日今年最後の同業ゴルフ。
- 今夜のコンサート カッチーニの「アヴェ・マリア」。
- 信州は須坂で江戸時代の料理を食べる 満月、私達の奇跡。
- 失った1枚 栗。
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