2016年9月25日

カフェ図書の入れ替え その2。

2016年9月25日(日曜日)

カフェの図書に10数冊の本を追加している所ですが、如何せ
んカフェも本棚にもスペースに余裕が無く、長く置いているもの
との入れ替え中しといった次第です。

本日は新たな児童書を掲載させて頂きました。
文章や漢字などから本によってはむしろ大人向きと言っても
良いかな、というものもあります。

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↑「雁の童子」 作・宮沢賢治 絵・司修 偕成社2004年9月発行。
ある中国の砂漠でのこと、空を飛ぶ7羽の雁の6羽が次々と鉄
砲で撃ち落とされ、人間の老人の姿になって死んだが、無傷だっ
た幼い雁だけ童子となり、ある夫婦に育てられる。
童子は純粋で賢く、新たな両親に愛されたが、いつか自分の姿
に似た砂漠の洞窟の壁画を見て倒れ、天に召される。
物語からいつとはなしにサンテグジュペリの「星の王子さま」がよ
ぎる。
沙漠、天から降り再び戻る子供、純粋さ、存在の意味への気づき。
などだが、本書は雁の童子を通して仏教上の輪廻転生が透明感
をもって書かれている。
司修の挿絵から愛らしい童子の転生と哀切さが広がり伝わる。
氏は若き日より樹下美術館の展示画家倉石隆と親交し、かって
当館において倉石氏について講演して頂いたご縁がある。
当書は十分に大人向きであり、巻末には流沙(るさ)→タクラマカ
ン砂漠、などの註釈があって助かる。

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↑「小公子」
原作・バーネット 文・立原えりか 絵・倉石隆 世界文化社発行。
アメリカの裏町で元気よく過ごしていた少年は、イギリス貴族
の跡取りだった、という物語。
英国で出版された時代1886年(明治19年)には貴族制度が残
っていて土地、村人、税も貴族のものであり、貧富の差は激しか
った。
そんなイギリスに渡った少年が、いかめしい伯爵の祖父との間
で次々と新しい出来事を起こす。
挿絵の倉石隆は樹下美術館で常設展示している画家。
しばしば人物を細長く描いたが、この本でもその特徴が見られて
いる。

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↑「どんこうれっしゃがとまります」 文・鶴見正夫 絵・倉石琢也。
電車好きの子供は海辺の駅のそばに住んでいる。駅は夕陽が
きれいで、冬に雪が降り、新潟県柏崎市の信越本線「青海川
駅」を彷彿とさせる。
著者は新潟県の出身で挿絵は倉石隆氏のご子息倉石琢也氏。
お二人とも青海川駅を良く御存知だったのではないだろうか。
琢也氏は多くの児童書に挿絵をされているが、それぞれの本に
合わせて多様な描法を駆使される。お父様譲りの確かなデッサ
ン力の賜物にちがいない。

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↑「ルノワールの絵本」 著作者・結城昌子 小学館 1994年1月1日
発行、2016年5月29日第30刷発行。
過日のルノワール展のショップで購入してきた。代表作や細部の
人物や小物などに焦点を当てて、鑑賞の素朴な手引きとなる
よう編集されている。

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↑名著初版本復刻修行選「風の又三郎」 著者・宮沢賢治 図畫・小穴
隆一、解説・坪田譲治 日本近代文学館 1985年4月20日発行。
宮沢賢治亡き後の昭和14年、氏の初めての児童書として刊行され
た書籍の復刻版です。
「風の又三郎」のほか「貝の火」「蟻ときのこ」「セロひきのゴーシュ」
「やまなし」「オッペルと象」が収められている。
賢治の倫理観、世界観、深遠な自然界の物語性が伝えられる。、
丁寧な解説は野尻湖に疎開していた児童文学者、坪田譲治、挿絵
は芥川龍之介の無二の親友で、「この人を父と思え」と子へ遺言さ
れた小穴隆一。
ちなみ小穴氏は樹下美術館の画家・倉石隆が学んだ太平洋美術学
校の前身である太平洋画会研究所の出身者。

復刻とはいえ、初版と同じ外函つきのハードカバー装丁をそのまま
受け継いでいて、ノスタルジックな一冊になっている。

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