2016年1月11日

「青い鳥」「銀河鉄道の夜」、ジャコメッティ、「星の王子さま」 “雪がきれいなのはどこかに春をかくしているから”.

2016年1月11日(月曜日)

何度も書きましたが孫の一言、
「ああ、早く明日がこないかなー」は一種啓示的だった。
長年忘れていた言葉から始まった遅咲きの本巡り
孫の言葉の午後、歯科医院で手に取った絵本が「青い
鳥」だった。

その先堀口大學訳の「青い鳥」を別に求めて読むと、
宮沢賢治「銀河鉄道の夜」の時空を感じ、本と共に双
方のDVDも観た。
両者とも自分をとりまく世界の秘密に触れるようで新
鮮だった。
ブログに書かなかったが宮沢賢治の感受性性と方向
が、いっそう特別なものに思えた。

青い鳥と銀河鉄道の夜
銀河鉄道の夜:宮沢賢治著 新潮社 平成24年6月10日
第60刷
青い鳥:メーテルリンク著 堀口大學訳 新潮社 平成25年
11月10日 第57刷

そして希代の彫刻家、画家のアルベルト・ジャコメッティの
本は、秋に頂いたみすず飴からみすず書房に振られて読
むことになった。
文中図らずもジャコメッティは「早く明日になればいい」と述
べていた。
孫のつぶやきはこんな所へも繋がっていた。

ジャコメッティ二冊
アルバム ジャコメッティ:矢内原伊作著 みすず書房
1999年9月20発行
見る人:矢内原伊作著 みすず書房 1999年9月10日発行

さらに昨年12月、「青い鳥」「銀河鉄道の夜」を一緒に検
索すると、「星の王子さま」に関連するヒントがあった。
求めた芥川賞作家、池澤夏樹氏の翻訳絵本はとても
親しめた。
氏は弟の本「フォルテシモな豚飼い」の書評を書いて下
さっているので、いっそう有り難みを感じた。

星の王子様
星の王子さま:アントワーヌ・ド・サンテグジュペリ著
池澤夏樹訳 集英社2015年11月18日第13刷

さて先の大戦で枢軸国への隠喩的な警告を含む本と言
われる同書。
汚れ無き王子は地上を問いあるいは詠う。
全編詩篇と言っても過言では無い本だった。
最後にさしかかると、物語は王子の遺言ではないのかと
思われ、せつなさと重みを増す。
それを若かりし日、自分は途中で中断していた。

このたび数々の言葉が心に響いた。
「砂漠がきれいなのは、どこかに井戸をかくしているから
だよ」
そして、「家でも、星でも、砂漠でも、きれいなものはみん
な何かをかくしている」
と続く。
かくれている大切なことにしっかり気付いて、
と言うメッセージなのだろう、立派な言葉だ。

この言葉を以前にある方から聞いたことがあった。
それがこの本からだったとは、巡り会いを喜んだ。
今夜たまたま、その方たちと食事をした。

「雪がきれいなのはどこかに春をかくしているから」
帰りの車中で呟いてみた。

言葉は王子に触発され、一昨日三和区の雪を見て
よぎった。
どかどか、ぐじゃぐじゃの雪はいやだが、
降り始めの雪や快晴の雪原はきれいだ。
それらに遠い春や近い春を思うこともあろう。

我ながら上出来の呟きも元はと言えば、
孫の一言から始まっている。

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