是非見たい上越市立総合博物館の濱谷浩と「雪国」展。

2015年7月9日(木曜日)

上越市立総合博物館で開催中の濱谷浩と「雪国」展を観てきた。
氏の生誕100年にちなんだ開催である。

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濱谷氏は国際的な写真家集団・マグナムフォトにアジア人初の契約参加をした。
さらにハッセルブラッド国際写真賞をもアジア人として初受賞した日本の代表的な写真家。
昭和13年~27年の長きにわたり、高田市を頻回に訪ね、あるいは居住し当地に深く関わった。

本催事は記念碑的な写真集「雪国」の写真展で、濱谷浩写真資料館からの特別出品になる。
作品は上越市桑取谷は西横山地区の伝統行事を中心に、越後の風土と心身のヒダを如実に写して感銘を受ける。

タペストリー看板エントランスホールに架かる案内タペストリー。
手前の少年の手は、しもやけによってひどく腫れてただれていている。
身体は痛々しいが表情は澄んでいる。
子供達の祭事は喜びを伴う自然な修行にも見える。

頸城の山河の奥深く包まれるように残っていた文化は縄文と弥生の両義性がみてとれる。
そこで正月を中心に行われるこまやかな行事は、長い時間の浄化作用を受けて神と結びつきかつ洗練されている。
白く深い雪の背景がそれらをいっそう強く印象づける。
芸術であり学問、、、これぞ写真、、、濱谷氏の洞察力に添ったゆるぎない構図、明暗への対応は驚くばかりだった。

見終えて本町の「大杉屋」さんへ寄ってお菓子を買った。
大杉屋さんのご主人宮越氏は20才代から濱谷浩さんと親交された。
店内奥にはとても大きく貴重な濱谷作品「歌ってゆく鳥追い」の現物が飾ってある。
本日の拝見は余計有り難く感じた。

 

001 当館収蔵の「雪国」から「歌ってゆく鳥追い」のページ。
どうやって撮ったのだろう、本当に素晴らしい。

 

大杉屋さんの色紙お菓子屋さんに相応しい店内の「香」「味」二枚の色紙は、陶齋の椿図に濱谷氏の文字。

 

大杉屋さんの書ウィンドウにあった「父不傳 子不記」も濱谷氏の書。
父伝えず 子記さず と読めばいいのだろうか。
ただ己の道を歩むだけ、の意味なのか。
大変良い和紙で文字も独特で味わい深い。

 

博物館のお帰りにはぜひとも「大杉屋」さんにお寄りになってみてください。
当店は生誕100年展の第二の会場ともいえそうだ。

樹下美術館の展示作家・齋藤三郎(陶齋)は濱谷浩と親交があり、氏および夫人のいくばくかの本を収蔵しています。
樹下美術館蔵の濱谷浩 書籍
「日本の詩歌」 中央公論社 昭和47年1月15日発行
・「女人暦日」 濱谷朝追悼写真帖 1000部私家本
・「昭和男性諸君」 1989年12月11日
・「怒りと悲しみの記録」  河出書房新社 昭和35年8月7日
・「雪国」 毎日新聞社 昭和31年3月30日発行
・「學藝諸家」 岩波書店 1993年11月24日発行

以下は樹下美術館のカフェにあります。
・「潜像残像 写真家の体験的回想」 河出書房新社 昭和46年7月30日発行
・「女人日日 おんなのひび」 文化出版局 昭和60年11月11日 発行
・「福縁随處の人びと」  創樹社 1998年4月11日発行
・「昭和女人集」 毎日新聞社 昭和60年4月30日発行

※生誕100年の機会に「雪国」と「怒りと悲しみの記録」の2冊をしばらくカフェに置くことに致しました。
書棚が一杯ですので閲覧ご希望の方はどうかスタッフにお申しください。

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