今年の展示から陶齋の「搔き落とし(搔落)」と「蝋抜き(蝋抜)」。

2015年3月6日(金曜日)

本日は陶芸の絵付け方法のうち、筆で書き付けたものをそのまま焼くのではない技法を二つご紹介致します。
このような手法は幾つかありますが、陶齋が好んで用いたのは「搔き落とし(搔落)」と「蝋抜き(蝋抜)」でした。

【搔き落とし(搔落)
まず形をつくった生地(きじ:もとになる土で形作った器)の上から白あるいは黒など泥水状の化粧土を掛けます。化粧土が渇いたら表面をクギやハケ状の道具で削り落として模様を描き出す手法です。
こうして焼きますと削り残した部分が浮かび版画の風合をもった作品になります。

82今年展示の「搔落牡丹文水指(かきおとし ぼたんもん みずさし)」 高さ19,2㎝
文は模様と考えてください。
鉄を含んだ化粧土が黒いぼたん模様として焼き上っています。

【蝋抜き(蝋抜)】
生地の器を作り、そこへ溶かした蝋で模様を描きます。その上から濃い化粧土を全体に掛けますと蝋の模様部分がはじかれます。この後焼きますと蝋は燃焼消失し生地が模様として浮かびます。こちらは染色における臈纈染め(ろうけつぞめ)の手順によくにていますのでおっとりした趣があります。

33同じく展示の「鉄絵蝋抜四弁花文鉢(てつえ ろうぬき しべんかもん はち)」 幅27,2㎝
黒っぽい鉄の部分の中で、蝋で描いた部分が白色系の模様として焼き上がりました。

今年の陶齋の展示は「鉄絵と色絵」です。華やかな色絵に較べ単色系の地味な鉄絵作品。
しかし陶齋は「搔き落とし」や「蝋抜き」の技法を駆使して、器に独特の味わい持たせました。

絵がうまく、デザインや構図に優れた陶齋の搔き落としや蝋抜きは、
色絵とひと味ちがう陶齋ワールドとして見応えがあります。

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