2012年3月13日

軍隊の泉。

2012年3月13日(火曜日)

 2月に脳梗塞で長い在宅療養の男性Sさんが激しい痙攣を起こした。90才になった人で、以前は感染症による高熱で何度か発作を起こした。このたびは過剰な暖房で部屋は暑く、汗を掻いていて冬の脱水だった。

 

入院をせず点滴で快復され、今では鈍かった反応は戻っている。今日伺うとぼんやりされていたが、私が敬礼をすると蒲団から手を出して敬礼された。その後は満面の笑みだった。戦前のSさんは何度が中国へ出兵されていた。

 

「角度は30度です。海軍は15度」、入れ歯を取った口をモグモグされなが手の角度を仰っている。以前からすっきりしたお顔と体型で素直な気質の人だ。

 

何度か軍隊時代のことを聞いていたが、以下の話が印象に残っている。

●新潟県のN日赤の病院長だった軍医が居て、先生のお父さん(私の父)のことを知っている、と言われびっくりした。遠い外地で知らない上官から、自分が知っている人を知っている、と言われると嬉しかった。

 

●上級将校は柳行李(ヤナギゴウリ)というものを持って移動した。ある日、その将校が私に「緑の地平線を歌ってくれ」と言った。私はその唄を知っていたので歌おうと思った。すると将校はヤナギゴオリからバイオリンを取り出して前奏しはじめた。私は大声で歌ったが、とても感動した。
柳行李に何が入っているかいつも考えていたが、まさかバイオリンが出てくるとは思わなかった。

 

●T大尉は上越出身の軍医だった。戦争が終わると「英語を教えてやろう」といって虹やポストや道など、見えるものの単語を習った。とても良い発音だと思った。

 

軍隊にも泉のような人、泉のような時間があったらしい。 

 

大潟区の緑の地平線
頸城地方の緑の地平線 TPPなんかに負けるな。

 

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