ついに新型インフルエンザ

2009年8月1日(土曜日)

 今週初め、私の診療所で大きな出来事がありました。新型インフルエンザの経験でした。これが過日記述したフェーズ6なのかとやや奇妙な感じでした。掲載を迷いましたが、今後に向けて少々のことを綴ることにしました。

 

 下の写真は診療所に続く古い自宅居間です。ここは廊下同然、ある種空き部屋になっていました。少し前に部屋を片づけて、ティッシュ、医療用ゴム手、アルコールジェル、聴診器などを置きました。新型インフルエンザが疑われる患者さんに備えるためでした。

 

 

 

 7月27日月曜日午後、診療所の受付で「39度1分です」というスタッフ同士の会話が聞こえました。気になりましたので、「待合室は止めて、マスクと手の消毒をしてもらって」と話しました。関東から旅行中の児童と付き添いさんです。待合室には4、5人の一般の方がおられました。

 

 すぐに看護師が二人を外から写真の居間へ誘導しました。ここで鼻腔から採取した児童のサンプルが迅速診断キットでA型陽性でした。新型インフルエンザが濃厚です。その後、保健所とのやりとりで、児童の自宅で姉が新型に感染していることがわかった、と知らされました。

 

 翌日、保健所員がPCR法(確定診断)のサンプル採取用具を持参しました。写真の部屋で付き添いの方ほか4人を対象に鼻腔からサンプリングをしました。7月29日、発熱の児だけがPCR陽性、新型インフルエンザ確定と知らされました。

 

 マスクや手袋で対応した私たちスタッフは濃厚接触者とみなされないということでした。またその後の異常もありませんでした。

 

 振り返れば医療機関の対応について、公式な通知が次々と変わった時期でした。正直、診療は漠然とした戸惑いを否めませんでした。また居間での診察の適否も課題でしょう。簡単ながら以下のような感想をまとめてみました。

 

①新型インフルエンザはやはり身近にあった。

②新型インフルエンザは夏でも油断できない。

③夏休み中のサーベイランス(届け出・監視)は別途の考慮が必要かも知れない。

④夏休み後、学校を中心に急速な拡大の懸念がある。

⑤日常の予防(清潔習慣、カゼのマスク着用など)はずっと続けたい

 

 

この度の対応はやや事大だったかもしれませんが、以下のことを意識しました。

「ウイルスはまだ若く、強毒化や通年性(夏型?)など今後、思わぬ変異を否定できない。感染が増えれば変異機会も増え、そして死亡者も。この一点で、当面はほかの疾患よりやや厳格な扱いが求められるのではないか」という意識でした。

 

 話題が美術館から離れてしまって、申し分けありません。お互いが意識を維持して、なんとか新型インフルエンザを乗り越えましょう。落ち着くまで数年はかかるとも言われています。

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