いよいよトキが

2008年9月24日(水曜日)

 いよいよ明日トキが試験放鳥される。27年振りの野性復帰への試みだ。是非とも成功への第一歩になったほしい。写真で見る飛翔するトキの姿は、格別に上品で美しく、おとぎの国のようだ。雪国、裏日本、近年は地震と大規模原発、、、。10羽のトキに夢とともに新潟県の印象を陽転させる強い期待も掛かった。

 

ところで自然を模した順化ケージに初めて放たれるトキは当初息切れがみられるという。またケージ内への不意な人の進入には非常に敏感に反応したとも聞いた。専門家ほど不安と緊張を高めているにちがいない。素人ながら佐渡の自然に一定の全うさがあれば生物的な適応は可能に思われる。問題は人間などの関わりではなかろうか。人工的な音響や車両の日常ストレスは初めてだろう。トキ目当てで観光客は激増しそうな予感がする。さらにどう猛なカラスなど天敵もあるだろう。こうみると、いずれ追い詰められて行き場を失うという最悪の事態を避ける策は大丈夫なのだろうか。 
一方今年4月、初めて順化ケージで巣作りがされ、5月にはそこで2羽の雛が返り無事に育っているという。また報道される佐渡の方たちの熱心な取り組みは心底頭がさがる。先日、放鳥のためにケージで捕獲された15羽のトキにも現在ストレスは見られていないこともややホッとさせられる。

 

振り返れば画期的だったパンダの生育は檻の中で果たされた。しかしトキは一端断絶した自然・人間の環境に放たれようとしている。生態系という複雑な総合軸で時間というものを30年前に戻せるのか?異国の遺伝子は佐渡にも適応するか?厳しくも夢のような試みだ。その期待を40グラムの発信器を背負った鳥が担う。SFにも似た出来事の始まりに見える。佐渡と新潟県には真の自然共生を目指すパラダイムシフトの先頭たる一員の名誉もかかった。すべて鳥と自然の側に立つこまやかで根気の要る長い目が必要だろう、是非成功してほしい。明日午前10時半放鳥。野茂やイチローの初試合とまた異質の重い緊張がつのる。

2008年9月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

▲ このページのTOPへ