太田先生、有り難うございました

2008年3月19日(水曜日)

 去る3月15日午後、上越教育大学で今期をもって退官される太田將勝教授(東洋芸術史,美術教育学,美術館教育)の盛大な最終講義を聴講しました。
 講義では、ご自分の道程とその過程で影響を受けた主要な美術評論家について著書を示して概説されました。小生には難解な部分もありましたが最後に「争わないこと、比べないこと」と述べられ、美しい孔雀明王のスライドで終了されました。「自らと他者との幸福に貢献する美術(造形)」への深い理解と謙遜の徳を備えられた先生らしい良い講義だったと思います。夕刻の賑やかなお別れ会も多彩な顔ぶれで始まり、席が先生のお隣りで大変光栄でした。
 美術の詳細もさることながら先生にはそのたたずまいを通して人のありようを一貫して教えられました。貴重な教養人を失うことはとても残念ですが、多くの人が受けた薫陶を少しでも当地に生かすことで希望に繋げるほかありません。この先、穏やかな東風の日に仙台から発せられる先生のかすかな香を嗅ぎ分けてみたいと思っています。恥ずかしがり屋さんの先生、本当に有り難うございました。

 

 ○太田將勝:東京都銀座生まれ。東北大学大学院卒業。和歌山県立近代美術館主事学芸員、富山県立近代美術館主事学芸員、岡山大学助教授、上越教育大学教授などを歴任。

 

最終講義

 

孔雀明王像(東京国立博物館)

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