樹下美術館

近藤悠三

2008年3月1日更新

 今回は近藤悠三の作品を展示致しました。近藤悠三は当館常設展示の陶芸家・齋藤三郎(陶齋)が昭和7年18才で入門した最初の師です。呉須(ごす)と呼ばれるコバルト系の藍色顔料を用いる染付(そめつけ)を得意としました。作品は発色に優れ雄渾かつ品格があります。氏は昭和52年、国から染付における人間国宝に指定されました。
  悠三門下でおよそ2年の修行の後、陶齋はさらに奈良に赴き富本憲吉のもとで修行を重ねます。当館今月の「ゆかり」コーナーでは、悠三が得意とした梅、ざくろの作品2点および自筆のカットと書簡を展示しました。入門後76年、今は亡き師弟の作品が館内で会する時、芸術が命あるものとして伝えられることに深い感慨をおぼえます。若き日に悠三の薫陶を受けた陶齋は師と同様ざくろ、梅、草花などの紋様を愛しました。戦後、陶齋は悠三を上越に招待し赤倉に遊びました。
近藤悠三:京都の人・明治35年生まれ昭和60年没

近藤悠三作・呉須赤絵梅之図鉢 近藤悠三作・ざくろ染付角皿
   
悠三の自筆カットと書簡

●今年6月の当コーナーは「陶齋とサントリーの人々」です。
●9月には「倉石隆の挿し絵本」を予定しています。それぞれささやかな企画ですがどうぞご覧下さい。